世界的にゾンビ企業が増えているらしい・・・。
コロナに入ってから景気が停滞し、資金繰り対策として借入を積み重ねることで、飛躍的に増加をし続けてきたという。
しかし、ここにきて、ようやくコロナ危機も、経済的には終息に向かう動きが見えてきた。
ところが、経済の回復などに関係することなく、今後も、さらにゾンビ企業が増加していくだろうと予測されているのだ・・・。
ゾンビ企業については、様々な解釈がされています。
一般的には、既に経営が破綻している様な状況なのに、債権者である金融機関の支援や政府の制度・施策により、事業が維持できている企業をゾンビ企業というようです。
もう少し、判り易く表現すると、ある程度の収益は確保しながらも、借入金の利払いができるだけの手元資金までは残らないため、債権者等の支援により活かされている企業ということになります。
世界的には、 ゾンビ企業 = 過剰債務企業 という捉え方があります
過剰債務企業とは、3年連続以上に亘りEBIT(支払金利と税金支払前の利益)が、支払利息を下回る、設立10年以上の企業というように定義づけされています。
したがって、ゾンビ企業についても、この定義づけで捉えて間違いはないのだと思います。
要は、手元の資金で、借入金の元本返済どころか、利払いさえできないというのがゾンビ企業であり、そんなゾンビ企業が世界的に増加しているというのです。
なんと、世界の主要国の金融を除く上場企業の中では、昨年2021年度においては約16%がゾンビ企業化しているといいます。
その主要な原因としては、リーマンショック後の金融緩和で、本業の収益確保を二の次にして、借り入れなどの資金調達により安易に資金繰りを確保してきたことが挙げられます。
さらに、コロナウイルス禍による資金繰りの悪化を、借入に依存して補填しようとする企業が増加したという現実があります。
日本においても、コロナウイルス禍の始まった2020年度において、ゾンビ企業は既に16万5千社に上るという試算があります。
コロナウイルス禍が進むにつれて、当然、その数値は上昇を続けているでしょうから、最低でも返済条件の変更(リスケジュール)をしなければ生き残れない企業が、驚くほど増加しているだろうということになります。
そして、さらに、世界的にゾンビ企業が増加するという環境で、新たな問題が大きな混乱を招こうとしています。
それが、世界的な利上げによる影響になります。
ご存じの様に、欧米の主要国などは、インフレ対策として利上げに積極的に取り組んでいます。
それほどインフレ傾向がひどく、優先的に抑制をする必要があるということなのですが、利上げになると、当然に借入金の金利も上昇し、資金繰りの悪化した企業をさらに苦しめることになります。
そして、この利上げが続けば、ゾンビ企業がさらに増加するのは当然のこと、破綻にまで至る企業も増えることになってしまうでしょう。
これは、今後、インフレ抑制のために利上げに取り組んでいる国にとって、副作用として大きな問題となってくると思われます。
その様な環境において、日本には利上げをする動きがありません。
利上げをしない理由の中に、金利負担の増加の回避も上げられていましたが、正しくそれが最大の理由であり、民間も国も負債が多すぎて利払い負担が膨大で、金利を上げたくても挙げられないというのが本音ではないでしょうか。
ゾンビ企業の立場から考えると、現状においては最善の政策であるといえるのでしょうが、この先、ゾンビ企業はどうなっていくのでしょうか。
ゾンビ企業は利払いさえも難しいという状況ですが、リスケジュールは借入金の元本返済こそ棚上げしていますが、利払いは約束通りに支払うことができており、ゾンビ企業より経営状況は良いといえます。
そんなリスケジュールでも、取り組むためには債権者金融機関から様々な条件や要求が突き付けられ、企業運営や経営者の精神に大きな負担を与えることになります。
それで、改善が進み、再生に向かって回復をすればいいのですが、そんな簡単に再生に向かって進むものではありません。
現実的には、リスケジュールに取り組んだ中小事業者が、再生を果たして約定通りに返済ができるようになる比率は極めて低く、10%には到底届かないといわれています。
リスケジュールでさえそんな状況ですから、ゾンビ企業からの脱却は、さらに難しいといえるでしょう。
私のお客様で、10年以上前から、リスケジュールに取り組んでおられる経営者がおられます。
再生を目指して、頑張り続けておられますが、一進一退状況が継続し、根本的な改善は達成できないままになっています。
お客様は、ただ改善に明け暮れる仕事だけの毎日を過ごされ、精神的には随分と疲弊をされています。
突然の最悪の選択をされる恐れを感じ、第2会社の活用や事業の譲渡などをお勧めもしましたが、頑なに現状のままの経営の継続に拘られます。
たとえ金融事故になろうとも、先代から引き継いだ会社を維持し、事業を継続したいと主張をされるのです。
これは、経営者のご判断として、間違ってはいないのかもしれません。
しかし、企業として継続できているのは、債権者金融機関の支援が継続してこそのことですから、突然に支援を打ち切られて経営破綻をしても不思議ではない状況なのです。
総括的にバランスよく考え、違う結論に向かう選択肢も考慮すべきではないでしょうか。
ゾンビ企業も、リスケジュールをしている企業も、借入金の返済が原因となっています。
過剰な借入が、財務を蝕み、資金繰りを悪化させているのです。
解決するには、その原因となっている過剰な借入について処理しなければ根本的な解決にはなりません
経営改善により再生を果たすのが、理想の最善の打開策であるのは間違いではありませんが、それが難しい場合は、事業の譲渡などでM&Aの活用を図るのも有効な選択肢となります。
場合によれば、第二会社で事業を維持するのも効果的な方法となるでしょう。
他にも、様々な選択肢はありますが、過剰な借入債務を適正な債務に修正するという根本的な解決策が不可欠なのです。
コロナウイルス禍は経済的にも簡単に終息できず、しばらくはゾンビ企業が増加し続けるのではないでしょうか。
ゾンビ企業がまん延しないために、政府も様々な施策を用意するとは思いますが、まずは経営者が主体的に借入金の処理について取り組んでください。
原因となる過剰債務を根本的に治癒することが、不可欠な状況となってしまっているのです。
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