ここ数年で、中小零細事業者に関する債務処理の環境は、大きく変化したように思います。
特に、信用保証協会や日本政策金融公庫といった公的機関の債権者の場合、その対応は目に見えて変化したように感じます。
平成26年2月から3年が経過し、中小零細事業者の債務処理の方向性について政府が大きく舵を大きく切って、確実に成果は根付き始めたのかもしれません。
結論からご紹介すると、債権者である日本政策金融公庫や信用保証協会などは、債務者の環境に合わせた対応をするようになりました。
返済猶予などを申し込む段階においても、期限の利益の喪失をして不良債権となってからも、対応は変化をしています。
それまでの、債権者としての一方的で強引な対応から、債務者の状況を理解したうえで、無理や無茶な対応をしないようになってきました。
中小零細事業者の債務処理が、現実として、大きく変化をしているのです。
日本政策金融公庫や信用保証協会などの公的な機関は、金融事故となった債務者には、厳しい姿勢で対応するのが当たり前でした。
彼らは、国民の税金を原資としていますから、その債権について中途半端な対応などとれるはずもなく、『必ず返してもらう・・・』という姿勢を基本にしていました。
公的な機関として、債権放棄や債権譲渡などもできず、いつまでも債権者として我々債務者に接してくるのです。
民間の金融機関に比べる、やりにくい相手であり、その対応は簡単ではありませんでした。
ところが、最近は、債務者の状況に合わせた対応をしてくれるようになったのです。
期限の利益の喪失をしたり、代位弁済がなされたりして、債権者として、債務者を最初に呼ぶと、まずは状況を確認されます。
そして、返済が出来るような状況でないと判断すれば、無理な要求をしない様になりました。
以前であれば、まずは債務承認書に強引に記名押印をさせて、たとえ1000円でも分割で返済をさせようとしたのです。
ところが、そんな無茶な対応を、聞かなくなったように思います。
生活の確保も難しい様な債務者に対しては、返済が無理だという状況を基本に、強く返済を要求しなくなったのです。
債権放棄についても、フレキシブルな対応をするようになってきたと思います。
彼ら公的な機関は、債権放棄を極端に嫌がりますが、状況によっては容認する姿勢を見せる様になってきたようです。
年金だけで生活している老夫婦が保証人であった事例で、信用保証協会から和解の提案があり、債権放棄をしてくれた・・・。
十数年前に代位弁済をされ、その後も債務者企業名で毎月弁済を続けていたが、信用保証協会から保証人名で支払うよう指示された・・・。
友人の弁護士さん曰く、以前は、信用保証協会が債権放棄を否定するので、民事再生も難しかったが、最近は前向きに取組んでくれるようになった・・・。
以前であれば、考えられなかったようなことが、最近は当たり前のようになってきたといえます。
生活にさえ困窮する様な債務者には、日本政策金融公庫や信用保証協会も随分と人間的な対応する様になってくれました。
しかし、全てに人間的な対応をしてくれるようになったわけではありません。
債務者の状況に合わせて対応をするというのは、余力のあるところからは、しっかりと回収をするという事になるのです。
現実的に、事業を続けている債務者に対して、弁済を猶予することなどは考えられません。
それこそ状況に合わせ、無理や無茶な、高額の分割弁済を要求してくるでしょう。
余剰価値のある不動産を所有する債務者であれば、その処分を強要したり、最低でも担保提供を要求してきます。
事業を継続していることを、余裕があると捉え、その余裕に対して、債権回収を仕掛けてくるのです。
なぜ、事業を継続していると債権回収に厳しい姿勢を見せ、廃業をしているとフレキシブルな甘い対応をするのでしょうか。
人間的な視点で見れば、正しい方向なのかもしれませんが、経済的な面からみれば疑問が残ります。
厳しい資金繰りでも、一生懸命に事業を維持しているのに、無茶な弁済を要求して、その結果、事業が破綻すれば経済的には大きなマイナスです。
本来は、そんな環境でも頑張る事業者に対して、温かい支援の手を差し伸べるのが日本政策金融公庫や信用保証協会といった公的な機関の役割だとも思います。
彼らの、最近の変化は、中小零細事業者にとっては有難といえますが、頑張ったら損をするというシステムは、見直して欲しいとも思います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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