無い袖は振れない・・・


 

年末、いただいたメールの中で、ちょっと勘違いされているものがありました。

『無い袖は振れない』と『任意の第2会社』についてです。

基本的な捉え方は間違っていないのですが、良い結果を得るための前提が考慮されていない様なのです。

倒産回避や経営危機打開のためには、しっかりと理解しておく必要がありますので、ブログで触れさせていただきたいと思います。

 

『無い袖は振れない状況だから、何の心配もない・・・』

債権債務を処理する場面において、この言葉は正しいようで、何かが足りない勘違いした表現になると思います。

借入の返済などが出来なくなったりすると、返済を求める債権者は様々な手段で債権を回収しようとしますが、最終的には強制執行しか方法はありません。

したがって、返済の義務のある債務者に、強制執行の対象となる資産がなければ、債権者は債権回収をすることが出来ないということになり、債務者は債権回収を恐れることがなくなりますから、この状況を『無い袖は振れない』といいます。

債権債務処理における、最終的な究極の判断基準になるといえるのです。

 

私も、『無い袖は振れない』論者です。

倒産回避や経営危機打開が必要な状況で、事業や関係者の生活を守るために考慮すべき選択肢であり、緊急避難的な効果は絶大だともいえます。

ご相談者へのアドバイスにおいても、資産が無ければ債権者の最後の債権回収手段である強制執行も意味が無いという『無い袖は振れない』について、具体的にご説明をしてご理解をいただくようにしているのです。

ただし、条件と前提があることを忘れるわけにはいきません。

それは、本当に無い袖は振れない状況なのかということと、人の気持ちを考えて対応をしているかということです。

この2点を満足してこそ、『無い袖は振れない』の意味があることになります。

 

最近、声高に無い袖は振れない状況だから、無視すればいいという様な表現を目にし耳にすることが少なくありません。

債権者から連絡があっても、無視して対応などしなくていいという論法です。

これは、あまりにも乱暴な取組み方で、根本的な勘違いをしており、この様に対応をすれば大きなリスクを背負うことになってしまいます。

社会を生きていく以上、本当に無い袖を振れないという状況を作るのは、実は難しいのです。

たしかに、不動産などの高額の資産や車,生命保険,有価証券などの目立つ資産は無いかもしれませんが、強制執行の対象となる資産は様々に存在します。

生活をするための収入である給与や報酬も資産です。

公共料金の引き落とし用の預金口座も資産であり、強制執行の対象となるのです。

年金生活でもしない限り、生きていくうえで本当に無い袖を振れない状況というのは難しいのです。

強制執行の対象となる資産が、現実的には様々に存在するのに、債権者を無視しろというのだから驚きます。

債権者側の担当者も、感情のある人間なのです。

誠意ある対応をすれば、それなりのフレキシブルな対応も期待できますが、侮辱する様な対応や無視するなどすれば、厳しい対応をしようとするのが人間なのです。

 

現実的に、『無い袖は振れない』を勘違いしてしまい、誠意のない対応をしたことによって、悲惨な結果になった債務者は少なくありません。

非現実的な債権回収手段である家財道具の差押や、勤務先を徹底的に調べられたうえでの給与の差押,得意先の売掛金の差押えによる取引停止などです。

債権者担当者の人としての感情を悪化させてしまい、その結果、徹底的に調べられて債権回収の手段として強制執行を実行された事例は珍しく無いのです。

こんなことになれば、せっかく第2の人生をスタートさせたのに、元の黙阿弥で、またマイナスからの出発になってしまいます。

『無い袖は振れない』を有効に活用したいならば、絶対に、債権者をなめては駄目です。

誠意ある対応を基本にして、資産が無い、払える状況にないという現状を理解してもらうことが前提になります。

それにより、『無い袖は振れない』が効果的な選択肢となってくるのです。

 

  詳しい内容は、ホームページをご覧ください,

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