信用調査会社と与信・・・


 

有名な信用調査会社から連絡が入った。

『信用調査の依頼を受けまして・・・。』とのことだが、依頼元の素性は明かしてくれない。

得意先か取引先が信用調査をしてきたと思われるので、慎重に丁寧な対応するが、本当に、依頼があっての調査なのか怪しげである。

単に、信用情報を集めるための方便なのかもしれないが、業績に影響を与える可能性もあり、商売人として、誠実で卑屈な対応をするありません・・・。



ほとんどの企業にとって、与信(与信管理)は必要不可欠な手続きだと思います。

与信とは、商取引において、顧客の信用状態を把握し、把握した内容に合わせて対応を実施することになります。

対象は、得意先(債務者)から取引先(債権者)まで、商品の流通に関与して、その対価の発生から清算までにタイムラグのある関係者全てが対象となります。

よく、新規取引の時に与信をされ、それ以降の取引においては与信をされない方がおられますが、これは問題だと思います。

与信は、商品の流通,資金の動きという面において、新規の取引を始める最初だけの一時的な行為ではなく、恒常的に実施することで大きな意味を持つことになるのです。

私の業務からいえば、与信管理には次の2つのパターンがあります。

① 取引開始時における、お得意様や取引先の経営状況の確認。
② 取引開始後における、恒常的なお得意様や取引先の経営状況の把握。



最初の①については、冒頭でもご紹介をしましたが、信用調査会社の資料を参考にして経営状況の確認をするのが一般的なのかもしれません。

しかし、信用調査会社が保有する資料というのは、建前的な資料でしかなく、実態や本質を把握できるような信憑性の高い内容ではありませんから、あくまでも参考程度と捉えてください。

たしかに、大企業等においてはコンプライアンスの問題から、建前=実体に近いのかもしれませんが、あの東芝でさえ粉飾をするのですから、中小企業においては、建前と実体は乖離していて当たり前と考えるべきではないでしょうか。

信用調査会社の資料は、今後の取引に影響を与えることが前提になりますから、誰しも、可能な限り良い内容にし、知られたくないものは隠すということになるでしょうし、その手続きも難しくありません。

信用調査会社が、企業のデーターを集める段階においても、信用の毀損をチラつかせながら、半ば脅迫的かつ強圧的に要求をしてくるのは当たり前、中には、定期契約を迫る調査会社さえ存在します。

そんな情報が正確であるはずはなく、当然、彼らのつける評点についても、あまり信用できるものではありません。

評点が安全圏の企業でも破綻する事例は珍しくありませんし、評点が警戒域でも頑張っておられる企業は沢山あります。

信用情報機関に間違った情報を流さ、信用不安に陥った事業者も珍しくはありません。

私が会社を整理した時の評点も、安全域の高評価でしたから、信用調査会社の情報は参考程度とどめておくべきなのです。

与信の本来の目的からいえば、自らが、既存の取引先などや業界から情報を集め、それと合わせて経営者が判断をするという流れにすべきなのでしょう。



本来は、②のパターンが、与信の意味からすれば重要なのだと思います。

取引前においては、しっかりと与信をするのに、取引後においては与信をされない事業者が少なくありません。

取引前には、費用を掛けて信用調査機関などを使ってでも与信をされますが、取引が始まると、信頼関係においても、そんな費用を掛けてまで与信を実施する必要はないとお考えなのでしょう。

しかし、新規取引時よりも取引額は増加しており、不測の事態が発生すると、損失額も大きなものとなるでしょうから、取引が開始してからの恒常的な与信が大事になるのです。

そして、この段階における与信は、大きな費用を掛ける必要はなく、手続きも簡単です。

営業や担当者が、得意先や取引先について、『見る』『聞く』により常に情報を集め、その情報を会社にフィードバックする流れになります。

会社は、集められた情報を活用して、事前の対策を実施するなどして、不測の事態を回避することができるようになります。

このシステムさえ構築しておけば、大きな費用も手間も掛けずに、恒常的に与信を維持できるということなのです。



経営危機に対応するという、私の業務からいえば、ほとんどの中小企業は、与信の認識が甘すぎると思います。

新規取引においてさえ、与信を実施されない企業が多いのではないでしょうか。

信頼関係や道義的な面から、与信を否定される経営者もおられますが、これは違うと思います。

信頼関係を構築し、維持するために与信を実施するのであって、道義的に追及されることではありません。

悪意ではなく、あくまでも善意に基づく行為なのです。

そして、何よりも、不測の事態に備えるという、経営者の責任において必要不可欠な行為だといえるでしょう。

 

 

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