ご高齢の経営者が・・・


 

中小事業者の資金繰りは、日々、厳しくなっているようです。

そして、資金繰りが悪化すると共に、連帯保証についてのご相談が増えてまいりました。

倒産が脳裏をかすめる様な環境になり、経営者が保証債務や事業承継について真摯に取組もうとされるのは当然のことだと思います。

タイミングよく、その様なテーマについての興味深いご相談をいただきましたのでご紹介をさせていただきたいと思います。

ご相談をいただいたのはお子さんからですが、保証協会との対応や保証債務の処理について勉強になると思いますので参考にしてみてください。


現在、お父様は、86歳というご高齢です。

そのお父様が代表取締役、お兄様が取締役の事業承継者として、過去に会社を経営されていましたが、約20年前のリーマンショック時に、資金繰り悪化から経営破綻をしてしまったのです。

会社は、当時の都市銀行から、お父様とお兄さまを連帯保証人として、信用保証協会の保証付き融資を借りていましたが、借入返済ができなくなって期限の利益の喪失をしました。

正式に金融事故となり、3000万円ほどの借入元本を代位弁済した信用保証協会が、求償権を持って債権者となりました。

会社は、破産などといった法的な整理はしませんでしたが、廃業をして倒産という扱いにして、その後も、元経営者のお二人は、誠実に20年近く毎月滞りなく、信用保証協会に弁済を続けてこられました。

お父様は2万円,お兄様は1万円,二人合わせて毎月3万円ほどと僅かですが、確実に前向きに弁済をされてこられました。

現在、お父様は80歳のお母さまとお二人で年金生活をされ、お兄様もご両親と同居しながら、倒産後はサラリーマンとして勤務し生活の糧を得ておられます。

この様な状況で、お父様がご高齢なために、将来に向けた不安が錯綜してご質問をいただきました。


ご質問1・・・
父は、自分の死後は死亡診断書を保証協会に提出すれば父の債務は0になり、兄の債務だけを毎月一万円払っていけば良いと言っておりますがそれで可能なのでしょうか?
ご返答・・・
相続をすれば、保証債務も承継しますので、法定相続人が、全員、相続放棄をする必要があります。
また、お兄様の1万円については固定されたものではなく、状況の変化や担当者の対応により変化する可能性があるでしょう。

ご質問2・・・
父が亡くなったらどのように返済すべきなのか、兄は低収入なのでどうすれば良いのかと不安になっております。
2020年の民法改正で、連帯保証人制度の改正がありましたが、兄にとってこの民法改正はどのように影響がありますでしょうか?
ご返答・・・
民法改正以前の債務ですから、お兄さんの債務に民法改正の影響はありません。

ご質問3・・・
父の死後に相続放棄の手続きをすると負債は引き継がなくても良いのでしょうか?
ご返答・・・
はい。関係人全員の相続放棄により、お父さんの保証債務は請求先が無くなりますが、お兄さんの保証債務は全額残ることになります。

ご質問4・・・
保証協会の債務免除は可能な場合もあるのでしょうか?
連帯保証人が債務の返済が難しい場合、「一部弁済による債務免除制度」があると聞きました。
連帯保証人が預金や生命保険といった財産を証明する書類、所得証明書、給与明細書などを提出し、保証協会が独自の観点から承認した金額のみを支払うことで債務の一部が免除される制度だそうですが、このケースに兄は該当しますでしょうか?
ご返答・・・
保証協会の代位弁済は、国民の税金が原資ですから債務免除は簡単ではありません。
保証債務者がお身体の悪い場合やご高齢の場合は、見るべき資産がないという条件下において、和解された事例は少なくありません。しかし、お兄様は未だご高齢ではありませんから難しいのではないでしょうか。
ただ、お兄様の生活が厳しいのであれば、保証協会に説明して返済額の減額をお願いされては如何でしょうか。
私のご相談者では、主債務者企業が廃業している場合は、保証債務者の毎月弁済額は1000円~3000円程度の方が多いです。
一度、ご検討されてみてください。


以上が、質疑の内容になります。

ここで大事なのは、元本自体は毎月の返済により確実に減少していますが、14%を越える遅延損害金が発生しており、債務総額としては毎月増加しているというのが現実です。

随分と長い間、ご苦労をされて返済を続けられ、大変なことだったと思います。

しかし、今後、良い方向に向かうためには、どこかで、根本的な対応が必要となってくるのではないでしょうか。

 

   

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