保証協会も和解をする・・・


日本政策金融公庫や信用保証協会の担当者も、債務者の状況については、一定の配慮を示して対応をしていました。

債務者の状況など考慮せずに、一律に交渉をするのではなく、債務者の健康状況や環境にも留意しながら対応をしていたといえるでしょう。

公的な機関として、非人道的な対応などで社会的批判を浴びないように、最低限の配慮はしていたということになります。

 

全ての銀行や信金信組等の金融機関は、ご高齢の債務者に対しては、十分な配慮をもって対応する傾向があります。

それが、たとえ期限の利益の喪失後で、債権回収を本格化させる状況であろうとも、壮年の債務者への対応とは異なります。

それは、日本政策金融公庫や信用保証協会といった公的な金融関係機関でも同じです。

むしろ、その傾向は顕著だといえるのかもしれません。

信用保証協会が代位弁済をして、求償権を持った債権者となると、必ず債務者と面談して、今後の弁済について話し合うことになります。

代位弁済後の最初の交渉では、ご高齢の債務者といえども、さすがに初回は面談することを前提に来所を要求します。

しかし、初回の面談において、債務者がご高齢で、交渉に堪える様な状況にないということが判れば、それ以降の対応は、健常者の場合とは全く違ったものになります。

もしも、ご高齢者以外に、息子さん等の他の債務者(保証債務者)がおられれば、ご高齢者は棚上げ状況となり、息子さんだけが債権回収のターゲットにされるといった状況です。

他に債務者がおられない場合でも、債務者がご高齢者であり交渉に耐えられない様な状況であれば、無理な交渉を続けようとはしない傾向があります。

債権回収の対象となる資産なども存在しない場合は、交渉は中断し、債権回収についても放置状況になることが珍しくありません。

ただ、不動産などの資産があれば、債権回収を仕掛けられますし、ご高齢といえども、交渉に耐えうるお元気な債務者であれば、壮年の債務者と同じ様な厳しい対応をとられますので注意してください。

 

この様に、ご高齢で交渉に耐えられない様な債務者だけであれば、厳しい回収姿勢は影を潜めますが、それは、放置されているというだけで、債権回収を諦めたという訳ではありません。

もしも、相続などにより、元気な債務者が発生すれば厳しい回収をしようと狙っているでしょうから、和解等により、現実的な債権放棄をする訳でもなかったのです。

彼らは、債権放棄も債権譲渡も基本的には対応をしない公的な金融関係機関ですから、当たり前のことといえます。

ところが、一定の環境においては、債権放棄も存在します。

債権放棄というよりも、和解と言った方がいいのでしょうが、一部残債を弁済することにより、残債件を放棄してくれることがあるのです。

私が、この仕事を始めて3年程の頃に、顧問契約を結んでくださったご高齢のお客様が、最近、信用保証協会と正式に文書を交わした和解を成立されました。

元々は建設関係会社を経営されておられたのですが、実質倒産状況となり、信用保証協会が代位弁済したのが12年程前のことです。

主債務者は会社で、連帯保証債務者は経営者ご夫婦でしたが、お二人とも倒産当時には既に70歳を少し過ぎておられました。

その後、収入は年金だけで、生活するのも厳しい状況ですから、分割での弁済は1円もできていませんが、誠意ある姿勢だけは示してきました。

経営者夫婦は、ご高齢とはいえ、認知症などはなくしっかりされています。

しかし、担保不動産を処分して一部債権を回収後は、信用保証協会は厳しい債権回収姿勢は見せませんでした。

ところが、担保不動産を処分してから4年半が経過した頃に、信用保証協会は時効を中断させるために裁判を起こしてきました。

結果は、当然に負けて、時効期間は10年というになりました。

まだまだ、信用保証協会は債権回収を諦めていなかったということなのかもしれませんが、それ以降、数年間は、具体的な動きは何もありませんだした。

ところが、突然に、『今後の事について、相談をしたい。』と、信用保証協会から老夫婦に連絡が入ったのです。

それまでは、ほぼ放置している状況でしたから、老夫婦は不安を抱いて信用保証協会を訪ねました。

ところが、面談をした担当者は、想像もしていなかった内容を話し始めました。

現在の状況を形式的に確認後、なんと和解の話を提案してきたのです。

元本残債は約8000万円で、1人200万円,老夫婦2人で計400万円を支払えば、残りは請求しないという条件になります。

しかも、和解書として、文書にするということですから、破格の提案だといえるでしょう。

老夫婦が、400万円の和解金を用意し、正式に和解をされたのは言うまでもありません。

知人名の抵当権を設定したままになっている、老夫婦名義の自宅を、どうしようかと悩んでいたところだったのです。

保証債務が消えて、これで、堂々と、子供達も相続することができます。

 

信用保証協会が、この様に和解をするというのは、珍しいことだといえます。

今回の場合、高齢の債務者しか存在しなかったということ。

そして、弁済できる原資も、見当たらなかったということから、僅かな金額でも、和解をした方が得策であるということだったのでしょう。

そして、この様な事例は、政策的な支援もあり、今後は増加していくだろうと思われます。

 

 

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