あの時、こうなることは、ほぼ判っていたのです。
専門家として、今後の展開の可能性については、あらゆる可能性について具体的に説明もしました、
しかし、状況や方法を理解したうえで、経営者が諦めないで頑張ると言われる限り、それ以上の事には言及できなかったのです。
約8カ月振りに、その経営者からご連絡をいただきました。
前回のご相談時の状況は、最近は赤字が続き、直近数年の経営環境の悪化で債務超過に陥っていました。
売上の減少は止まらず、今後の回復の見込みも低く、簡単に経営改善などできる状況ではありませんでした。
他の専門家に相談に行けば、間違いなく破産を勧められる状況だったのです。
しかし、先祖から引き継いだ老舗としての事業を簡単に諦めるわけにはいきませんし、守るべき不動産等の資産もありますので、破産など簡単に選択は出来ません。
低いとはいえ、再生できる可能性も残されていますので、費用や人的負担の少ない経営改善に取組むながら、整理にも備えることをご説明しました。
可能性としての整理を前提に、資産を予防的に保全することや、第2会社の準備を進め、資産や資金のあるうちに、次の人生を考えた任意整理への取組みも勧めました。
本音のところでは、再生は無理だという判断をしていたからです。
しかし、そういう判断を、経営者にストレートに伝えるわけにはいかないでしょう。
画期的な経営改善が出来るかもしれませんし、爆発的に人気の出る商品を開発できる可能性もあり、スポンサーが見つかるかもしれません。
可能性は極めて低いけれども、再生が出来るかもしれないのですから、私の方から再生を諦めて任意整理を選択するように勧めるのは難しいのです。
全ての可能性をお伝えしたうえで、経営者がこのまま再生を目指して頑張ってみると言われたのですから、コンサルタントとしてはそれ以上の事は言えません。
ただ、半年ぐらいで、状況は更に悪化して、継続は不可能になるだろうとは確信していました。
その後、何の連絡もありません。
顧問契約をしていないので、遠慮してご連絡をされないのだろうと思いますが、私としては、随時ご連絡をいただく方が有難いのです。
ご連絡さえいただければ、リアルタイムで展開についてのアドバイスができます。
状況が把握できれば、軌道修正は可能であり、前回のご相談録には、可能性の高い展開とその対応についても記入して準備しているのです。
ご連絡さえいただければ、いつでも、最善の対応が可能な状況でしたが、ご連絡はいただけませんでした。
それほど気になっていたのですから、こちらからご連絡を差し上げるべきだったのかもしれません。
しかし、我々の仕事は、こちらからご連絡を差し上げるのは難しいといえます。
顧問契約を結んでいただいておれば、定期的にご連絡は差し上げますが、そうでなければ、『その後、どうなっていますか?』というご連絡はしにくいですし、現実的に電話を差し上げることに迷惑な表現をされるご相談者もおられるのです。
久しぶりにお会いした経営者は、この8カ月の間、随分と苦労されたのだろうという疲れたお顔をされていました。
やはり、経営は改善せず、状況は更に悪化をしており、資金は全て使い果たし、資産もオーバーローンの不動産が残るだけとなっています。
そういう状況で、経営者は、事業を諦めて任意整理をしたいというご相談だったのです。
しかし、資金繰りが破綻をしようという状況において、第二会社も用意していなければ、活用できる資金や資産も残っていない状況ですから、社会的弱者や次の人生を優先した任意整理は、既に意味を失っているのかもしれません。
あの時とは、全く状況が違ってしまっているのです。
こういう事例が、時々、存在します。
あの時に任意整理を決断していれば、次の人生は楽になったのです。
いくら経営者が判断されたこととはいえ、専門家として、もう少し強く主張すれば良かったのかもしれません。
そうすれば、破産を選択した方がマシというような状況にはならなかったのです。
しかし、どん底からの大逆転が存在するのも会社経営の世界ですから、本当に難しいところなのです。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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