仕入業者や外注業者などの取引先とは、利害関係で結ばれています。
彼らは、商品を提供することにより、収益を確保しようとする関係ですから、得意先が経営危機に陥ると、真っ先に対応を変化させるように思われます。
金の切れ目が縁の切れ目という、そんな感じの関係のように思われるのですが、現実は、そんな手の平を返す様な事例は多くないようです。
商売において、『得』か『損』か、というのは重要な判断基準であり、金融機関などは如実にこの価値観で判断をしてきます。
一般の取引先業者も、当然にこの基準は重要な要素なのですが、金融機関とは違い、人としての感情が優先するところがあるようです。
日頃から、得意先への感謝の気持ちがあれば、損得よりも優先する対応をとることが少なくありません。
得意先とのお付き合いが、何十年に亘るものであったり・・・
今まで、ずっと健全なお取引をしていたり・・・
経営者からも、いつも誠意ある対応をしてもらっていたり・・・
この様な、良好な関係が存在すれば、経営危機に陥ったからと言って、即座に手の平を返す様な対応はなかなかとらないものなのです。
今までの、取引先への姿勢が、結果として如実に表れてくるのです。
資金不足で、取引先に支払条件の変更をお願いする場合、そんな簡単に了解してくれるとは思えません。
たしかに、取引先にも資金繰りがありますから、無条件で了解してくれるものではないでしょう。
しかし、今までの関係が健全であれば、想像以上に前向きに対応してくれることが多いものなのです。
倒産されるよりは、支払を猶予した方がましだという、損得勘定も働くのかもしれませんが、人としての感謝の気持ちがもっと大きく作用しているのだろうと思います。
債権者集会なと、倒産に絡む場面においても、損得よりも優先した人の情を取引先に見ることは少なくありません。
倒産をすると、得意先への売掛債権は、ほとんど配当も実施されず、大きな損失を被ることになりますから、本来であれば、恨みつらみの表現して当然だろうとも思います。
実際、得意先の経営者に対して、罵詈雑言を投げつける得意先も散見しますが、けっして多くないのです。
逆に、経営者のその後の生活を心配したり、今までの感謝を述べられる取引先は少なくありません。
ある債権者集会が終わり、参加者を見送るために頭を下げ続けておられる得意先の経営者に、下請と思われる初老の職人さんが歩み寄り、
『 社長、本当に長い間お世話になりありがとうございました。また、必ず、戻ってきてくださいよ。 』
涙を流しながら、頭を下げてお礼と励ましの言葉を述べられたのです。
私は、この光景を傍で見ていたのですが、思わず貰い泣きをしたことを忘れられません。
弁護士さん抜きの、任意の債権者湯集会で、紛糾することも予想されたのですが、何ら揉めることもなく僅か30分程で終了したのは、経営者のお人柄だったのでしょう。
当然、逆の作用が見られる事例も存在します。
取引期間が短かった場合や・・・
常日頃から、無理な要求をしてきた場合・・・・
高圧的で、約束を守らないことが多かった場合など・・・
こんな、人として批判を受ける様な対応をしてきた場合は、損得を最優先した対応をとられることになります。
ここぞとばかり、今までの恨みを晴らすかのように、厳しい対応をとられることになるのです。
金融機関と違い、素人は取り立てが厳しくなります。
整理をするときなどは、こんな取引先は、債権者一覧から消しておきたいものです。
経営危機に陥っても、取引先が即座に手の平を返した対応をしてくるとは限りません。
会社としてのそれまでの対応が、結果として表れる場面であり、経営者が経営者としての資質を実感させられる場面でもあるのです。
経営者は、このことを念頭において、人として常に謙虚な経営を心掛けるべきなのでしょう。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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