17億の借金がゼロに・・・①


 

金融事故になったら、その後はどうなるのでしょうか・・・?

破産をしないと、膨大な借金は残ったままになるのでしょうか・・・?

現実的には、いつまでも借金は残るものではないようです。

では、借金は、どの様に無くなっていくのでしょうか・・・?

 

 

その経営者は、約20年前に、事業を整理されました。

ある中核都市で、三代目として製造業を経営され、順調に業績を確保されていました。

ところが、バブル経済時に、先代が都市銀行から借入した多額の負債が、資金繰りを困難にしています。

当時は、超右肩上がり経済で、不動産は青天井で値上がりを続けていましたから、誰もが疑いもなく不動産や株式に投資をする時代だったといえます。

そんな環境下で、メインバンクの担当者が、先代に不動産の購入を勧めたのです。

当行で資金は全て用意し、直ぐに転売先を紹介して儲けてもらいますから、一時的に預かってくださいといいます。

不動産は高騰を続けていますし、長いお付き合いのある都市銀行がまさか騙すはずはないと考えた先代は、勧められるままに、約7億8千万円で購入を決意しました。

ところが、購入資金は、担保を十分に確保した都市銀行のプロパー借入と、信用保証協の保証付き借入ですから、この融資において、都市銀行のリスクは全くありません。

転売して儲けてもらうという事でしたが、不動産を勧めた担当者は直ぐに転勤になり、その後、紹介など一切ないまま現在に至っています。

この様な、都市銀行の無責任な事例は珍しくもなく、バブル期では、全国どこででも見られました。

当時の銀行マンは、左手に本業である金融の資料の入ったカバンを持ち、右手には不動産案件資料の入った大きなカバンを持って、都市銀行のエリートでさえも、当たり前のように不動産を売り歩いていたのです。

銀行の担当者は、何の疑いもなく不動産を売り歩いていたのでしようが、可哀そうなのは、その話を信じて不動産を購入した取引先でしょう。

先代も勧められるままに不動産を購入しましたが、その後、都市銀行から具体的な対応のないまま、返済をするための借金は増えていきます。

先代は、銀行を信じ、借りた金は絶対に返すと、借入をしてまで返済を続けました。

その結果、返済不可能ともいえる過剰な借金を背負うだろうことは、火を見るよりも明らかだったでしょう。

当たり前の様に資金繰りが破綻して、任意整理をするしかなくなりました。


このタイミングでの借入は、以下のようになります。

対象不動産を購入するより以前からの借入

 ① 都市銀行プロパー借入 当座貸越 運転資金         約2億1千万円
   通常の運転資金で担保なし  連帯保証人は先代

 ② 地方銀行プロパー借入 マンション建設資金          約1億8千万円
   賃貸ワンルームマンションの建設資金 マンションが担保 
   連帯保証人は先代

 ③  住宅金融公庫 マンション建設資金              約2億2千万円
    賃貸ファミリーマンションの建設資金 マンションが担保
    連帯保証人は先代と息子である経営者

以上の合計は、5億2千万円になります。

都市銀行に勧められた対象不動産の購入前は、以上の様な借入であり、売上が10億円を超える企業で、借入の多くが収益不動産の投資になりますから、健全な債務状況だといえます。

そして、対象不動産の購入資金は以下の様になります。

 ④ 都市銀行 プロパー借入   不動産購入資金         約4億5千万円
   対象不動産の第1順位の担保  連帯保証人は先代と経営者

 ⑤ 都市銀行 協会保証付借入 不動産購入資金          約2億円
   対象不動産の第2順位の担保  連帯保証人は先代と経営者
   当時の不動産評価からすれば、担保として与信確保

 ⑥ 都市銀行 協会保証付借入 不動産購入資金           約1億6千万円
   対象不動産の第2順位の担保  連帯保証人は先代と経営者
       ⑤とは別の信用保証協会

以上が、対象不動産の購入資金であり、経費分も含めて8億1千万円の借入をしました。

しかし、この投資からは、その後、1円の収益も生んでいません。

対象不動産購入後、弁済資金としての借入は以下になります。

 ⑦ 都市銀行 協会保証付借入      弁済資金(運転資金)     約7千万円
   先代夫人の不動産を担保に借入  連帯保証人は先代と経営者
   弁済用資金として、最初の借入

 ⑧ 国民金融公庫借入          弁済資金(運転資金)     約3千万円
   運転資金として借入  無担保  連帯保証人は先代と経営者

 ⑨ 都市銀行 協会保証付借入      弁済資金(運転資金)    約8千万円
   協会保証の限度を超えたため、別会社にて借入
   無担保  連帯保証人は先代と経営者

 ⑩ 都市銀行 協会保証付借入      弁済資金(運転資金)     約7千万円
   協会保証の限度を超えたため、別会社にて借入
   無担保  連帯保証人は先代と経営者

 ⑪ 都市銀行 協会保証付借入      弁済資金(運転資金)     約5千万円
   別枠にて、運転資金として借入
   無担保  連帯保証人は先代と経営者

 ⑫ 中小企業金融公庫            弁済資金(運転資金)   約1億円
   運転資金として借入
   無担保  連帯保証人は先代と経営者

以上が、対象不動産購入後の、弁済をするための借入で、計4億円になります。

全ての借入を合計すると、17.3億円という膨大な借入になってしまいました。

売上10億円程度の企業にとっては、とても健全といえる債務ではなく、この処理のために財務内容は悪化の一途を辿り、資金期繰りも日々困難になっていきます。

そして、最終的には整理をするしかなくなり、取引先への支払を優先して確保するために、任意整理という手段を選択しました。

会社を整理はしますが、破産をする訳ではないので、債務は残り続ける事になります。

しかし、この膨大な債務も年月の経過とともに減少し、10年越える頃には、ほとんど債務は残っていない状況になりました。

無理して弁済したわけではなく、強引な手続きをしたわけでもありません。

債務処理という流れの中で、借金という債務が消滅したのです。

次回のブログでは、この17.3億円の債務が、どの様にして消滅したのか検証をしたいと思います。

 

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