勘違いし過ぎた施策・・・


 

コロナウイルスは、我々の常識を、様々な面で塗り替えたのかもしれません。

それは、あらゆるジャンルに亘り、常識だけではなく、組織やシステムの構造さえも作り変えてしまおうとしています。

当然、既存の知識や情報は通用しなくなろうとしており、この状況で何が最善かというキーワードで、組み換えが始まっているのです。

しかし、この現実に、銀行や政府は、まだ気付いていないのかもしれません。

 

 

この2年間、コロナウイルスに翻弄され続けてきました。

ビジネスの世界だけでなく、社会全体が、世界中が、コロナウイルスに掻き回されたといって過言ではないでしょう。

2020年初頭、インフルエンザの何倍もの致死率のあるウイルスが中国で発生したとニュースになった頃、これほどの大事件になるとは思ってみませんでした。

まるで映画の世界から飛び出してきたようなショッキングな現実は、対岸の火事程度にしか捉えていなかった我々を、当事者として強力に巻き込みました。

正しく『未曽有』の事態に、政府などはあらゆる政策を出動させ、中小企業に万全の体制を用意したといえるでしょう。

ただ、当初のコロナ施策は、先の全く予測できない環境において実施されたもので、バランス感に欠ける内容だったといえます。

『中小事業者を倒産させない・・・』、ただ、それだけをテーマに、施策を用意した様にさえ思えるほどでした。

用意されたコロナ融資は、通常はあり得ない融資システムだと断言できます。

『無担保』での融資は、欧米では珍しくありませんし、日本でも有事の環境でならば考えられるかもしれません。

しかし、『元本返済棚上げ』が、融資実行段階から組み込まれているというのは、異常としか表現のしようがありません。

さらに、『実質無利子』なのですから、金融システムを崩壊させるほどの、モラルハザードを無視した非常識的制度だといえるのです。

しかも、融資の審査である与信がユルユルで、ほぼフリーパスという状況でしたから、もはや融資とは呼べない様な資金繰り対策だったといえるでしょう。

それだけではなく、様々な給付金や協力金などが潤沢に用意されたうえに、支払いについても『猶予』が当たり前の様に可能となりましたから、倒産したくてもできない状況だといえます。


至れり尽くせりの施策が用意されていたのですが、この状況が、いつまでも続くはずもありません。


このままだと、財政が破綻してしまうと、政府や金融機関も薄々は判っていたのだと思います。

コロナ発生から1年が経過した頃、ようやく気付いたわけでもないでしょうが、施策に大きな変化が見られるようになりました。

あれだけ容易だったコロナ融資が、劇的に厳しくなってしまいました。

融資担当者は、『融資して、返済できますか・・・?』と確認してきますが、この状況で返済など出来るはずもなく、結果として融資は実行されません。

様々な『猶予』も見直しがなされ、継続ではなくなり、単発での対応が必要になってしまいました。

中小企業が雇用を維持し続けることのできた根拠である雇用調整助成金の特例についても、期限が見直され、今では短期の更新となってしまい、いつ特例が廃止されても不思議ではありません。


それから1年程が経過し、発表されたのが『中小企業の事業再生に関するガイドライン』になります。

コロナ終息に向けて、中小企業を本格的に事業再生させるためのガイドラインだと思っていました。

多くの経営者もその様に捉えていましたし、その様に喧伝もされていたのです。

ところが、内容は全く異なったものとなっており、『中小企業から債権回収をするためのガイドライン』と表現した方が適切だといえるのかもしれません。

1年ほど前に、このままでは財政が破綻してしまうと政府は気付き、政策を大きく転換させました。

それから1年が経過し、このままでは融資した債権が回収できなくなると、金融機関が気付いたとして不思議ではありません。

そして、債権回収を担保するための方法として『中小企業の事業再生に関するガイドライン』を策定したと捉えると、全ての流れに整合性が確保できてしまうのです。

コロナ終息後において、債権者である金融機関は、債権回収のための大きな武器を手に入れたことになります。

この『中小企業の事業再生に関するガイドライン』という武器を振り回して、本気の債権回収をしてくることになるのでしょう。

当然、金融機関の独り相撲というわけではなく、政府も強力にバックアップしてくるだろう現実を、我々、中小事業者は理解しておかなければなりません。

2年前は、コロナウイルスという外因から、中小事業者やその経営者を守るために、政府や金融機関は支援をしてくれていたのです。

一生懸命頑張っているのに、コロナウイルスという未曽有の外因で経営が悪化した事実を理解し、最大限の協力をしてくれていました。

ところが、あれから2年が経過して、突然に、経営責任を追及してきたのです。

ガイドラインでは、いたる所に経営責任について言及されており、債務の減免などとリンク付けしていますし、株主責任についてまで追及しようとしているのです。

これは、余りにも理不尽でしょう・・・。

コロナウイルスにより、経営が悪化した中小事業者に、経営責任を追求しようというのですか・・・。

コロナ融資をはじめとして、あれほど、様々な給付金や協力金,助成金などを用意して、資金繰り支援をしたのは、コロナウイルスという外因による影響を認めたからではないのでしようか。

経営者の責任による経営の悪化だというなら、給付金などを支給する必要などはありません。

今、もしも、経営責任を追及しようというのであれば、あのコロナ融資や給付金が何のためだったのか、責任者はまず明確にしなければならないでしょう。

 

金融機関等は、『中小企業の事業再生に関するガイドライン』が、コロナウイルス環境に限って適応されるものではないというかもしれません。

そうなのかもしれませんが、コロナ終息に向けたタイミングで発表されたことが問題なのです。

内容が、コロナ終息による経営環境を織り込んだものにもなっていますから、ガイドラインの目的や現実から目を背けるわけにはいきません。

こんな偏ったガイドラインを振り回して、金融機関が債権回収を実行しようとしているのかと考えると恐ろしくなります。

その結果、影響を被るのは善良な中小事業者であり、コロナ禍の被害者であるはずの経営者は丸裸にされてしまうのです。

この『中小企業の事業再生に関するガイドライン』は、要注意です・・・。

金融機関や、それを管轄する政府の担当者には、コロナウイルス禍における倒産が、本当に経営者の責任だと主張していいのか、再考をしてほしいと思います。

 

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