キャッシュフローと資金繰りは、経営判断において何が違うのかと、ベテランの税理士に尋ねられました。
キャッシュフローも資金繰りも、資料の性格として同じであるという意図を持って、この税理士は私に尋ねてきたのでしょう。
資金の動きについては、たしかに同じ様な意味をもつ資料なのかもしれません。
しかし、キャッシュフロー表は、一定のルールに基づき作成された、過去の資金の動きの結果ですが、それに対し資金繰り表は、決まったルールに縛られずに、今後の資金の動きを予測する資料になります。
同じ様な資料に見えるかもしれませんが、実は、全く違った意味を持つ資料だといえるのです。
そして、この似て非なる二つの資料を上手く活用することができれば、経営の土俵際での判断は容易になるといえます。
キャッシュフローと資金繰りから得られた結果により、経営の土俵際での具体的な取り組み方について考えてみたいと思います。
まずは、キャッシュフローも資金繰りもプラスであった場合についてです。
資金は続くという状況ですから、様々な対策を実施するための時間的猶予を確保することができます。
当然に、再生を目指して、その時間的猶予を活用すべきでしょう。
資金繰りは確保できたという安心の下で、全力で経営改善に取り組むべきであると考えてください。
経営改善が成功して、再生を達成できる可能性は十分にあるのです。
事業の継続の可否だけであれば、かなり高い確率で、継続は可能であるといえる状況です。
土俵際という不安を、拭い去ることから始めてください。
キャッシュフローも資金繰りも、マイナスであった場合について考えてみます。
判り易く表現すれば、現在の経営形態のままでは、事業を継続しても利益は確保できず、資金も続かない状況だといえます。
事業を継続すればするほど、損失は増加し、手元の資金も減少してしまいますから、現在の事業については、躊躇なく整理の方向で取組む必要があるのでしょう。
ただし、現形態での事業を整理するのであって、事業や人生そのものを諦めるわけではありません。
事業に僅かでも価値が残っているのであれば、関係者の人生や生活を確保するためにも、その価値を最後まで活用するように取り組んでください。
また、残存する経営資源についても、関係者の今後のために、徹底した保全を図ることも大事だと思います。
何も諦めることなく、全てを有効に活用し、次の展開と経営資源の保全を図るというのが、この状況における整理だと捉えてください。
キャッシュフローと資金繰りの片方がプラスかマイナスの場合や、今後の対応により変動する可能性のある場合には、全方位的に対応をする必要があるでしょう。
再生を目指して経営改善に取り組みながら、一方では、対極にある整理の準備も進めるということになります。
当然に状況により、再生か整理かのウエイトは変化することになります。
また、将来的な動きについて、常にその可能性を模索し、状況をしっかりと認識してください。
その認識に則り、方向性の見極めを早くすることが、瀬戸際において良い結果を導くことになるのだろうと思います。
経営の土俵際に追い込まれた場合、この再生と整理という相反する目標に、同時に取組むことが多いようです。
経営の土俵際における対応というものは、ポジティブな思考で前向きに対応することが求められます。
夜逃げや自殺は当然のこと、破産などの法的手続きさえも選択しないという強い意志を持ち、自らの力で打開してみせるというぐらいの姿勢が必要だと思います。
事業を守り、従業員や取引先等の社会的弱者を守り、さらには経営者の家族や人生についても安定的に守るための対応が、土俵際の対応だとお考えください。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
↓
↓ランキングです クリックして応援してください
人気ブログランキングへ
ランキングです クリックして応援してください
↓