いよいよ、学生の奨学金が免除されるようです。
ただ、残念ながら、日本での話ではなく、アメリカでの話になります。
バイデン大統領が、学生ローンの債務免除を正式に発表したのですが、この環境を考えると、当たり前の手段であり政策だといえるかもしれません。
過去に、これほどの規模の債務免除措置は過去に例がいなということですが、それほどに異常な経済状況に突き進んでいるということなのでしょう。
この仕事を始めて3年目頃、今でも、後悔をし続けている失敗をしてしまいました。
その経営者は、建設関係の会社を経営されておられ、私の知人の紹介でご相談に来られました。
随分と以前より業績は悪化し、収益は全く確保できず、資金繰りも極めて厳しく、実質的には経営破綻といえる状況に陥っておられます。
既に、経営者は事業を継続する意欲を喪失されており、収益的に第2会社の活用も難しい状況であり、事業の維持にこだわる理由はありません。
幸い、経営者のご両親は健在で、それなりの資産もお持ちだったので、経営者の将来にも大きな不安はないと考えられました。
徹底的に無い袖は振れない状況を確保し、金融機関の借入債務は棚上げし、仕入先などの商取引債務は出来る限り支払ったうえで、任意で債務整理をするしかない状況だといえます。
経営者には、会社と事業を任意で整理したうえで、今後も生活は安定的に確保できることご説明し、任意整理に取り組むことで了解をいただくまで時間はかかりませんでした。
ところが、任意整理の準備で打ち合わせをしていたある日、経営者は、驚く内容を口にされました。
息子さんが、大学を退学されたというのです。
息子さんは、関西では有名な私立大学の3年生で、卒業まで僅か1年半程しかありません。
それなのに、経営者が息子さんに事業の状況を説明したことで、息子さん自体が退学を決意されたというのです。
父親が経営する会社が倒産したら、大学などに通学している余裕はなくなり、生活費の足しになるように自分も働かなくてはという判断だったということになります。
驚くほどに誠実で、親孝行な息子さんだといえるのでしょう・・・。
しかし、違うのです。
今後の取り組みにおいて、これは間違った判断になります。
この状況で、息子さんが大学を辞める理由など見つかりません。
経営者であるお父さんは会社を整理しますが、その後の生活は、任意整理を選択したことにより、安定的に確保できる状況になっています。
さらに、お父さんのご両親にも、孫の大学の学費を援助するぐらいの余裕はあるはずですし、奨学金という制度もあるのです。
大学を卒業するのは、十分に可能な状況だったといえます。
倒産後も、安定的に生活は確保できることについて、経営者に、十分にご説明したつもりだったのですが、その意味を具体的に理解されていなかったようです。
経営する会社が倒産する・・・この事実について、ご自身の中で判断をされたのでしょう。
倒産会社の経営者として、今までと同じ様な生活など出来るはずはない・・・と、思い込みから判断をしてしまい、息子さんの将来までも巻き込んでしまわれたのです。
専門家として、このお話は、本当にショックでした。
この様な対応を選択されたことを、深く反省をしなければなりません。
今後も生活を安定的に確保できるという説明において、ご家族の将来の可能性についても、もっと詳しくお話をすべきだったのだと思います。
任意整理の選択には、子供さんの将来を変わらずに維持するという大きな目的があったのですが、本当に残念な結果になってしまいました。
会社が倒産するとき、経営者として、金融機関や取引先などの外部関係者にばかり気がいくようになります。
しかし、経営者であるとともに、家族を持ち父親でもあることを忘れてはいけません。
父親として、息子の将来にも責任を持つ必要があり、そのための任意整理の選択なのです。
親として、子供の教育や将来については、たとえ倒産しそうな経営者であっても、最大限の留意をお願いしたいところです。
さて、アメリカにおける奨学金の免除ですが、過去に例を見ない規模になります。
借り手1人当たり、1万ドル(約136万円)の返済を免除するという規模で、低所得層の報奨金の場合は、2万ドルを免除するということです。
全ての借り手が対象ではなく、1万ドル免除の場合は年収12万5000ドル(約1700万円)以下だけが対象になります。
しかし、免除の対象になる条件が年収で1700万円以下であり、約95%の債務者が対象になるというのですから驚きます。
バイデン大統領の中間選挙対策の意味合いもあるということですが、この内容には、流石にアメリカというほかなく、今後の日本の対策が気になるところです。
日本政府の高官は、コロナ禍における学生対策としては、口でこそ表現しても具体的な施策を実施しようとしていません。
たしかに、10万円の学生支援緊急給付金などはありましたが、焼け石に水にしかならない施策で、根本的な対策が見られないのです。
個人の債務減免は令和2年12月に実施され、法人の債務減免も令和4年3月にガイドラインとなりました。
しかし、今後の日本を背負うべき学生の債務の減免については、まだ、具体的な話が聞こえてきません。
アメリカの奨学金免除の話を受けるまでもなく、既に、制度発表の準備が進められていると信じたいところです。
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