給料支払の可能性・・・


 

雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金が、今年の12月まで延長されることになりました。

最近は、毎月ごとの延長になっていたので、特例がなくなるのではと心配をしていましたが、これでしばらくは安心なようです。

このコロナウイルス環境下においては、雇用調整助成金により経営維持できている中小事業者が少なくありませんから、本来であれば、もっと長期間に亘って特例を維持してほしいのが本音だと思います。

しかし、日常の不安から解放され、ようやく前向きな経営に取り組めるようになるのではないでしょうか。

 

 

経営者にとって、事業を維持するうえで最大の苦痛は、経営危機に陥った時の資金繰りだと思います。

特に、従業員の給与を正常に支給できないような状況は、経営者として最も回避したい辛い場面だといえるでしょう。

このコロナウイルスの厳しい経営環境においても、本来であれば、この様な状況に追い込まれる事業者が増加するはずでした。

その結果、雇用を喪失した人々が溢れ、消費は低迷して未曽有の不景気に落ち込んでも不思議ではなかったはずだと思います。

ところが、雇用調整助成金、特に特例措置という制度が、この危機を救いました。

この、早い段階で導入された特効薬ともいえる制度が、中小事業者の雇用を維持したうえで、資金繰りまでも確保させたといえるのです。

コロナウイルス対策においては、政府は様々な場面で多くの批判を浴びていますが、雇用調整助成金の特例措置に関しては、高い評価受けるべきではないでしょうか。

この制度があるから、中小事業者は雇用を維持できて、倒産もせずに事業を継続できたといえるのですから、コロナウイルス環境ではこの制度の継続が不可欠だといえます。

ところが、本年度に入り、この雇用調整助成金の特例措置を、環境を見ながら、毎月ごとに延長を判断すると、政府は方針を転換させました。

まだまだコロナウイルスが猛威を振るい、経済は停滞し、経営環境も改善などされない状況においてです。

たしかに、政府にも予算の限界があるのは判りますが、中小事業者に雇用面において大きな不安を抱かせ、資金繰り計画も狂わせるなど、その影響は大き過ぎるといえます。

そのまま、経営環境が悪化の一途を辿っても、何ら不思議でもありません。

ワクチン接種により、コロナウイルス騒動も終息に向かうだろうと思っていたのでしょうが、第4波から第5波が発生するに至り、このままでは大変なことになると政府も事の重大さに気づいたのか、7月中旬になって年末までの延長が発表されたのです。

これで、しばらくは、中小事業者も雇用を維持したうえで、資金繰りの確保が可能になったのかもしれません。

 

しかし、いつまでも、雇用調整助成金の特例措置が継続されるわけではありません。

コロナウイルス騒動が終息してくれば、当然に特例措置は終了し、自らの力だけで資金繰りを確保し、給与を支給しなければならなくなります。

そのときに、経済が回復し、景気も良くなっていれば対応も可能でしょうが、なかなか難しい環境になっている可能性の方が高いと思われます。

しかも、コロナウイルス騒動下での借入金の返済などが開始され、租税公課などの猶予も難しくなっているでしょうから、資金繰りを確保するのも簡単ではないでしょう。

そんな環境で、正常に給与を支給し、雇用を維持するには、どの様に対応すればいいのでしょうか。

経営者として、大きな責任のある雇用の、大きな前提となる給与の支給について、厳しい環境下での対応方法について考えてみたいと思います。

 

いくら資金繰りが厳しいとはいえ、従業員への給与支払いは最優先にすべきです。

事業をするなかで、金融機関や仕入れ先など様々な債権者がいますが、従業員も債権者であり、最優先で対応すべき存在だといえるでしょう。

金融機関への返済を待ってもらっても、仕入先への支払を少し遅らせても、従業員への給与は決まった通りに支払うべきであり、それが事業を守るために有効な手段だといえます。

それでも、約束通りに給与を払えないこともあるかもしれません。

そんな時、どの様に対応するかは、まず、約束通りに支払えなかったらどうなるかを理解してください。

給与を約束通りに支払えなければ、欠くことのできない大事なものを喪失することになります。

それは、会社や事業者に対しての信頼であり、仕事を頑張ろうというモチベーションではないでしょうか。

これらは、実体のないものですが、経営に対する影響は極めて大きなものになります。


事業者への信頼を喪失すれば、従業員は将来に不安を抱き、業務の効率は落ちて信用不安流出につながるでしょう。

モチベーションが低下すれば、やる気は大きく減退し、業務が正常に処理できなくなり、業績が悪化することになります。

結果、事業維持を図るために、改善して再生するための資金繰りであったはずが、経営破綻につながるということになるのです。

従業員の給料に手を付けて、資金繰りを確保するというのはリスクが余りにも大きすぎるということになります。

したがって、本来、資金繰り確保のために、給料に手を付けるべきではないのですが、一時的な資金繰り対策のためなどで、どうしても給与を遅延するなどして手を付ける必要がある場合は、先に結果について検討をしてみてください。

従業員の給与を遅延などさせて、資金繰り確保することで、事業について結果を得ることが出来るのかの確認になります。

資金繰り悪化が一時的なものであり、その先に再生の可能性があるのならば、その対応は選択肢になるのかもしれません。

しかし、慢性的な悪化で、再生の目途も立たない状況であるならば、従業員の給与を遅延させるなどで凌いでいる場合ではないでしょう。

もっと大局的な、経営判断が必要とされる場面だと思います。

 

賞与減額や昇給停止などいった、経営危機での初期の労働債務の圧縮対策においても、信頼とモチベーションの確保は不可欠な対応となります。 

正しい経営状況を説明し、従業員の理解を得たうえでの取り組みにすべきですし、その後も、 常に経営情報を発信し、コンセンサスを得る努力が必要です。

したがって、従業員の給与を遅延させるなどする場合も、その理由と今後の経営について明確に伝え、理解を得ることを忘れないでください。

給与の遅延などが、一時的なものであることを前提に、『申し訳ない』という経営者の気持ちを伝えることも大事でしょう。

そして、その時には、遅延期間を明確にし、短期にする努力も実施してください。


生活が困窮する従業員を出さないことは当然のこと、常態化は絶対に避ける必要があります。

常態化するぐらいなら、倒産した方が良い結果につながるといって過言ではありません。

 

 

従業員の給与などに手を付けるにしても、対象は限定したいものです。

役員や幹部などだけを対象にすれば、信頼やモチベーションの減退といったリスクは大きく減少します。

それでも、給与関係のカットや遅延は、影響やリスクが大き過ぎる手段だといえるでしょう。

資金繰り対策としては、他の手段を優先すべきだと思います。

 

 

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