今朝の日経新聞は、『大廃業時代の足音』がトップニュースでした。
全国に127万社もの後継者未定の中小企業があり、後継者不在を理由に廃業する企業のうち、約50%は黒字を維持しているというのです。
収支が黒字なのに、後継者が不在のために、廃業をするというのは不条理を感じます。
しかし、驚くのは、廃業をする残りの50%もの会社が、経常赤字であるという現実ではないでしょうか。
今朝の日経新聞のトップニュースは、非常に興味のある内容です。
ノーベル賞のニュースではなく、希望の党など政局に絡むニュースでもなく、さすが日経新聞というべき経済の記事です。
冒頭にご紹介をしましたように、しっかりと収益を確保しているのに、後継者が不在のために、廃業を選択するしかない中小企業が増加しているという内容です。
日本経済の礎となる、高い技術を持った優秀な中小企業が、後継者がいないという理由だけで、マーケットから退場しなければならないという現実は、これからの日本経済に不安を抱かせてしまいます。
政府も、この現実に、早急な対策を講じるとのことですから、大きな問題ととらえているのでしょう。
しかし、この記事において注目すべき点は他にもあります。
廃業する会社の約50%は、経常赤字だということです。
この記事のテーマは、経営の健全な中小企業が、後継者不足により廃業しなければならないという現実であり、不景気がテーマではありません。
ところが、同じ記事について少し表現を変えてみると、中小企業の廃業が増加しており、そのうちの50%は経常赤字が理由であるとなるのです。
倒産は減少しているといいますが、休業・廃業は増加をしています。
東京商工リサーチの数字を参考に、2007年と2016年の10年間で比較をしてみますと、倒産件数は14091件から8446件へと、5645件も減少しています。
しかし、休業・廃業件数は、約21000件から29583件にと、約8500件も増加しているのです。
廃業件数は、年間に7万件を超えるという他社のデーター報告もあり、廃業の理由が後継者不在なのか、経営悪化なのかについての正確な数字は判りませんが、驚くような件数になっているのは間違いないでしょう。
倒産件数減少という、政府やメディアの発表に、日本経済は好景気であると思っておられる方は少なくありません。
現実に、業績を劇的に向上させておられる顧問先も少なくはなく、経営者はこの『好景気』を思う存分に有効利用されています。
しかし、中小企業で、この『好景気』の波に乗って、上手く活用して業績を膨らませている経営者は、それほど多くはありません。
エンドユーザー相手の商売で、自らが売価設定できる事業者は、中小企業であろうともこのアベノミクスを活用できています。
しかし、ルートセールスで、価格支配力を持たない中小企業にとって、このアベノミクス景気は、活用のしようがないのです。
特に、ヒエラルキー構造の底辺で事業を展開する、2次や3次の下請けなどは、受注構造が極端に悪化してしまい、アベノミクスなどからは何の好影響も享受できません。
そして多くの中小企業が、この様な、底辺の事業展開者なのです。
廃業する理由が、後継者不在といいながらも、多くの場合は、将来の展望が開けないからではないでしょうか。
引退を迎える経営者は、常に右肩上がりであった高度成長からバブル経済という、日本経済の華やかな時代を経験しておられるでしょう。
しかし、現在は、右肩が上がらないどころか、下がったり持ち直したりという不安定な状況が続き、将来の展望は開けない状況です。
今は経常黒字でも明日はどうなるか判らない、この様な不確定な状況で、息子などの身内を後継者にというのは、父親として決められるものではありません。
制度的に倒産件数は減るとしても、実質的な倒産である廃業は、これからも減ることはないでしょう。
マーケットからの退場を倒産と捉えるならば、このアベノミクス景気においても、倒産件数は激増を続けています。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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