債権回収・・・この言葉を聞いて、不快になられる経営者は少なくないと思います。
期限の利益の喪失をして金融事故になると、不良債権に対して債権者金融機関などが貸付金の回収を図ることを『債権回収』といいます。
金融機関などにとって、貸付金の回収は最優先の至上命題ですから、金融事故になれば当たり前に債権回収を実施してきます。
そして、金融事故をおこした債務者にとっては、この債権回収は恐ろしい不安の対象なのです。
しかし、債権回収は簡単なことではありません。
金融事故をおこすぐらいですから、債務者の所有資産は消耗しているでしょうし、資産が残っていたとしても見つけるのは簡単なことではありません。
そのために、債権回収には様々な手段やシステムが用意されているのです。
様々に存在する債権回収手段について、『請求される債務者の立場で、どの様に攻められるのが怖いか・・・』という視点で考えてみたいと思います。
① 仮差押え・・・無くなると困る資産がある場合には、最も恐ろしい手段だといえ、当然にあるべき資産(不動産・預金・生命保険・有価証券)などに対して効果的だといえます。
金融事故直後の実施に効果的ですが、債権者の社会的信用の立場や供託金の必要性などから、活用される機会は多くはありません。
仮差押えという法的な手続きに着手した場合、その後の展開も法的な対応になります。
② 支払督促・・・法的に効果的な取り組みをするためには『債務名義』(借金の返済が法的に認められていることを示す文書)が必要であり、その取得が最も簡単と思われるのが『支払督促』になります。
申立人の申立てに基づいて裁判所が相手方に金銭の支払いを命じる制度で、最も簡単に債務名義がとれると思われます。ノンバンク系の債権者が、債務名義を獲得するために活用することが多いようです。
③ 財産開示手続き・・・債務名義が取れれば、次の法的な手続きに着手できます。
しかし、債権回収の代表的な手段である強制執行(差押え)は、対象とする資産がなければ効果は得られません。資産を逃がして『無い袖は振れない』状況になっている債務者も珍しくないでしょうから、まずは財産について調べる必要があります。
財産開示手続きは、債権者が債務者の財産に関する情報を裁判所の手続きにより取得する方法になります。裁判所からの要求により、債務者・開示義務者が事前に財産目録を提出したうえで、財産開示期日に裁判所に出頭し,債務者の財産状況を陳述する手続です。虚偽の申告をしたり欠席した場合の罰則は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金という厳罰を科せられます。
④ 強制執行・・・差押えのことになります。
資産の有無・所在を知ることで強制執行は有効になります。
最終最後の債権回収手段で、支払いの意思のない債務者に対しては唯一の有効な債権回収手段といえるでしょう。
⑤ 第三者からの情報取得手続き・・・金融機関や証券会社,法務局などに裁判所の職権で資産の有無を直接に確認する方法があります。強制執行や財産開示手続きが効果を得られなかった場合に検討すべき手続きになります。
⑥ 詐害行為取り消し請求の実施・・・本来、債権回収の対象となりうる資産が消失していた場合で、その消失理由が債権回収を目的とした強制執行を回避させるためであった場合が詐害行為の対象となります。
その様な資産が見つかった場合、根拠をもって対応することで債権回収の対象とすることができるかもしれません。
債権者の債権回収手段としては、代位返済や担保権の実行,督促,訴訟等、他にも債権回収手段は存在しますが、債務者として留意すべき手段は以上になります。
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