白か黒かで、経営の方向性を判断することができれば、経営者として、こんなに楽なことはありません。
検討しなければならない要素が余りにも多すぎて、複雑に絡み合って方向性を混とんとさせるのが、中小事業経営だといえるのです。
しかし、1つの作業で、今後の可能性について、具体的な根拠をもって明確にする方法があります。
特に、この先の見えないコロナウイルス下の様な、構造的な変化の著しい環境において、損益分岐点の数値は、経営者に様々なことを教えてくれます。
何もかもが不確かなコロナウイルス環境だからこそ、根拠を明確にして、経営に取り組む必要があると思います。
あるご相談者は、売上目標を、根拠をもって設定するために、指標として損益分岐点を活用されました。
ところが、損益分岐点を超える売上を確保しているのに、資金繰りは不足し経営はとても厳しいのです。
この現実に、経営者は頭をひねっておられますが、当然のことだといえるのです。
損益分岐点は、資金繰りと連動したものではなく、本業の利益を確保するための計算手段だといえます。
これは、判っているようで判っていない財務のマジックだといえるのかもしれませんが、このマジックを解決して、損益分岐点を資金繰りと連動したものにすればどうなるのでしょうか。
計算としては、それほど難しくなるものはありませんが、導き出された答えは、厳しい経営に悩んでいる経営者にとって、凄く参考になる数値だといえるのです。
我々は、この資金繰りをベースとした損益分岐点を『資金繰り分岐点』と呼んでいますが、この数値は、様々な現実と可能性を経営者に教えてくれます。
損益分岐点とは、どれだけの売上を確保すれば、利益を確保することかできるのかという境目になる金額のことです。
売上高と費用が同じ金額で、売上高=費用が損益分岐点ということになります。
そして、利益=売上高-費用ですから、売上高>費用であれば黒字、売上高<費用であれば赤字ということになるのです。
固定費と変動費をベースに計算し、
損益分岐点 = 固定費÷{1-(変動費÷売上高)}
という計算式で計算されます。
通常は、営業利益を基準としたものになり、本業において利益を確保するための必要売上高を求める計算式ということなのです。
これが、損益分岐点なのですが、現実の経営においては、これだけでは不足をすることになります。
何故なら、利益には、売上総利益,営業利益,経常利益,税引前当期利益,純利益があり、
売上高 – 原価 = 売上総利益
売上総利益 – 販管費 = 営業利益
営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 = 経常利益
経常利益 + 特別利益 – 特別損失 = 税引前当期利益
税引前当期利益 – 税金 = 純利益
それぞれの利益は、上記の様になります。
本来の損益分岐点である営業収支で黒字を確保(営業利益)していても、その後の営業外収支や特別損益などを計算に入れなければ、資金繰りに連動していないことになります。
そこで、資金繰り分岐点を算定するにあたり、以下の点について考慮する必要があります。
・ 減価償却費については、費用ではなく売上として考慮する ・・・①
・ 営業外収支や特別損益で、定期的に発生する固定的な項目は考慮する・・・副業的収入や支払利息等 ・・・②
・ 変則的に発生する営業外収支や特別損失については、考慮しない ・・・③
・ 元本返済などについては、固定費として計上する ・・・④
上記を考慮して、資金繰り分岐点を算出する計算式は、
資金繰り分岐点 = 固定費÷{1-(変動費÷売上高)}
※ 固定費に、支払利息や元本返済を含む
※ 売上高に、①の減価償却費や②の収入を含む
となり、元本返済までをも考慮した、資金繰りベースの損益分岐点を算出することが出来ます。
これを活用すれば、資金繰りを確保するための売上高が、条件次第で算定が可能となります。
この非常識なコロナウイルス環境においては、今後の展開を読み取るうえで、資金繰り分岐点の活用が今まで以上に効果的になると思われます。
経営環境は、大きく変化しており、今までの感覚は通用しなくなっており、コロナウイルス騒動が終息し、経済が回復に向かっても、経営環境が元の状況に戻ることなどあり得ないでしょう。
そんな環境で、経営的判断を必要とされるとき、何を根拠に判断をすればいいのでしょうか。
事業の維持や経営の継続についての判断は、全て最終的には資金繰り次第だといえます。
しかし、売上がどうなるかなど予測もできず、その資金繰りが計算しにくい環境なのです。
そんな時は、資金繰りを確保するにはどの程度の売上が必要であり、その売上確保が可能かどうかという、逆転的な考え方が効果的なのだと思います。
資金繰り分岐点を算出し、その売上が確保できるかどうかの判断をするのです。
売上確保が可能であれば、事業の維持や経営の継続は可能という判断になるのです。
もしも、売上確保が難しいということでも、固定費の削減や変動費の圧縮により、必要な売上が圧縮できるかもしれないのです。
根拠のない売上予測を立てて資金繰り表を作成するよりも、根拠のある必要売上を目標にして検討した方が、具体的な判断ができるのは間違いないでしょう。
資金が足らないというネガティブな状況ではなく、これだけの売上を確保するというポジティブな姿勢で取組むことで、結果は大きく変わってくるのではないでしょうか。
通常の損益分岐点と、資金繰り分岐点を出すことで、色んなことが見えてきます。
さらに、様々な条件付けをして計算することにより、借入金の返済や事業継続の可否についても、シミュレーションして判断することが可能になるのです。
コロナウイルスという外因で、突然に多くの金融負債を背負わされた若手経営者には、是非、資金繰り分岐点などを活用して、事業継続の悩みを解決すべく取り組んでいただきたいと思います。
最善で、納得できる方向性が、見いだせるのではないでしょうか。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
↓
会社再生・経営危機打開・事業承継オンラインセミナーをご覧ください,
↓
ランキングです クリックして応援してください
↓
ランキングです クリックして応援してください
↓