売掛金の差押・・・


 

『無い袖は振れない』という言葉は、債権債務処理の場面においては、極めて重要なキーワードになります。

 

支払や返済をしなければならない債務があっても、そのための原資が無ければどうしようもないという意味です。

 

貸付のある金融機関等の債権者が、その債権を回収するために、督促をすることは当然の事、仮差押や裁判、さらには差押などのあらゆる対策を講じても、債務者に弁済すべき資産が無い『無い袖は振れない』状況であれば、債権の回収は出来ないのです。

 

 

 

資金繰りが悪化して経営危機的状況に陥っても、多くの経営者は、どんなことをしても経営を維持しようとされます。

 

その基本な対策が、経営を維持するために必要な資産を予防的に保全することになりますが、それが『無い袖は振れない』状況を作り出すということなのです。

 

いわゆる、無い袖は振れない状況にして、経営維持に必要な資産を、債権者の債権回収の対象から除外してしまうということになります。

 

以下の、資産の予防保全の3原則を活用し

 

  1. 資産が知られない
  2. 資産に価値が無い
  3. 資産の所有が違う

 

現預金や不動産,有価証券や会員権,生命保険,高価な動産などの資産を予防的に保全してしまうのです。

 

そうすれば、債権者は債権を回収することが出来ず、債務者は事業継続に必要な資産を確保した状況で、経営の維持が可能という事になります。

 

 

 

しかし、経営の維持に必要な資産が、全て予防的な保全が可能という訳ではありません。

 

保証金や売掛金,給与などという資産は、第3債務者という相手方が絡みますから、その予防的な保全は難しくなります。

 

(第3債務者とは、債権者から見て、債務者に対して更に債務のある第三者。例えば、金融機関等の債権者が貸付をしている企業が、商品を納品している得意先企業は、金融機関等の債権者にとって第3債務者となります。)

 

相手方のある事ですから、経営者が自らの判断だけで、資産の予防的保全を実施出来ません。

 

しかも、相手方との間で、取引の契約をしている場合は、保証金や売掛金についての禁止事項が設定されていることが多いのです。

 

具体的は、担保の設定や債権譲渡について、契約の中で明確に禁止をしているため、資産としての価値を無くしたり、所有を変えたりという作業が困難になるのです。

 

 

 

これらの資産の予防的保全が、全く不可能というわけではありません。

 

ある程度の時間的猶予があれば、それなりの対応は可能ですし、相手方である第3債務者の協力が得られれば、具体的な予防保全策も可能になります。

 

第3者の管理会社を活用したり、第2会社を取引の間に挟んだりすることにより、資産としての所有権を無くすみとができます。

 

また、『相殺』を活用すること等で、資産としての価値をする事も可能になります。

 

この様に、第3債務者の協力が得られれば、ある程度の予防保全は可能になりますが、現実としては難しい作業になってしまいます。

 

 

 

この事を、債権者は良く知っており、売掛金等は債権回収の格好の手段とされることがあります。

 

その代表的なのが税金の滞納関係で、特に国税は売掛金の差押については躊躇しないようです。

 

決算書等から、どこに売掛金があるか十分に把握をしていますし、裁判所経由の手続きが不要ですから、極めて迅速に作業として進んでいきます。

 

 

金融機関では、この売掛金や保証金についての債権回収の姿勢には特徴があります。

 

大きな金融機関は、あまり積極的には取組まず、小さな金融機関ほど、債権回収の手段として活用しようという色分けが出来るようです。

 

売掛金や保証金を、債権回収の手段にしようというのは、その債務者企業に対して死刑宣告をする事になるからです。

 

第3債務者だからといって、得意先企業に差押をすれば、その取引企業である債務者企業は、ほぼ取引停止になるでしょうし信用は喪失してしまい、経営を維持することが難しくなってしまいます。

 

だから、メガバンクなどは、様々な社会的影響を配慮して、簡単には売掛金や保証金には手をださないのです。

 

 

しかし、小さな金融機関は違います。

 

全てがそうだとは言いませんが、貸付先の債務者企業がどうなろうが関係なしに、売掛金等に手を出してくることが珍しくありません。

 

先日も、大阪の信用金庫が、期限の利益の喪失通知とほぼ同時に、得意先の売掛金を仮差押しました。

 

債務者は、まだまだ頑張って経営を維持して、再生を目指そうとされていたのですが、この仮差押で得意先から取引を停止されてしまったのです。

 

この大阪の信用金庫は、その後、この債務者企業の経営者を呼びつけて、今後の弁済について詰問したというのですから驚きます。

 

収入の道を絶ったくせに、どうやって弁済しろというのでしょうか・・・。

 

未だに、金融機関の横柄な理屈で、人生を失う経営者は減っていないようです。

 

  詳しい内容は、ホームページをご覧ください,

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