経営者のエンディングノート・・・


昨今、終活が注目を浴びています。

終活とは、人生の終わりに向けての準備をすることで、最善のエンディングを迎えようという活動になります。

生活や心に余裕を持てる現代だからこその終活なのでしょうが、中小企業の経営者にとっての終活は少し意味が違ってきます。

中小企業の経営者には、人生の終焉と共に、経営者としての責任と義務についての終活が必要になるからです。

 

終活とは、「人生の終わりのための活動」の略であり、平成21年に週刊朝日が造った言葉だそうで、当初は人生の終焉に向けて葬儀やお墓などの事前準備をすることだったそうです。

それが、現在では、人間が人生の終焉を迎えるにあたって、様々な準備やそこに向けた人生の総括をするポジティブな意味の言葉になっています。

エンディングを迎えるにあたり、最後をより素晴らしい時間にするとともに、自分らしく生きてきたことの意義を確認し、相続においてもスムーズに進むように準備をするという事のようです。

定年を迎え、時間的にも経済的にも余裕のあるご高齢の方が、積極的に取り組まれているようですが、この様な環境にある方々にとっての終活は、生きてきた証として大きな意義のある活動になるのでしょう。

ところが、終活を、中小企業の経営者の立場から考えてみると、様々な複雑な問題が浮かび上がってきて、簡単な活動ではないことが判ってくるのです。

まず、中小企業の経営者には、定年がありません。

のんびりと終活に向けて、準備をする余裕などないのが中小企業の経営者だと思います。

さらに、時間を作って、終活に着手したとしても、中小企業の経営者ならではの問題が立ちふさがってきます。

それは、経営者の責任である会社の経営について、誰にどの様に事業の承継をさせるかという大きなテーマです

自分の人生の終活をするのであれば、その前に、経営者として最優先に処理しなければならないのが事業の承継になります。

後々、揉めないため、また事業の業績に影響を与えないという意味で、必ず最優先で処理しなければならない難しいテーマなのです。

特に、昨今は、将来の有望性やその困難さから、中小企業の事業承継は大きな問題になっておりますから、誰にどのように事業承継するかは簡単ではありません。

環境に恵まれ、息子を後継者にすることができて事業承継をしたとしても、完全に事業から離れられないのが中小企業の経営者でしょうから、簡単にご自身の終活に専念などはできないとも思います。

 

また、後継者が見つかったとしても、中小企業の経営者特有の困難な問題が残されています。

会社が債務者となる負債の存在です。

中小企業は、会社として金融機関等からの借入があり、仕入先など商取引先への支払い債務があります。

そして、ほとんどの場合、金融機関等からの借入やリースについては経営者としての保証債務を個人で背負っていますし、商取引債務の場合は保証をしていなくても経営者としての道義的責任を背負っています。

健全経営な経営を維持している場合は、負債も大きな問題ではなくて事業の承継に影響はないかもしれません。

しかし、経営に問題が発生している場合には、背負っている保証債務や未払い債務などといった負債について、後継者が個人として直接的な責任を背負う可能性があるのです。

そんな経営状況の場合は、せっかく後継者が見つかったとしても、そのまま後継者に事業を承継させるわけにはいきません。

健全時であれば。経営者保証に関するガイドラインなどにより保証債務の承継について免除されるかもしれませんが、経営に問題が発生しているという状況なのです。

事業を承継した息子などの後継者は、必然的に保証債務なども承継し引き継ぐことになってしまいますから、事業承継という行為自身を考え直さなければならないということになるのです。

そんな状況で、息子などの後継者が事業承継をすれば、必ず保証債務を引き継がされたうえで、まだまだ事業経営の経験の浅い後継者にとって困難な世界に放り出されることになり、人生そのものを失ってしまうかもしれません。

したがって、中小企業の経営者にとっての終活とは、事業の承継の良否から始まり、負債の処理にまで範囲は広がるということなるのです。

 

事業を承継させる前に、負債の処理をしておくというのが理想でしょうが、簡単に出来るものではありません。

その難しさは。中小企業の経営者がもっともご存じではないでしょうか。

負債を減少させるだけの業績と、処理にかかる時間も要しますから、それなりの準備と計画性をもって望むことが求められ、思う通りに進むものでもないのです。

困難だからといって、事業の承継を諦めるという答えを選択できないという現実もあり、中小企業の経営者にとっての終活への道のりは長い困難なものにならざるをえません。

いつまでも経営に固執するのではなく、出来るだけ早い段階において、中小企業経営者の終活・・・事業承継の準備に着手をすべきなのでしょう。

 

 

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