資金繰り確保の対策は、まず、資金を確保するところから始まります。
そして、次の段階として、支出を抑制する方向での対応になるのですが、要は、入出金を基本に資金の流れを整理するというのが、資金繰りの方法ということになるのです。
これは、健全な経営時にも留意すべきことであり、資金の確保と同時に、支出を減少させる対策や、入出金の整理を実施することは、安定した経営の確保を図り、強い経営を実現するためには必要不可欠となるでしょう。
経営危機という、厳しい経営環境が長期に亘り続き、将来的な展開が読めない状況においての資金繰りにおいては、支出の抑制のウエイトが大きくなるのですが、経営者の精神的負担が最も大きくなる資金繰り対策だといえるのです。
支出の減少による資金繰り確保は、リストラを実施することと同じでもあります。
経営が厳しくなると、中小零細企業の経営者は、資金繰りの確保と同時にリストラにも取り組み、どんなことをしても経営を維持しようと努力されます。
そして、リストラは、資金繰り確保の手段としての支出の減少を、根拠を持って具体的に実施することにつながるのです。
判り易く言えば、経営危機を生き残るには、いかに支出を減少させて、資金繰りを確保するかというのが、経営危機を打開するキーポイントだということになります。
その、支出を減少させる方法も様々に存在します。
もっとも手を付け易いところでは、経費の圧縮になるでしょう。
雇用関連等を中心に、販売管理費を全面的にチェックし、削減出来る経費を徹底的に削減します。
要は、これがリストラに連動した代表的な支出の減少になるのですが、対応が難しくなく、しかも効果的な方法でもあります。
次に考えられるのが、金融機関への借入の返済猶予になります。
支出を減少させるという資金繰り対策において、もっとも基本で初歩的な対応であり、その効果も絶大です。
借入金の返済条件の変更という前提で、借入金の元本の棚上げを中心に返済を猶予してもらうことで、債権者である金融機関と債務者の合意により実施されます。
昔は、リスケジュールという名称で任意に取り組まれていましたが、平成21年12月に「中小企業金融円滑化法」が施行されてからは、法律を根拠に取り組まれるようになりました。
今では、中小零細企業が資金繰りを確保するにおいて、返済猶予は当たり前のように取り組まれる一般的な方法になっています。
その次の段階からは、資金繰りも本当に厳しい状況において用いられる対応となります。
通常の経営においては、絶対に手をつけない方法になりますから、その対策を実行するについては、発生するリスクについて十分に認識してから対応するようにしてください。
その対策としては、取引先への支払い猶予や従業員の給与の遅延、更には税金や社会保険等の遅延ということになるでしょう。
どれも、対策としてでも、用いたくない様な方法ばかりです。
しかし、今の資金繰りが確保できれば、長期的に経営が維持できるなどを前提に、状況に応じて取り組む必要が出てくることもあります。
そのような場合には、今後のことを考えて、事業の継続や信用不安の流出に留意し、取り組むべき優先順位を付けてください。
そして、順序を間違えずに、根拠を持って取り組むことが肝要です。
支出を抑制し、資金繰りを確保するための代表的な手段である返済猶予(リスケジュール)について考えてみたいと思います。
資金繰りを確保する方法として、資金流出を減らすならば、まず、借入金の返済条件の変更による返済猶予が挙げられると思います。
借入金の返済猶予については、私のホームページ
トップ経営研究所 ホームページ
を見ていただければ、詳しく書いておりますので、ここではポイントだけをご説明させていただきます。
借入金の返済猶予とは、返済期間を延ばしたり、期間を設けて借入金の元金返済の一部もしくは全額を棚上げしてもらうことです。
昔は、リスケジュールという呼称で、債権者である金融機関と債務者である我々が、法的な裏付けも無い状況において交渉し、双方合意で返済猶予を実行していました。
しかし、平成21年12月に『中小企業金融円滑化法』(モラトリアム法)が施行され、返済猶予が法的裏付けのある制度として実行されました。
それまでは、「借りたお金は、どんなことがあっても約束通りに返済しなければならない!」と、道義的に責任を主張される経営者も多かったものです。
しかし、中小企業金融円滑化法の施行以降は、法的根拠のある資金繰り方法となったわけですから、道義的責任を主張される経営者も見かけなくなり、平成25年3月をもって中小企業金融円滑化法が終了した後のも、ごく一般的な資金繰り方法として多用されています。
