倒産しても、店舗は守る・・・


会社が倒産しても、全てを失うわけではありません。

破産をしても、自宅や、一定の資産を合法的に守れる時代になっています。

取組み方次第で、会社の一部の事業を維持し続けたり、経営者の一部の資産を守ることも不可能ではありません。

ただ、その性質により、守りにくい資産があるのも事実であり、その代表的なものが事業用の店舗だといえますが、守るための方法は存在するのです。

 

経営危機に陥った小売業者が、第二会社を活用して、事業の維持を図ろうとするのは簡単ではありません。

それは、小売りをするために必要不可欠な店舗を、維持して守るのが一筋縄ではいかないからです。

小売業者の店舗の存在は、当然に債権者の金融機関等も知っています。

金融事故になった後、その店舗が、いつのまにか違う会社の所有になっていたら、債権者はどの様に思うでしょうか。

会社は変わったとしても、もしも、お店の名前が同じで、店舗の造りも同じで、働いている従業員まで同じであれば、この店は前の会社のダミーではないかと債権者は疑い、『詐害行為』だと考えて取消請求をしてくるかもしれません。

そんな、詐害行為の追及をされないように、店舗を第2会社に譲渡するのが難しいのです。

しかし、 具体的なストーリーと、それなりの時間をかけて、債権者への様々な配慮することにより、ある程度の店舗を守れる可能性はあります。

当然、全ての店舗の譲渡が上手いくいわけではなく、70%~80%の譲渡が上手くいけば成功と考える必要があります。

しかし、このコロナウイルス禍の環境では、第2会社への店舗の譲渡が随分と容易になっているのではと思われます。

コロナウイルスによる景気悪化をストーリーに取り入れることにより、第2会社への店舗譲渡に経済的合理性を付与することが出来て、スムーズに取り組める可能性があるからなのです。

最近、コロナウイルス禍を活用して、全ての店舗をスムーズに譲渡できた、そんな成功事例がありましたのでご紹介をしたいと思います。

 

Aさんは、小売店を3店舗経営されていますが、ここ数年、業績が悪化して資金繰りも厳しくなっていました。

破産も視野に入れる様な状況になって、Aさんは、第2会社の活用の可否について模索を始めたのです。

事業の金融機関からの借入は全てリスケ中で金利だけ払っており、個人カードローンの借入も多く、国税・社保の支払も遅延しています。

事業は、営業赤字の状況ですが、ほとんど経営改善が実施されておらず、少し手を入れるだけで十分に業績回復が期待できるように思います。

有利子負債が重く圧し掛かって資金繰りを圧迫していますので、現状の事業形態での継続は困難ですが、人格の違う第二会社であれば、十分に事業の継続が可能だと判断されます。

幸い、Aさんには、今は立派な美容師として活躍されているお弟子さんがおられ、そんなお弟子さんが、師匠を心配して会社を設立されました。

完全に人格の違う会社を設立し、事業と店舗の維持を図る方向で取組むことになったのです。

手続は以下の様になります。

第1段階・・・税金・社保を訪問し、現状の説明と今後の納税の意志を伝え、協力を依頼

第2段階・・・事業と店舗の譲渡が完結するまでの資金繰りの確保 1年程度は必要
    ・・・同時に、お弟子さんが第2会社を設立

第3段階・・・経営改善計画の策定と、債権者への説明
    ・・・不採算店の閉店について、事前に債権者同意を取り付ける

第4段階・・・閉店費用を回避するため、債権者同意のうえで第2会社に店舗を譲渡
    ・・・譲渡費用から一部を債権者に弁済
    ・・・この段階で、不採算店として、2店舗を譲渡し、優良店1店舗が残る

第5段階・・・残りの優良1店舗も、コロナウイルス禍により業績悪化
    ・・・赤字垂れ流しのため事業譲渡を検討・・・債権者相談

第6段階・・・残1店舗を第2会社に事業譲渡
    ・・・債権者同意の下、譲渡費用より一部弁済

取組みの大きな流れとしては以上の様になり、難しい手続きではないように思われます。

しかし、債権者から異論が出たり疑いを持たれないため、第二会社がスムーズに事業継続ができるための、幾つかの重要なポイントが含まれていますので、そのポイントについてご説明をいたします。

 ①  第2会社は、経営改善を実施することにより、黒字の確保が可能であった。

 ②  対応期間の、資金繰り確保が可能であった。

 ③  国税や社保が、こちらの迅速・前向きな対応により、満足し協力的であった。
   ・・・・国税は既に完納,社保は今後も完済を目指す

 ④  経営悪化から閉店までの根拠を明確にして、展開をストーリー化できた。

 ⑤  債権者に事前説明し、同意を取り付けることが出来た。

 ⑥  タイムチャートを作成し、手続きに十分な時間をかけることが出来た。

以上のポイントを抑えることにより、手続きが自然になり、債権者に違和感を抱かせることがありませんでした。

今回は、幸いにも、店舗全てを第2会社に譲渡することに成功しましたが、これはコロナウイルス禍による景気低迷を根拠にできたことも大きく影響していると思います。

会社はこんなに頑張っているのに、コロナウイルスの影響でどうしようもない・・・ということで、関係者全てが納得するしかなかったということなのでしょう。

 

 

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