知らぬ間に、格付けされていた・・・


 

ご存知でしょうか・・・?

銀行などの金融機関が、貴方をランク付けしていることを。

もちろん、勝手にランク付けをしているわけではなく、『金融検査マニュアル』という金融庁の設定した基準に則って、融資先である貴方にランクを付けているのです。

自分がどの様なランクなのかは興味深いところですが、金融機関の担当者に聞いても教えてはくれませんので、債務者としてのランク付けについて考えてみたいと思います。

 

かの人気ドラマ『半沢直樹』を視聴されて、金融機関も大変だなと感じられた方も多いでしょう。

金融庁の、揚げ足を取るような厳しい検査に対して、問題点を追及されないように、本業もそっちのけで支店挙げて対応する銀行の姿は、立場の弱さを感じさせて哀れでもありました。

そして、その厳しい検査が、『金融検査マニュアル』に基づいて実施されていたことをご存じの方も少なくないと思います。

バブル崩壊後の平成11年に、各金融機関がリスクを考慮した経営を行うことで、経営の健全化を図り、金融機関が足を踏み外さないようにという考え方を基に、金融庁が制定したのが金融検査マニュアルになります。

したがって、我々が金融機関と円滑に取引するにおいて、この金融検査マニュアルは大きな影響を及ぼすのですが、その中でも特に、リスク考慮策として具体化されている『融資先の債務者区分』については理解しておく必要があります。

 

実は、この金融検査マニュアルは、昨年12月に廃止をされてしまいました。

金融庁が、停滞する金融機関経営を打破すべく、各金融機関の特性を踏まえた引当判断を尊重するために廃止をしたのですが、当然に簡単ではありません。

私も、どう変化するかと注目し、結果をご報告しようと思っていましたが、コロナウイルス騒動などもあり、約1年が経過しても大きな変化は見られません。

というよりも、長年に亘り金融検査マニュアルが定着したために、自力で創意工夫をして取組むという能力を、多くの金融機関は喪失してしまっている様に感じます。

たしかに、メガバンクなどは、金融検査マニュアルに代わる自らの制度で運用をしているようですが、多くの金融機関は、以前を踏襲したままであり、それは債務者区分においても継続が基本の様なのです。

若干の捉え方などの変更はあっても、引当の考え方などは同じなのですから、債務者区分については今まで通りだということになり、大不況を乗り切るために理解を深めていきたいと思います。

債務者区分とは、銀行や信用金庫などの金融機関が融資先企業ごとにつけている格付け(ランク・区分)のことになります。

収益力、返済能力などの財務状況により決められますが、中小企業は、財務状況のみならず、技術力・販売力・成長性や代表者などの役員に対する支払い状況、代表者の資産状況なども勘案し、経営の実態を踏まえて判断するとされ、経営者の資質も考慮される点がポイントになります。

債務者区分は、以下の様に、大きくは5ランク、具体的には6ランクに分けられています。
   ・正常先
   ・要注意先
     ・・・その他の要管理先以外
     ・・・要管理先
   ・破綻懸念先
   ・実質破綻先
   ・破綻先

破綻などといった単語が並びますから、経営者としては心中穏やかではなく、自社がどこに該当するのか興味深いところです。

それぞれの債務者区分の意味を理解すれば、自らはどこの区分になるのか、おおよそは掴めるのではないでしょうか。

それぞれの債務者区分の、定義や具体的な意味合いについてご説明します。

 

 1.正 常 先 ・・・《理想のポジション》
債務者区分というランキングにおいて、正常先は最上位のポジションであり、対象となる企業が求める理想的なポジションでもあります。
健全な経営であることは当然ですが、「黒字」であることが正常先の前提とされています。
また、金融機関ごとに、各ポジションの中でさらにいくつかに細分化されており、財務内容は当然のこと、従業員数や年商といった事業規模や、資産の総額などさまざまな観点で区分けされており、

 

