何でも、100%を求め、完全な仕事をしようとされる方がおられます。
目的を認識した立派な対応ですし、通常の世界では大事なことでしょう。
しかし、経営危機間場面において、資産を守ろうとする場合には、この姿勢は問題になることが多いように思います。
窮鼠猫を咬むといいますし、四面楚歌ともいい、逃げ口がなければ反撃するしか方法がなくなりますから、20%程度は抜けた対応があったほうが、良い結果が得られるのです。
このままでは、資金繰りが破綻してしまう。
もはや、銀行からの借入金の返済を、元金も利息も止めるしか資金繰りを確保する方法はない。
しかし、そんなことをすれば、銀行は怒って、本気で債権回収をしてくるかもしれない。
仕方がない、銀行にある普通預金も定期預金も、守るために全て事前に引き出しておこう・・・。
この流れは、正しいようで、大きな間違いを犯していると思います。
たしかに、資金繰りに窮して追い込まれれば、思考はぐるぐる空回りしてなかなか答えが出ず、結局こんな選択になるのかもしれません。
しかし、こんな選択をすれば、大騒ぎになって収拾がつかなくなる可能性が高いのではないでしょうか。
利息も支払えない様な厳しい経営状況であれば、債権者である銀行に監視をされているといってもいい状況です。
そんな状況で、銀行に連絡もせずに、強引に預金を全て引き出せば、まず担当者が飛んでくると思います。
厳しい態度の担当者に、法的手続きなどをチラつかされ、散々に脅された揚句、結局は利息どころか元金さえも約束通りに払うことになってしまうのが落ちなのです。
後先考えずに、自分の事だけを考えて行動すればこんな結果になってしまい、こんな結果は決して珍しいことではありません。
資金繰りが確保できないから、返済を止めたいということは理解できますし、預金も守りたいという気持ちも判ります。
しかし、返済を止めることだけを優先し、銀行にある預金を凍結されないため、定期預金を含め全ての預金全額を、銀行の担当者に何の連絡もせずに解約し引き出したとすれば、これは大きな問題になります。
銀行を怒らせて、当然の対応なのです。
資金繰りを確保するのが目的であるのに、逆に、資金繰りを更に悪化させてしまいます。
資金を守るために、預金を引き揚げるのなら、次の展開を考えて引き出すべきです。
しかも、預金額の満額を引き揚げるなどというのは、絶対に回避したい対応なのです。
全ての預金の全額を、一気に引き揚げるというのは、当然に作為的な行為として、銀行には捉えられてしまいます。
何らかの思惑があって実施したとして、その後の言い訳が出来なくなり、銀行との関係を極端に悪化させてしまう可能性が高いのです。
資金を守るというのが目的であるならば、全てを確保しようとせず、あえて損をすることも大事だと思います。
定期預金が複数あるのなら、解約せず引き出さない口座を残しておくという、間抜けな対応が銀行に対応するには必要なのです。
それで、銀行の担当者も、詐害という疑いを薄め、次の追及を緩めることになるでしょう。
また、定期預金を解約し引き出すときには、必ず根拠を用意しておくべきだと思います。
銀行は、法的には根拠はありませんが、定期預金を担保と同じ様に考えている傾向があり、定期の解約には難色を示す事が多いのです。
したがって、新たな融資をしてもらえないから、支払いのために定期預金を使う・・・などといった根拠が必要となります。
担当者に、事前に話を通しておくのは、当たり前のことでしょう。
目的が、資金繰りを確保することで、そのために借入の元本・利息の支払いを止めるというのであれば、事前に次の展開をしっかり予測しなければなりません。
利息の返済を止めるというのは、期限の利益の喪失をして不良債権化に直結します。
その後の銀行の動きは激変しますから、事前に予測して、それに合わせた対応しなければ、厳しい追及をされて最悪の結果を招くことにもなります。
しっかりと展開をシミュレーションしておくのと同時に、何よりも、債権者に精一杯の誠意を示し、疑われない様に『隙を見せる』ことも大事です。
隙を見せ、用心されないことが、目的を達成させる近道なのかもしれません。
ガチガチの対応は、状況を悪化させるだけですから厳禁です。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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