何のために、あれほど一生懸命に返済を続けたのでしょうか。
それしか方法がないのだと思い、生活を犠牲にしてまでも、優先して支払い続けていました。
もし、返済できなくなれば、大変なことになってしまうと勘違いをしていたからだと思います。
たった一つのことを諦めさえすれば、返済の苦しみからから解放されることに気付かなかったのです。
年齢を重ねるとともに、経営に関する社長の負担は大きくなのかもしれません。
しかし、それも遣り甲斐だと捉え、頑張ってこられました。
若い頃、失敗もありましたが、事業はあれほどに盛んだったのです。
地元に密着した不動産屋さんとして、地盤を築き確実に評価もいただきました。
バブル崩壊は、不良資産化した不動産を抱えたなかで、いつ倒産しても不思議ではなかったのかもしれません。
しかし、時間はかかりましたが、四苦八苦しながらも何とか切り抜けました。
ところが、リーマンショックが発生した時、それなりの規模の開発事業に取り組んでいたのが、今の苦境を作り出した原因だといえます。
それは、金融機関から資金を借入し、土地を開発して宅地化し、建築条件付きでの販売しようという事業計画になります。
開発事業の経験は多くはありませんが、知人が魅力的な土地を譲ってくれるということになり、事業化しようということになりました。
金融機関は当初より協力的であり、融資など前向きに取り組んでくれることになり、正式に事業がスタートしたのです。
当時、アメリカのサブプライムローンは、時折ニュースになるぐらいで、土地を購入した時点では何ら心配するほどではありませんでした。
ところが、開発に時間が掛かる中で、サブプライムローン問題として盛んに取り上げられるようになってきました。
そして、これから販売を開始しようかという時にリーマンショックが発生したのです。
未曽有の世界大恐慌ともいわれた様に、景気は一気に崩壊し、消費も極端に落ち込んでしまいました。
不動産市場が世界的に悪化する中で、販売を始めたばかりの開発事業も、実質凍結状況に陥るのに時間はかかりませんでした。
販売収入を当てにしていた返済計画に、大きな狂いが生じるのは自然な流れだといえるのでしょう。
元本返済どころか、利払いさえできなくなるまで時間はかからず、そのまま期限の利益の喪失をして、金融事故となってしまいました。
開発事業の宅地などの事業用不動産は、全て任意売却で処分し金融機関に弁済をしましたが、借入額の半分弱ほどにしかなりません。
残ったのは、担保に入っている小さな事務所ビルと社長の自宅だけです。
残った借入は、担保付きでサービサー(債権回収会社)に債権譲渡されたのですが、その頃には、社長も80歳を超え、事業意欲を喪失してしまい、体調も悪くなって、具体的な対応が全く取れない状況となっていました。
事業も廃業に近い状況になる中で、それをフォローされたのが二人お嬢さんになります。
社長である父親が、日々、経営の継続に圧し潰されそうになる状況を見て、姉妹はサービサーとの交渉の窓口となられました。
サービサーの要求は単純なもので、事務所ビルと社長の自宅を任意売却して1億円を弁済しろというもので、売却するまでは毎月20万円を弁済という内容になります。
しかし、自宅には認知症の母親も父親と同居しており、環境を変えるには大きなリスクがあり、そのまま住み続けさせたい希望があります。
事務所ビルも、小さいながらもテナント収入が毎月12万円ほどあり、できれば手放したくありません。
毎月20万円の弁済は、テナント収入と父親の年金なども充当しなければ足らず凄く大変ですが、両親のために何とかこの状況を維持したいというのが姉妹の希望になります。
しかし、サービサーは任意売却を強く要求してきており、言う事を聞かなければ競売も辞さずという姿勢を明確にしてきたのです。
この状況で、姉妹はどの様に対応をされるべきなのでしょうか。
できるものならば、不動産を買戻ししたいところですが、そんな原資はありません。
唯一の保証人である父親は、資産は全て喪失していますし、姉妹も借入ができる様な状況でもありません。
セール&リースバックをしたとしても、賃料を支払う余力さえもありません。
そうなると、自宅に認知の母親が住み続けるというのは、現実的に不可能だということになります。
この事実を確認できれば、大事なことは考え方を現実的に切り替えるということなのです。
不動産の任意売却を覚悟するしかないのが現実ですから、その手続きの中で、色々と考えることができます。
たとえば、できるだけ高く任意売却すれば、サービサーへ弁済した後の残金を手残しできるかもしれません。
また、引越し費用なども売却資金から確保できるでしょう。
さらに、不動産業としての仲介手数料など、合法的に手残し資金を確保することも可能になります。
さらに、所有している唯一の資産である不動産を処分する訳ですから、完全な無い袖は振れない状況となり、怖いものがないということになります。
債権者であるサービサーを恐れる必要がないということになりますから、弁済を停止することも可能なのです。
そもそも、高額の弁済を続ける必要はなかったと思います。
毎月12万円のテナント収入の確保と両親が自宅に住むために、無理して20万円という高額の弁済を続けるというのはバランスが悪すぎます。
弁済を停止すれば、毎月20万円という資金を確保できるという意味ですから、躊躇する必要はありません。
姉妹は、弁済しなければ、サービサーが競売をしてくるかもしれず、それを回避するために弁済をされていたのかもしれません。
しかし、任意売却が可能な状況で、サービサーが競売を仕掛けてくるものなのでしょうか。
一般的に、競売の落札価格は、任意売却額より随分と低額になる傾向があります。
債権回収の専門家であるサービサーが、わざわざ競売という無駄な努力をして、せっかくの任意売却という好機を逃して、債権回収額を減少させるとは考えにくいでしょう。
実際、競売になって困るのはサービサーであり、交渉で競売を口にするのは、単なる脅し捉えるべきだといえます。
この事実に気づいた姉妹は、任意売却に取り組むことにされました。
その条件は、毎月20万円の弁済を停止することで、サービサーも案外とすんなり同意してくれました。
さらに、任意売却後、無担保となった残債務は全額免除してくれることにもなりました。
ご両親は、姉妹のお姉さんが引き取ることになりましたが、環境は一気に改善に向かったといえます。
任意売却が終われば、あれほど翻弄されたサービサーから解放され、借金も消滅するのです。
この事実に、もっと早く取り組むべきだったといえるでしょう・・・。
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