信用保証協会の法的手続き・・・


借金の返済が厳しくなると、債権者の金融機関は、手のひらを返したような対応をしてくるようになります。

弁済が滞り、期限の利益の喪失をする可能性が見えてくると、今まで見せていた笑顔などかなぐり捨てて、突然に厳しい姿勢を見せるようになるのです。

そして、貸付金が不良債権化すると、債務者の都合などはお構いなしに、貸付金を回収するためにあらゆる手段を用いてきます。

その手段として、裁判に訴えたり、仮差押えや差押えをしたりという法的手続きも、当たり前のように活用してくると思われていますが、現実はどうなのでしょうか。

 

前回のブログでもご紹介しましたように、仮差押えや差押えなどは、金融故関係機関がそれほど多用する債権回収手段ではありません。

債務者に恐怖を与えるために、脅しとしては頻繁に使ってきますが、現実的に仕掛けてくることは多くはないでしょう。

それは、仮差押えや差押えをすると、債務者を破たんに追い込むことに直結するからなのです。

売掛金を差押えしたならば、債務者の資金繰りは止まってしまうでしょうし、得意先にその事実を知られて取引停止になるかもしれません。

借入のある他行の預金口座を差押えしたとすると、その借入も期限の利益の喪失をして事故になって、取引が停止されてしまうかもしれません。

金融機関からの借入に関する契約において、多くの場合は、仮差押えや差押えは期限の利益の喪失する事由となっているからです。

この様に、仮差押えや差押えは、された事業者にとっては死活問題となりますので、社会的信用を重視する金融機関にとって、最後のとどめをさすような立場にはなりたくないというのが、多用されない理由になるのでしょう。

この傾向は、信用保証協会においても同じです。

例外的に、不動産については簡単に仕掛けてきますが、不動産以外の資産については、よほどの事情がない限り、仮差押えや差押えなどはしてきません。

債権回収マニュアルから、不動産以外の資産に対しての仮差押え・差押えの条文が抜け落ちているのではないかと思えるほどです。

しかし、信用保証協会のポジションを考慮すれば、その理由がおのずと見つかるのではないでしょうか。

仮差押えや差押えを効果的に成功させるポイントは、隠密裏にタイミング良くということになります。

差押などをされることが分かっていれば、多くの債務者は事前に差押をされないように資産を逃がしたりするでしょうから、隠密裏に突然に執行するというのが当然なのです。

そして、タイミング良くというのは、資産のあるうちに出来るだけ早くという意味になります。

時間が経過すれば、資産は目減りしている可能性がありますし、消失さえしてしまっているかもしれません。

したがって、不良債権となって債権回収の必要が発生すれば、速やかに執行することが大事なのです。

ところが、信用保証協会は、保証をしているだけの機関であって、当初は債権者ではありません。

返済が滞ったりして、期限の利益の喪失した債務を代位返済することにより求償権を得て、やっと債権者となって債権回収をする権利を持てるようになるのです。

他の債権者金融機関が債権回収に取り掛かってから、信用保証協会が債権回収に取り組めるようになるまで、遅れること2ヶ月ぐらいということになるのでしょうか。

その頃になると、他の債権者金融機関は既に債権回収手段を実施し終えている状況であり、差押えが有効な目ぼしい資産など残っていないと思われます。

したがって、信用保証協会にとって、仮差え押や差押えは、それほど有効な債権回収手段ではないということになるのです。

ただ、不動産については、その資産としての性格上、処理に手間暇がかかりますので、信用保証協会のポジションでも差押え等を有効に活用できるということになります。

 

裁判に訴えてでも、債権回収をしようという姿勢は、民間の金融機関でも最近は減ってきたと思います。

信用保証協会においても、そのような傾向はみられますが、2つの根拠においては、平然と裁判に訴えてきます。

1つは、不動産に絡む裁判です。

債務超過状況で所有権を身内に変更したり、意味不明な担保権が設定されていたりして、詐害行為が疑われるような場合には取消請求の裁判をしてきます。

また、債務者や保証人が所有する不動産を、担保として提供するように要請したのに拒否された場合に、まずは仮差押えをしておいて、それを本差押にするために支払いを督促する訴訟を起こしたりもします。

要は、債権回収の手段として、不動産を活用するための裁判は少なくないということになります。

もう1つは、時効の中断の裁判です。

信用保証協会の、消滅時効期間は、債務者が商人の場合は5年、商人でない場合は10年となります。

代位弁済後に、債務者が弁済をしなかったり、債務承認書にサインをしなかったりして、時効が中断できないまま進行し、もうすぐ時効期間が完成しそうな場合に、時効を中断させるために裁判をしてくることが多いのです。

裁判は、請求という時効の中断事由になり、債務者に協力する姿勢が見られない状況でも効果的な時効の中断手続きになります。

そして、裁判手続の結果により、商人であるかに関わらず、時効は10年となるのです。

この、『不動産絡み』,『時効の中断』という2つのパターンの事例は、今でも頻繁に見受けられます。

しかし、それ以外の根拠や目的のための裁判というのは、あまり見かけないというのが現実でしょう。

 

債権回収においては、信用保証協会も、他の金融機関と同じ様な傾向を見せるのが基本です。

ただし、不動産においてはこだわりがあり、仮差押えや差押え、そして裁判なども前向きに仕掛けてくるという特徴があります。

その特徴を理解することが、信用保証協会と上手くお付き合いをするポイントであることは間違いありません。

 

 

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