万策尽きたか・・・



政権トップが変わると、施策は大きく転換をします、

ここ最近の、政府の、中小事業者支援策を見ていると、明らかにハンドルを大きく切ったようなのです。

菅政権になって、コロナウイルスの中小企業支援対策の方向性は大きく変化し、菅総理お得意の『自助』を連想させる様な、効果の期待できない無責任な支援策が目につきます。

もはや、政府は万策が尽きて、本気で中小事業者を守ろうという気持ちなど喪失し、中小事業者は、正しく『自助』するしかないということなのでしょうか・・・。

 

菅総理は、自らの政策理念として「自助・共助・公助」を掲げておられます。

これについて野党は、「まず自助というのは政府の役割を放棄しているに等しい・・・」と、厳しく指摘をしてきました。

『自助』とは、他人の力によらず、自分の力だけで事を成し遂げるという意味になり、これを政策に掲げるということは、国の責任を放棄していると捉えられかねないからになります。

ところが、この『自助』を、中小企業に対する支援策においての基本にしようと、政府が考えているのではないかと思われるのです。

それは、最近に発表された支援政策を見れば、直ぐに明らかになると思います。

 ①  電気・ガスなどの料金を、1ヶ月繰り延べできることが出来る・・・

この施策は、以前より実施されているもので、本来であれば6か月間とか1年間という繰り延べ期間にすべきだと思うのですが、何ら検討することなく、1ヶ月ごとの繰り延べが続いています。

これは、免除ではなく、繰り延べ(猶予)なのですから、国民感情を忖度し、もっと大胆に実施すべきだと思います。

 ②  既存コロナ融資の、元本返済猶予期間の延長・・・

コロナ融資における元本棚上げの期間は、1年間以下が過半数を占めており、そろそろ返済が始まるという融資が増えてきています。

しかし、経営環境が一向に回復せず、資金繰り悪化に伴う倒産を抑制するために、金融庁は据置期間の延長を金融機関に要請することになりました。

 ③  民間金融機関の、実質無利子・無担保融資の延長・・・

上記②と同じ理由で、政府は、民間の金融機関の実質無利子・無担保融資を、来年の令和4年3月末まで延長することとしました。

ただ、信用保証協会の保証料については、有料化を検討しているということですから、事業者の負担は大きくなります。

 ④  日本政策金融公庫等による 設備資金貸付利率特例制度・・・

新事業・ビジネスモデルの転換、DX等の設備投資について、前向きな意欲を喚起するために、通常の適用利率から、当初2年間に亘り、▲0.5%金利を引き下げるという制度になります。

この施策などは、一般的な中小事業者にとって、このコロナ環境においては、ほとんど魅力のない施策だといえるでしょう。

 ⑤  期待される『事業再構築補助金』・・・

新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金。

極めて、効果の期待できる魅力的な制度だといえますが、申請手続きや補助金の入金時期,5年間の縛りなどに問題があります。


ここ最近の、政府の発表した支援策をまとめると以上の様になります。

直ぐにお気付きになるでしょうが、1年前に発表された施策とは、根本的に内容のレベルが違うのです。

まず、中小事業者の現状を維持させるために、政府が財務的に大きな負担を背負うような施策は一切存在しません。

金融・融資面においては、繰り延べや延期といった施策であり、負担はほぼゼロだといえるでしょう。

たしかに、信用保証協会の保証付き融資においてのリスクはありますが、あくまで金融事故なった場合の間接的なリスクでしかありません。

さらに、好条件での支援策については、中小事業者の前向きな取り組みが前提となっています。

事業者が、自らの努力で汗をかき、新事業・ビジネスモデルの転換、DX等の設備投資、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲をもって取り組む場合においてのみ支援策が実施されます。

現状の維持を図るという、中小事業者がコロナ禍で取組む当たり前の方向、ある意味ネガティブな面においては、支援策は用意されていません。

このコロナ禍を、国や行政の力に頼らず、事業者が知恵を振り絞り、自身の力だけでコロナ禍を切り抜けようという前向きな事業者にだけ、好条件の支援策が用意されているのです。

判り易く言えば、『自助』のない事業者は、支援しないということになっているのかもしれません。

 

アメリカのバイデン大統領は、コロナウイルス経済対策として、ある種強引に200兆円の予算を成立させました。

しかし、日本は、2021年度の一般会計の予算が、過去最大となるも106兆6097億円であり、そのうちコロナウイルス対策の予備費は5兆円に過ぎません。

アメリカとは比較のしようもない程に脆弱な財務内容だといえますが、税収は55兆円程しか見通せず、プライマリーバランスなど考えようもない状況ですから、仕方がないと割り切るしかないのでしょう。

この状況において、『自助』をテーマにした中小事業者対策を、菅首相や政府が考えたとして、何ら不思議ではありません。

そして、『自助』という言葉の裏側に、自らの力でコロナ禍を切り抜けられない事業者は、淘汰される環境になりつつあるということを肝に銘じておくべきでしょう。

 

 

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