 2.要注意先
 《その他の要管理先以外》・・・《まだ、大丈夫なポジション》

財務諸表などにおいて、不安な要素があったり、債務返済において不安がある場合にこのポジションになってしまい、上から2番目のポジションですが、経営において注意が必要であると判断をされています。
繰越欠損が残っていたり、「営業利益」「経常利益」「当期利益」のどれか一つでも赤字であれば、要注意先にされてしまい、簡単に表現をすれば、決算書のどこにも赤字がなければ正常先で、それ以外は要注意先以下ということです。
要注意先になれば、正常先の時よりも金融機関の対応は厳しくなりますが、まだまだ融資が可能な企業として扱われます。

   《要管理先》 ・・・《リスケジュールポジション》
要管理先とは、要注意先の中で細分化された、返済リスクの高くなった債務者が対象となります。
債権の全部又は一部が3カ月以上延滞、または貸し出し条件を緩和してリスケジュールを実施すると、原則的に要管理先債権として扱われるようになり、今後の借り入れが困難になってきます。
約束通りに返済が出来ないわけですから、実質は破綻に近い状況ということですが、まだ、金融機関の支援は期待できるという、微妙で難しいポジションだといえるでしょう。

 

 3.破綻懸念先 ・・・《事業維持の瀬戸際ポジション》
破綻はしていないが、困難な経営状況に陥っており、このままでは破綻が懸念されるということになります。
要管理先との大きな違いは、向かうべき今後の可能性が「経営改善」か「経営破綻」かということになり、まさしく事業を維持・継続することが出来るのかという瀬戸際だということです。
キーワードとしては、債務超過状況が継続していることと、経営改善が進捗しないということが挙げられ、金融機関の新規融資は当然に難しいでしょうし、前向きな支援も得られる可能性は低いといえます。
表現すると、金融機関が支援体制を諦めて、債権回収の保全準備にかかるタイミングということになるのでしょうか。

 

 4.実質破綻先 ・・・《整理のポジション》
法的や形式的には会社は残って継続しているが、実質的には破綻しているという状況になります。
多額の不良資産を内蔵していたり、過大な借入金が残存していることにより、相当期間に亘り大幅な債務超過状況に陥っている状況です。
再建の見通しが立たず、金融機関も支援を打ち切り債権回収に係るタイミングということになります。
金融機関の隠語では「瀕死」と呼ばれています。

 

 5.破綻先 ・・・《倒産ポジション》
実質的に事業の継続が不可能になり、「破産」や「倒産」など文字通りに破綻しているのが「破綻先」です。
金融機関の隠語では「死んでいる」と呼ばれており、債務者区分の作業では、事実を確認するくらいであり、債権者金融機関も債権回収面で対応するだけとなっています。

 

以上が、具体的な債務者区分の意味合いになります。

どの債務者区分なのかで、金融機関との取引が大きく変わってしまうということがご理解いただけたのではないでしょうか。

要管理先以下では、現実的に新規融資は困難だということなのです。

さらに、債務者区分ごとに、金融機関は貸し倒れの引当をしなければならず、これが輪をかけて金融支援を困難にしています。

一律ではありませんが、要注意先債権で5%程度,要管理先債権で15%程度,破綻懸念先になると75%程度となっています。

金融機関は、これだけの引き当てを積む必要があるのですから、破綻懸念先についての融資などは不可能で当たり前なのでしょう。

自社が、どの債務区分になるのか、じっくりと検討されては如何でしょうか。

 

 

   詳しい内容は、ホームページをご覧ください,

          ↓

    トップ経営研究所 ホームページ

 

 

  会社再生・経営危機打開・事業承継オンラインセミナーをご覧ください,

          ↓

    YouTubeチャンネル

 

 

ランキングです クリックして応援してください

          ↓


ランキング人気ブログランキングへ

 

ランキングです クリックして応援してください

          ↓

      にほんブログ村 経営ブログへ

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>