一昔前ならば、借入金の元本返済ができないだけで倒産しても不思議ではありませんでしたが、 時代は変わったようです。
この時代は、倒産しそうな厳しい状況でも、事業を維持する方法は様々に存在するようになり、中小零細企業は簡単に倒産などしなくなったのです。
事業を維持させる方法の中でも代表的なのは第二会社方式であり、事業維持については最も効果的であるとも思います。
ただ、この第二会社方式は、なかなか理解が難しく、誤解されやすい制度でもあるのです。
第二会社方式というのは、収益性の確保できる事業や部門を、事業譲渡や会社分割の手続きを利用して、第二会社である別法人に譲渡・移転することにより、結果として事業の維持を図る方法の事になります。
第二会社が事業承継できれば、不採算部門を残した旧会社は、最終的に特別清算などで整理することにより処理をします。
事業の維持を優先するために第二会社を活用することにより、従業員の雇用を維持することが出来たり、仕入先や外注先の仕事も確保できる可能性が高くなるのです。
経済的には、整理や破たんを選択するよりも、はるかに合理性があり効率的であるという事になります。
この第二会社方式というのは、単純な1つの仕組みではなく、同じ事業の維持を目的としながらも幾つかの仕組みが存在します。
『昔からある、完全任意の第二会社』,『債権者との調整を前提とした第二会社』,『中小企業庁創設の第二会社』という3つのパターンに大きく分けることが出来るのです。
『昔からある、完全任意の第二会社』とは、債権者の同意を前提とせずに、第二会社を設立して事業を譲渡する第2会社方式の事です。
別名義・別資本等で第二会社を設立し、息子や番頭さんなどが経営を引き継いて、事業を承継・維持するという基本的な流れになります。
旧会社の債務は、最終的には、残された代表者が連帯保証人として処理することになりますが、従業員や取引先といった社会的弱者の環境を確保できるというメリットは大きいでしょう。
現実問題として、本当に事業の維持に窮しており、体力的にも弱っている中小零細企業にとって活用できる唯一の方式であるといえます。
ただ、債権者の意向を前提としないため、詐害行為として疑われ易いという欠点があります。
『債権者との調整を前提とした第二会社』とは、中小企業再生支援協議会や私的整理ガイドラインなどに則り、債務者の同意を前提に、新設分割会社や第二会社に事業譲渡をする方式の事です。
合法的に、第二会社を設立して事業を譲渡し維持する方法として、中小企業再生支援協議会や認定支援機関なども前向きな姿勢を見せてはいましたが、それは建前だけであり、債権者との調整を嫌い、本音とは乖離しているようでした。
何よりも、債権者が基本に否定的であり、よほど社会的存在生意義がないと、検討の対象とさえならなかったのです。
現実的には効果的に活用されておらず、本気で事業の維持を図りたい中小零細企業にとっては、無駄に時間と費用だけ消費させられるのが実態だったようです。
『中小企業庁創設の第二会社』とは、中小企業の事業再生の円滑化を目的として中小企業庁が創設した第二会社方式で。新第二会社方式とも呼ばれています。
第2会社を活用して事業再生を目指すものに対して、中小企業承継事業再生計画の認定を受けることを前提に、営業上必要な許認可の承継,税負担の軽減,金融支援などを受けることが出来るようになりました。
これらは、今までの第二会社方式が抱えていた問題であり、解決できたことにより効果的な活用が可能になったわけです。
また、各種再生支援機関や政府系金融機関なども協力的な姿勢を見せており、今後の活用が広がると期待されています。
ただ、中小企業承継事業再生計画の認定を受けることは簡単ではなく、収益面,資金繰り面など財務的に余裕のある企業しか対象にならないのが実態です。
したがって、既に資金繰りに苦しんでおられる中小零細企業にとっては、簡単に取り組めるものでは内容です。
これらが、第二会社方式の3パターンの基本です。
詳細は、簡単にご説明出来るような内容ではありませんが、第二会社方式を活用して事業維持を図ろうとされているならば、3パターンを理解したうえで取組むべき方式を選択しなければなりません。
次回は、3パターンのメリットとデメリットを前提に、財務的余力に劣る中小零細企業の選択すべき方式について考えてみたいと思います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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