これで、終わったの・・・


 

『えっ、これで終わりですか・・・』

借入金の返済などが出来なくなり、その処理手続きをされている債務者が、最後に思わず発せられた言葉です。

債権債務の処理の場面において、直接に処理手続きをしなければならない債務者は、経験したことのない対応を迫られ、様々な心配事が発生し色々な不安を抱くことになるものです。

しかし、そんな状況で処理手続きを実施することになっても、終わってみれば拍子抜けするほどスムーズに進むことが殆どであり、現実の債権債務処理は考えている程に難しくはないのでしょう。

 

債権債務を処理する手続きで、もっとも緊張し精神的な負担を強いられるのは債権者集会の開催だろうと思います。

弁護士さんに依頼して、法的な手続きとして開催する債権者集会でも、債権者の罵声が飛び交い、厳しい追及も受けて大変なイメージがあります。

それが、法的な手続きに頼らない、任意の債権者集会の開催ともなれば、罵声が飛び交うどころではなく、大揉めに揉めて収拾がつかなくなる様に思われます。

そんな債権者集会で、経営者は緊張の極限まで追い込まれた状況で、前に立って説明をしなければなりませんから、精神的負担はピークを迎えることになるでしょう。

ところが、終わってみれば、冒頭の『えっ、これで終わったの・・・』という気持ちを抱くことになります。

私は、過去に23案件の任意の債権者集会をプロデュースしましたが、全てが大きく揉めることもなく、想定通りの進行により短時間で終わることが出来ました。

そして、ほとんどの経営者は、債権者集会が終ってホッとされる半面、集会が順調に進んで終わったことについて、本当にこれで終わったのかと逆に疑問を持たれるほどなのです。

それほど、債権債務処について、経営者は厳しいものだと捉えしまいます。

経営危機は、経営者としてはもっとも避けたいネガティブな状況であり、そして経験もしたことのない環境ですから、不安を抱いて悪い方向でシミュレーションをして当然なのかもしれません。

債務処理に関して持っている僅かな知識も、そんな傾向の知識ばかりでしょうから、ネガティブな思考は自然と増幅されていくのでしょう。

その結果として、破産は当然のこと、夜逃げや自殺という悲惨な人生の末路を、経営者に選択させることになるのです。

しかし、現実の債権債務処理は、そんなに難しいものではありませんし、そんな厳しい負担や選択を経営者に求めてはおりません。

少しのポイントさえ理解しておれば、経営者の力で処理できるのが、債権債務処理の現実なのです。

 

債権債務処理と対応するポイントについては、任意の債権者集会で考えてみれば判り易いかもしれません。

当然に、しっかりと環境を整理し、やるべき準備をして迎えた債権者集会だから、任意の開催だとはいえ順調に開催を出来たのです。

そのポイントは、開催のタイミングと、債権者への条件と、現状の認識の3点になります。

タイミングとしては、不渡りなどの現実的な金融事故が発生する前であり、債権者から強いクレームが入る前における開催ということになります。

金融事故が発生し、既に周知されている様な状況で開催をすれば、債権者は少しでも多く回収しようと厳しい姿勢を見せるのは当たり前です。

金融事故になる前に、債務者自らの連絡により集まっていただき、現状を精一杯に説明することにより、債権者も誠意を感じて耳を傾けてくれるようになるのでしょう。

次のポイントである、債権者への条件提示については、得か損かという判断基準に訴えるということになります。

金融機関は、日常からすべからず『得』か『損』かという基準で判断をしますが、商取引債権者なども債権回収が厳しい場面では『得』か『損』かという判断基準を持ち、少しでも債権を回収することを優先させます。

したがって、債権者集会において提示する条件が、もっとも多く債権の回収が出来る配当案だという内容にしておくのです。

そして、最後の現状の認識については、債権者がもっとも知りたいことであり、信用して対応をしてくれるかというポイントになります。

経営が厳しいといっても、債権者がその実態を把握している訳ではありませんから、本当の経営状況について誠意を持って伝える必要があるのです。

誠意と実態が伝わることにより、債権者も債権回収への取組み姿勢を明確にしてくれるようになりますし、無駄動きや強引な対応なども減少することになります。

 

この3つのポイントは、債権者集会だけではなく、全ての債権債務処理に共通するポイントだといえます。

経営危機に陥れば、『タイミングを間違えない』,『誠意ある状況説明』,『精一杯の条件提示』という3つのポイントをしっかりと押さえることにより、債権者との対応は前向きになるのです。

同時に、債権債務処理が必要となる経営危機という環境は、大人の計算が優先される世界だということも忘れてはいけません。

債権者は、債権の回収に関しては、理性など放棄して対応をしてきます。

少しでも多く債権を回収しようと、『得』なのか『損』なのかという経済的合理性に支配された思考で対応をしてくるのですから、3つのポイントを活用して対応をすることが求められるのです。

債権者が求めるテーマを充足させるのが3つのポイントですから、債務者としては難しく考え過ぎずに、意味を理解しての対応を心掛けてください。

誠実に、現状を踏まえた対応をすれば、想定以上の結果が得られるのも債権債務の処理だと思います。

 

経営危機に陥っての債権債務の処理において、気を緩め過ぎるのは論外ですが、難しく考えすぎる必要もありません。

自然体で、目的に向かって、精一杯の対応をすることが大事なのでしょう。

債権債務の処理は、そんなに難しいものではなく、必ず『何とかなる!』ものだと思います。

 

 

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