公的機関の債務減免・・・


 

債権放棄は、借金を免除してもらうことですから、債務者にとっては益を得ることになり、その益について税金が発生しますので、具体的な対応が必要です。

一般的なサービサーによる債権放棄は、一部の弁済をすることにより、和解の手続きをして債権債務処理は終了することになります。

事業譲渡により債権放棄をしてもらう場合は、元会社を法的手続きにより最終処理しなければなりません。

債権放棄をしてもらうというのは凄いことですから、この様に、それに伴う様々な手続きが発生することになり、具体的に理解しておく必要があります。

 

公的な金融関係機関は、債権放棄をしてくれません。

同じく、債権譲渡なども、することはありません。

よく、信用保証協会の債権であるはずなのに、サービサーから債権回収について連絡があったので、債権譲渡をされたようだという話を伺います。

しかし、それは子会社の信用保証協会サービサーが業務委託を受けて、債権回収の窓口になっているだけのことで、債権譲渡をされたわけではありません。

金融債権の債権譲渡は、債権放棄が前提になりますから、債権放棄ができなければ債権譲渡もありません。

ここで、何故、債権放棄をしてくれないかと考えてみると、まず、基本的に債権放棄をするという明確なシステムがないからです。

また、公的な金融関係機関は、国民の税金を活用して運営をしているので、真面目に納税をする国民を裏切るような債権放棄はできないという考え方があります。

さらに、債権放棄は、借り手である債務者のモラルハザードを引き起こす可能性があり、容易に認められないという現実もあります。

この様な理由により、債権放棄は基本的に認められないのです。

ただ、基本的にということで、絶対に認められないわけではありません。

信用保証協会などは、『求償権の放棄に係わる基準について(全国統一基準)』というものがあり、一定の要件を満たせば、債権放棄も不可能ではありません。

しかし、求められる要件が極めて困難な内容であり、チャレンジしようとされる事業者も多くはないでしょう。

この様な状況ですから、この基準には期待できないということで、都道府県が独自の基準で条例を制定して、債権放棄を活用した事業再生に取組む事例も増えてきています。

さらに、この3月に『中小企業の事業再生等に関するガイドライン』の活用や『私的整理円滑化法』の施行などにより、債権放棄の活用が具体的に図られる環境になろうとしています。

このように債権放棄をめぐる環境は確実に変化し、その成功事例も増えてきています。

しかも、政府が方向性を明確にしたからだと思われますが、公的な金融機関系機関の債権放棄の事例が増えているのです。

その代表的な事例を、簡単にご紹介をしたいと思います。


信用保証協会が、正式に債権放棄をして、和解をしてくれる事例は以前からありました。

ただ、代位弁済後、一定の期間が経過していることや、債務者の誠意ある対応や状況などが、共通する前提となっていたのです。

Aさんは、15年ほど前に、経営していた会社が実質は倒産状況に陥り、信用保証協会の保証付き融資が代位弁済をされました。

債権者が、金融機関から信用保証協会に代わり、求償権により債権回収を求められ、Aさんは常に誠意ある対応を心掛けられました。

信用保証協会から連絡があれば必ずスムーズに対応をし、苦しい生活の中で精一杯の弁済もされ、最善の対応をされたといえるでしょう。

ある時、将来を危惧した奥様のお父様(義父)が、このままだと孫が可哀そうだから、自分の年金の中から可能な限りの資金を出すので、信用保証協会と交渉して終わらせることができないかと話がありました。

義父は年金生活者で、それほどの資金を出せるわけではありませんが、この提案を受けてAさんは信用保証協会に相談をされたのです。

債権元本の何十分の一の金額で、とても受け入れてくれない金額だと思われましたが、担当者は話を聞いて上司と相談をしてくれました。

その結果、こちらの条件で、正式に和解をしてくれることになったのです。

僅かな支払いで、大幅な債権放棄という結果になりましたが、15年という長期間と、Aさんの今までの誠意ある対応が結果を導いた直接的な理由だと思われます。


以前なら、無条件で債権回収を強要していた信用保証協会が、最近はこの様に、債務者の状況を見据えて対応をしてくれる様になっています。

ご高齢者や身障者の方には、以前より対応は緩やかでしたが、その傾向は更に顕著になっているでしょう。

あるご高齢の経営者は、会社が倒産して、10年ほど前に信用保証協会に代位弁済をされました。

その後、信用保証協会と常に連絡は取りあっていましたが、年金生活で常に厳しい生活状況だったので、満足な弁済はできていませんでした。

そんな時、信用保証協会の方から和解の話を提案されたのです。

債権元本の三十分の一ほどの和解額が条件で、簡単に用意できる金額ではありませんでしたが、子供がその資金を出してくれることになり、正式に和解ができました。

これなどは、連絡を絶やさなかった状況下で、債務者がご高齢なうえに、年金だけの生活が厳しかったことが理由になるのだと思います。


日本政策金融公庫でも、この様な和解事例は少なくありません。

先日は、金融事故になったばかりの保証債務の和解事例がありました。

Bさんは、経営者の娘婿で、その会社の従業員として働いてはいましたが、取締役などの役員ではありません。

日本政策金融公庫から融資を受けるときに、事業承継者になる可能性を示唆されて、当たり前の様に連帯保証人になりました、

しかし、その後、従業員としては残りましたが、離婚をされたのです。

さらに、しばらくして、義父の経営する会社は倒産で事業を整理し、Bさんは保証債務を請求されることになりました。

驚いたBさんは、すぐに日本政策金融公庫に連絡し相談をされると、僅かな金額で保証債務を免除されることになったのです。

これなどは、Bさんが取締役でもなく、離婚により経営者とは縁戚がなくなって、第3者の保証人が禁止されているというのが理由だろうと思います。

 

これらの様に、公的な金融関係機関でも、債権放棄は可能になりつつあります。

新しい政策が、債権放棄をテーマにしていますので、経営の厳しい事業者は視野に入れて検討をしてみてください。

既に、経営危機の打開において、現実の手段となってきたのかもしれません。

 

 

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