その信用金庫は、個性の強い金融機関として有名でした。
下位の地方銀行など、はるかに凌駕する程の業績を確保しています。
工夫を凝らした積極的な営業展開は、消費者の注目を集めるほどです。
そして、何よりも、債権回収の姿勢は、他の金融機関では見られないほど特徴があり強烈でした。
信用金庫にしては、何事に対しても前向きで、個性的な対応をする金融機関です。
アイディア満載で、独自の広報戦略などニュースになるぐらいで、その戦略的な営業展開が業績につながって当然だといえるでしょう。
融資姿勢も、債務者に対してフレキシブルな対応で、他の金融機関が融資を断っても、この信用金庫が融資を実行することは珍しくありません。
担保等での判断ではなく、債務者本位の与信による貸付姿勢と言えば、あまりにも聞こえが良すぎるのかもしれませんが、それほど、資金繰りに窮した中小零細企業にとっては有難い存在だといえます。
しかし、・・・・
融資姿勢が緩い分、債権回収の姿勢は厳しいのです。
融資が緩く、債権回収も緩ければ、金融機関の経営が破綻してしまうでしょうから、融資姿勢と回収姿勢が反比例するのは当然なのです。
しかし、その信用金庫の債権回収は特に厳しいものがあり、他の金融機関では見られない様な対応も少なくありません。
債務者企業の経営状況が悪化し、融資の期限の利益の喪失をすると、直ぐに、第3者の連帯保証人さんの資産に仮差押をしてきたことがあります。
普通は、連帯保証人さんとの間で、何らかの事前対応があるのですが、突然の仮差押でした。
また、事業継続する方向で頑張っていた中小零細企業なのに、その売掛金を、期限の利益の喪失後すぐに仮差押してきたこともあります。
売掛金の仮差押や差押は、事業を継続しようとする中小零細企業の息の根を止めることになるので、普通の金融機関はなかなかしないのです。
この信用金庫は、債権を回収するという目的のためであれば、マキャベリズムを発揮して何でも有りだということなのでしょう。
この信用金庫が、またビックリするような債権回収をしてきました。
対象となる中小零細企業は、資金繰りが悪化し経営破綻して、10年ほど前に廃業をされています。
その信用金庫から、事業資金の借入もされていましたが、支払える資金も無く、6年ほど前に裁判になって時効は10年に延びましたが、ずっと弁済は止まったままでした。
連帯保証人でもある経営者は、自宅を持っておられ、同じ信用金庫から住宅ローンを借りておられましたが、正常弁済をする事を前提に事故にならず、その後も所有し住み続けることが出来ていたのです。
その時の実勢取引評価は1500万円ほどで、住宅ローンの残債は1700万円ほどで、毎月9万円の弁済という状況でした。
それから、10年程が過ぎて、信用金庫から突然に連絡が入りました。
住宅ローンの弁済として毎月支払っている9万円を、連帯保証人としての破綻した事業用融資の弁済に充当するというのです。
長年、滞ったままの廃業した会社の弁済に充当すると一方的に通知されたのですが、たしかに、連帯保証人であることは間違いありませんから、抵抗する根拠はありません。
しかし、これでは、住宅ローンの弁済が止まったことになり、近々に事故になってしまいます。
この時の実勢取引評価は、最近の地価高騰で1700万円ほどで、住宅ローンの残債は1000万円程 になっていました。
競売においても、完全に無剰余の状況で、信用金庫にすれば住宅ローンの残債をまず100%回収出来るという状態になっていたのです。
このタイミングまで、信用金庫は10年もの間、ずっと黙って待っていたのかもしれません。
信用金庫は、最も多く債権回収できるこのタイミングを見計らって、債務者である経営者が最も困る方法の対応をしてきたといえるのです。
債務者としては、抵抗するすべはありません。
この自宅を買い戻すかセール&リースバックの方法をとるか、諦めるか、信用金庫の言う通りに従うしか方法はないのです。
幸い、信用金庫は、9万円に3万円程をプラスすることにより、自宅は事故にしないと言ってくれました。
当座は、この言葉を信用して、誠意ある対応をするしかありません。
この信用金庫の、知恵を振り絞った対応は、極めて効果的であったといえるでしょう。
しかし、債務者の立場からすれば、こんなしつこい金融機関とは取引したくないと思うのは私だけでしょうか・・・。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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