中小企業の社長であるお父さんが亡くなられると、子供さんなどの法定存続人は様々なことを考えなければならないでしょう。
中小企業といっても社長なのですから、まずは事業の承継をどうするのか考える必要があります。
経営する会社の株式をどう相続するのかが問題ですし、同時に、相続の対象となる資産も小さなものではありませんから、権利者間での調整が必要となります。
事業の承継や、資産の相続はポジティブに捉えるべきものですが、その他にも相続の対象になるものがあることにも注意をしなければなりません。
同じく、相続の対象となる負債は、法定相続人の今後の人生に、ネガティブな影響を与えるかもしれないのです。
中小零細企業の多くは、事業の資金繰りにおいて、金融機関から借り入れをされていると思います。
その様な場合、経営者は、当然のように連帯保証をすることになり、この連帯保証している保証債務が、相続の対象となるのです。
健全経営で、今後も安定経営が望めるならば、保証債務は問題にならないのかもしれません。
しかし、今後の経営に不安があったり、既に経営が悪化している状況の場合、この保証債務の相続は問題になります。
万が一に経営が破たんすれば、保証債務を相続した者は、その責任を追及されることになるからです。
事業の継続や承継を優先して考えるならば、この様な場合でも、既に、実質の経営権を握っている後継者などであれば、保証債務を含めて相続をするしかないのかもしれません。
ですが、未だ事業に主体的に関与していない場合は、この相続について慎重にならざるを得ないでしょう。
事業を承継して経営者になり、資産も相続できても、その事業の経営が成り立たなければ、資産相続の価値は無くなり負債が大きく圧し掛かってくるのですから、簡単に相続をすることなどできません。
経営状況をしっかり精査して判断しなければなりませんが、相続対象の負債が資産を大きく上回っている場合などは、結果として相続を諦めることになるのでしょう。
本音としては、資産だけ相続して、負債は放棄したいところですが、そんな都合のいいことを債権者である金融機関等が簡単に承諾してくれるはずがないのです。
相続すれば、負債についても、応分の負担をするのが当たり前なのですが、最近は少し変わってきているようです
先日、このような相続に関する内容で、興味深い事例がありましたのでご紹介をしたいと思います。
会社の社長である、ご高齢のお父様が亡くなられました。
子供は、女性ばかりであり、決まった後継者はおらず、社長が実質的にも経営をされていたのですが、複数の金融機関からの借入があり、連帯保証人にもなっておられました。
債務超過ではありませんが、資金繰りは楽でもありません。
しかし、その地域では、それなりの規模を誇る会社でもありますし、社長個人にもある程度の資産が残っていましたから、法定相続人の女性たちは、簡単に相続放棄をする決意もできません。
そこで、法定相続人で話し合い、全員が相続をするが、連帯保証人としての保証債務については、社長を引き継ぐ一人だけが相続することにできないかと考えられたのです。
この様な場合、債権者金融機関は、相続人全員に保証債務の相続を求めるのが一般的であり、簡単に承認されるとは思えません。
ところが、ダメもとで債権者金融機関にこの条件でお願いすると、日本公庫,商工中金,地本銀行2行,信用金庫の5金融機関全てが、最終的に承認をしてくれたのです。
ちょっと、簡単には信じられない話ですが、昨年2月に運用開始となった『経営者保証に関するガイドライン』の影響が大きいのだと思います。
健全な企業の場合、無駄に保証人を取らないという方向が、大きく影響したのでしょう。
保証債務について、固定観念を根本的に見直す必要があるのかもしれません。
本事例で、中小零細企業の経営者が勉強しなければならないことは、社長である以上、相続や後継者について真摯に準備を進めるべきだということです。
事前に、できるだけ早い段階から、生前贈与等により会社の株式を相続させるなどの準備をしておくことが、経営者の責任であると認識すべきなのです。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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