コロナでの債権放棄・・・


金融機関からの借金が多くて、資金繰りが厳しくなって経営破綻しそうでも、事業を維持する方法は様々に存在します。

その中でも、『債権放棄』は、極めて高い効果を得ることができる特効薬だといえるでしょう。

ただ、求められる効果に比例して、その手続きも簡単なものではなく、債権者金融機関などの拒絶姿勢は並大抵なものではありません。

債権放棄するといっても、破産するよりは債権者も得をします(債権の回収額は増加)から、もっと前向きに捉えるべきだと思うのですが・・・。

 

多くの中小事業者は、このコロナウイルス環境において、膨大な借金を抱えてしまいました。

今は、実質無利子や元本棚上げの制度などがあり、その負担を感じることは少ないのかもしれません。

しかし、アフターコロナ後のことを考えると、空恐ろしい気持ちになります。

コロナウイルスが終息して、経済が再開をしだして、様々な制度も終わりを告げる環境において、この借金が返せるのかと考えると、不安になって当たり前だと思います。

普通に考えれば、コロナ前の経済に戻ったとしても、返せるような借金額ではないでしょう。

しかし、特効薬があるのです。

その特効薬的手段が、冒頭でご紹介した債権放棄になります。

債権放棄とは、債務者の意思にかかわらず債権者の意思のみで債務を消滅させる、債権者の単独行為のことになります。

民法519条において「債権者が債務者に対し債務を免除する意思を表示したときは、その債権は消滅する」と規定されており、債務者の側からすれば債務免除になりますが、一般的には債権放棄といわれます。

代表的な債権放棄としては、債務者の事業者が経営破綻しそうな状況において、債権者である金融機関などが持っている債権の全額、または一部を放棄する措置があり、事業者の倒産を回避するための金融機関などによる支援策のひとつとになります。

この債権放棄が、経営の厳しい事業者の特効薬となるのですが、このコロナウイルスの環境においても、既に活用が始まっています。

それは、以前にご紹介をしました、コロナ禍による個人の債務減免の制度になります。

昨年、2020年12月1日から、大震災などの自然災害により、返済できなくなった個人の生活や事業の再生を支援する『自然災害債務整理ガイドライン』を改正して、今回のコロナウイルス災害が追加して適用されるようになりました。

個人の住宅ローンや個人事業主の借入金において、返済できなくなった債務分について減免するという画期的な内容となります。

コロナウイルスの環境においては、まさしく不可欠な制度であるといえるでしょう。

ただ、この様な画期的な制度は、政府が責任回避のためだけに用意した掛け声だけの制度であることが少なくありません。

適用開始から8か月が経過し、この制度の成果についてのデーターが発表されましたが、非常に興味深い内容になっていますのでご紹介したいと思います。

 

対象は、正式には『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン』というもので、通常は『自然災害ガイドライン』と呼ばれています。

地震や台風等の自然災害によって、個人で住宅ローン等を借りていたり、事業性ローンを借りている個人事業主が、それらの債務を抱えたままでは再生が困難になる可能性があります。

その様な場合に、法的な手続に頼らずに、債権者と債務者の合意にもとづいて、債権放棄などにより債務整理を行う際のガイドラインになります。

このガイドラインに則れば、自然災害により借入負債の弁済が困難になった個人の債務者は、債権放棄を受けるなどして債務整理ができて、再生が容易になるという手続きです。

そして、昨年12月1日より、コロナウイルスによる債務整理も、この自然災害ガイドラインの対象となったのですが、その成果については、何故か、あまり聞こえてきません。

知り合いの弁護士などの専門家にお聞きしても、情報はほとんど流れていないようですが、それは成果が得られていないからなのかもしれません。

色々と調べてみると、この取り組みが始まってから6月までの7か月間で、1085件の申請があったそうです。

そして、結果として債務整理まで至った案件は、なんと、僅かに3件のみ。

現在、金融機関等と債務整理の手続き中が785件で、残りの300件ほどは手続きに至らなかったそうです。

7か月間で、3/1085・・・0.28%の成功率ということになりますが、あまりにも少な過ぎる数値ではないでしょうか。

たしかに、過半数以上の785件が手続き中ということですから、成功率はこれから増加するのだろうとは思います。

しかし、債権債務処理は時間との戦いですから、いつまでも手続中が続くというのは、制度として機能していないということになってしまいます。

何故、これほど時間が掛かっているのか理由を確認すると、

  取組みに前向きでない金融機関が多い

  債務整理対象となる根拠が不明確

  制度融資など、対象債務が不明瞭

  対応すべき専門家不足,報酬不足

等が挙げられるようで、まとめると、制度・システムとして未成熟なまま運用開始してしまった結果ということになるのではないでしょうか。

自然災害ガイドラインの活用に、期待されている個人は少なくありません。

特に、先の見通せないという、コロナウイルス特有の不況要因においては、債権放棄は極めて有効な手続きなると思われます。

そして、個人の債務整理が進み、コロナも終息して次の段階に移れば、法人を対象とした債権放棄の制度が強く要望される環境になるのも間違いありません。

そのためにも、自然災害ガイドラインによる、個人の債権放棄を活用した債務整理について、しっかりとしたシステムの見直しが急がれるのではないでしょうか。

政府も、掛け声だけの責任回避ではなく、政策としてしっかり成熟させていただきたいと思います。。

 

 

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