金融事故になると、債権者は、本気で債権回収をしてきます。
金融機関にとって、債権回収は最優先事項ですから、当然、可能な限りの手段を講じて、債務者に対応してくることになります。
債権者として、法的手続きや競売などといった言葉を好んで用いて、債務者にプレッシャーをかけようとしてきます。
そんな言葉に、債務者は恐怖や不安を感じてしまうかもしれませんが、そんなに慌てる必要はありません。
大手の銀行などから、地銀や信金信組、果てはノンバンクに至るまで、金融機関と呼ばれる組織は、債権回収については妥協をしません。
貸した金は、必ず返済させるという姿勢で、様々な手段を実施してきます。
返済が遅れると、訪問や電話などにより、担当者が督促を始めます。
利払いが数回滞り始めると、当たり前の様に文書での督促もしてきます。
さらに、期限の利益の喪失をして金融事故になると、内容証明郵便での督促が届くようになるのです。
内容証明郵便で督促されるというだけでも、普通の経営者であれば、大変なことになったと不安を感じて当たり前でしょう。
さらに、督促の文面は厳しくなり、法的手続きへの着手という表現さえ、遠慮なく使われ始めます。
郵便の文書だけでなく、担当者の口からも・・・
『このままだと、法的手続きに着手するしかなくなり、大変なことになってしまいますよ・・・』
『返済してもらわないと、差押などの厳しい手続きを執ることになってしまいますよ・・・』、などといった、言葉が発せられるようになります。
文書や言葉で、強圧的で脅しの意味をもつ表現を使い、債務者である経営者を攻めてくるのです。
これは、経営者を不安に陥れて、弁済に誘引しようという、債権者が債権回収を図る常とう手段だといえます。
しかし、法的手続きという表現に振り回される必要などはありません。
よほど、何の準備もせずに金融事故にならない限り、債権者が法的手続きをしてくるというのは織り込み済みではないでしょうか。
予測通りに、中途半端な脅しの表現を使ってきて、債権者が債権回収を図ってきたというだけのことなのです。
本当に債権回収のための差押をする気なら、突然の実施が効果的ですから、債務者に事前予告などするはずがありません。
そもそも法的手続きとは、訴訟や訴状、調停・審判の申立て、支払督促、公正証書、強制執行、内容証明郵便などのことになります。
内容証明郵便などは、その意味を知らなければプレッシャーを感じるかもしれませんが、単なる証拠として有効な郵便というだけでしかありません。
強制執行などは、金融事故になった段階から、当たり前のように実施されるだろうと覚悟している手続きではないでしょうか。
そう考えると、法的手続きという言葉に、不安を感じる必要など無いということになります。
競売においても、同じ様なことがいえます。
金融機関は、債務者が提供できる様々な不動産を、担保にして融資を実行します。
そして、その融資が事故になると、当然に不動産は担保として処分されることになります。
普通の知識で捉えると、裁判所の手続きである競売で処分されると考えてしまいますが、多くの場合は任意売却で処分する様に債権者は迫ってきます。
競売よりも、任意売却で処分する方が高値で譲渡できる可能性が高く、より多くの債権を回収できることになるからです。
ところが、債権者は、様々な場面で、競売という表現を脅しの意味で使い続けてきます。
『言う事を聞かないと、自宅を競売にするぞ・・・』と、いう様な表現になるのでしょうか。
この様に言われると、屈辱的な競売に着手されて大変なことになってしまうと、何も知らない債務者は不安になるのかもしれません。
しかし、競売の理屈を少しでも理解できてれば、これは債権者の脅しでしかいないことが簡単に判断できると思います。
損か得かを判断基準にする金融機関が、損をする可能性の高い競売を、簡単に選択するはずなどないでしょう。
競売といわれると、何か恐ろしいことをされるのではと思ってしまいますが、現実は、競売をされても恐ろしいことなどありません。
何よりも、債権者が競売を優先的に選択することなど、通常では考えられないのです。
金融機関は、債権の回収に全力を尽くし、あらゆる手段を講じてくるとご紹介をしました。
あらゆる手段というのは、法的手続きなどの正当な手段だけではありません。
脅迫や強圧的な手続きは平気で実施してきますし、金融機関によっては、貸し剥がしなどといった詐欺的な手続きをしてくるところさえ珍しくありません。
債務者にとっては、理屈が判っていなければ、不安を煽られる場面も少なくないでしょう。
それが、債権者の目的だといえます。
債務者を不安に陥れて、白旗をあげさせて、債権回収を図るためなのです。
この事実を、債務者としては、しっかりと認識をしてください。
そして、債権者の債権回収手段に踊らされないため、最低限の知識を持って対峙することが大事になります。
金融機関が、脅しをしてくるということは、具体的な債権回収手段を見つけられないということでもあるのです。
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