サービサーの対応が、急激に変化しました。
あれほど、頻繁に連絡をしてきて、無茶な要求を繰り返していたサービサーが、あまり連絡をしてこなくなりました。
たまに連絡があっても、妙に大人しく、そして優しくなったのです。
コロナウイルスは、債権回収の場面さえも、劇的に変えてしまったのかもしれません。
今、日本中で、信じられない様な事象が、中小事業者の金融場面において発生をしています。
融資をはじめ、あらゆる場面において、常識を覆す様な制度が用意され、現実に実行をされているのです。
常識で図れるような対応では、このコロナウイルスの影響には対応できないということなのかもしれません。
そうすると、当たり前であったことが、当たり前でなくなったという現実が、経営者にとって重要なキーワードになってくるのでしょう。
この変化を理解できなければ、事業を拡大することは当然に、維持することさえ難しくなるのではないでしょうか。
核戦争が起きたわけでもなく、会社が倒産したわけでもなく、食中毒を発生させたわけでもないのに、売上が、一瞬で喪失してしまうのです。
それは、1社に限定されたものではなく、1地域や、1業種といった、特定の話でもありません。
影響の連鎖により、ほぼ、日本中の全ての事業者が対象となって、想定もしていなかった事態に追いやられてしまいました。
これは、当たり前の様に、発生した現実なのです。
ただ、全てがネガティブで、悪い方向の話ばかりではありません。
環境の激変により、ポジティブな事象も様々に発生をしています。
経営危機に陥って破綻に瀕していた事業者が、新たな資金を確保することが出来る様になりました。
リスケジュール中にも関わらず、コロナウイルス関連の融資制度を活用し、新規融資を受けて資金繰りを確保した事例は珍しくもなくなりました。
コロナウイルス対策により実施された制度や、緊急事態宣言への対応において、事業が活性した事業者もおられます。
長年のビジネス構造の変化により窓際に追いやられていた業界や、休息・休業への対応や防疫に関して対応する業界が、一躍脚光を浴びて業績を向上させている事例も少なくありません。
コロナウイルスの影響を、ポジティブに享受されている方も少なくないのです。
サービサー・・・債権回収会社・・・との対応を迫られている事業者も、その1つだといえるでしょう。
多くのサービサーは、年度末にかけて、金融機関の不良債権について債権譲渡を受けます。
債権回収の見込みの薄いポンカス債権を、パルクセールという方法で入札により権利を落札し、サービサーは債権者の地位を得るのです。
本当は、僅かな金額で取得をしたのに、残債権の額面を請求する権利を取得したサービサーは、まず債権者が変更したという通知を、借入をしていた債務者に送付します。
その後、4月中旬から5月にかけて、弁済に関する通知が郵送されて、弁済についての交渉が始まるのが一般的だといえます。
ところが、債権譲渡に関する通知は届きましたが、その弁済に関しての通知が、なかなか届きません。
通知が届いたのでサービサーに連絡してみても、通常とは違い、妙に対応が緩やかなのです。
今までとは全く異なり、サービサーに、債権回収に対する強い姿勢が見られません。
サービサーの変化は、それだけではありません。
コロナウイルス以前に債権譲渡がなされ、既に弁済についての対応が始まっている案件においても、サービサーの対応は激変しています。
あれほど実現不可能な無茶な要求ばかりしてきていたサービサーの対応が、突然にトーンダウンしました。
連絡は減少し、言葉遣いなども紳士的になったのです。
それまでの、サービサーの追及の厳しさに、精神的に追い込まれて匙を投げようかと考えておられて事業者が、今は安穏とされているほどに変化をしています。
こうなった大きな理由は、金融庁やサービサー協会の指導により、緊急事態宣言の発令を受けて新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、従業員の出社制限や営業時間短縮等、各業務を一部縮小していたことが挙げられます。
業務を縮小したために、サービサーとして積極的な債権回収を実施できなかったということなのです。
たしかに、その通りだと思います。
しかし、中小事業者の資金繰りを確保するという政府の強い姿勢や、リスケジュール中でも新規融資が受けられるという現実を考えれば、果たしてそれだけが債権回収姿勢の変化の理由なのでしょうか。
他に、何らかの意思が働いている様に思えて仕方がありません。
緊急事態宣言が解除されて随分と経ちましたから、その答えも、そろそろ見えてくると思います。
コロナウイルスは、債権回収の秩序さえも、破壊してしまったのかもしれません・・・。
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