道義的な問題からいえば、本来は債権者である金融機関側に問題があります。
ご存知の方は少ないようですが、返済条件の変更については、もともとは金融機関が当たり前のように取り組んでいました。
借入金の担保不動産の価値が下がれば、担保が不足しているからと追加担保を要求されたり、与信が下がったからと連帯保証人の追加を要求された経営者も多いと思います。
これなどは、立派な返済条件の変更であり、債権者と債務者双方の合意が前提となる交渉なのですが、金融機関は当然の権利だというスタンスで要求します。
債務者である我々はそんなことを知りませんし、ましてや、今後の金融機関とのお付き合いを考えると、異議はあっても、合意するしかなかったのが現実だと思います。
さらに、道義的な問題でいえば、中小企業金融円滑化法でも、金融機関はモラルハザードを問題視にしています。
返済できなければ、返済猶予をしてもらえばよいというモラルハザードを引き起こすというのですが、実態はそんな単純なものではありません。
返済猶予を出来なければ、経営改善どころか資金繰りが悪化し、金利さえ支払えいない企業が続出するでしょうし、倒産に至る企業も一気に増加してしまうような経営環境なのです。
そうなれば、不良債権が爆発的に増加し、金融機関は財務内容を極端に悪化させてしまい、破綻に至る金融機関も出てくるかもしれない状況なのです。
そう考えると、中小企業金融円滑化法は、金融機関の財務内容の健全化を維持するための法律であり、債務者のモラルハザードなど金融機関の責任転嫁でしかないといえます。
現状において、資金繰りを確保して、経営を維持するための返済猶予について、道義的責任など一切考える必要はありません。
時間的猶予を確保して、再生を果たし、返済を正常に戻すことが大事なのです。
返済猶予に取り組む考え方としては、返済猶予により資金繰りを楽にすることが目的ではなく、資金繰りを確保して、経営改善に取り組み再生を果たすための時間的猶予を確保することが目的だと認識することです。
また、元金1%の棚上げでも、100%の棚上げでも返済猶予をしたという事実が残るのですから、会社再生を目指した時間的猶予の確保であるならば、100%棚上げを狙うべきだと思います。
さらに、返済猶予の交渉は一度で終わらせることが大事で、返済猶予中に再交渉が必要になる事態は絶対に避けるべきでしょう。
金融機関と交渉して、返済猶予お願いしてくださいというと、頭を抱える経営者はまだまだ沢山おられます。
しかし、資金繰り確保の手段として、既に返済猶予は一般化しており、それほど難しい交渉でもありません。
返済猶予の理屈を十分に理解したうえで、明日の経営のために前向きに対応すべきであり、経済が右肩下がりの環境ですから、徹底的に有効に活用すべき制度なのです。
次に、支払猶予について考えてみたいと思います。
金融機関への返済猶予と、仕入先等の取引先業者への支払猶予では全く意味が違います。
支出を猶予してもらうのは同じなのですが、関係者に与える影響の大きさや、今後の経営に与えるダメージが根本的に違った結果になるのです。
そういう認識も持たずに、支払い猶予に取り組むのは、経営の維持を放棄したような自殺行為でしかないでしょう。
仕入先等の取引先業者へ支払猶予を依頼する場合は、そのリスクを十分に認識し、交渉方法を具体的に理解してから着手することが大事です。
銀行などの金融機関には、厳しい守秘義務が課せられています。
中小企業金融円滑化法における債権者間の情報共有は、債務者の同意を前提とした特殊な事例であり、それ以外においては、金融機関から債務者の情報が流れ出ることなどは有り得ないのです。
しかし、取引先には、そんな意識はありません。
取引開始時に、守秘義務契約を結んでいたとしても、どこかから漏れて当たり前だと認識しておかなければなりません。
経営危機で一番怖いのは、根拠のない信用不安情報の流出ですから、この点において大きなリスクを抱えることになってしまいます。
金融機関は、以前から、状況を考慮して返済猶予には前向きに取り組んできました。
中小企業金融円滑化法が施行されてからは、正常な経済活動と考えて積極的な姿勢を見せるようになりました。
結果を考えれば、不良債権にして法的手続き等の手段を用いるよりも、はるかに効率的で効果的だからなのです。
しかし、仕入先等の取引先は、支払猶予について結果を考慮するような知識や、その他の対応すべき方法等の知識を持っていません。
何よりも、予定していた入金が遅れるということで、その場の感情を優先させて動いてしまうのが普通なのです。
取引先は、スキルがないから、支払猶予の依頼を破綻と直結させて捉えてしまうのです。
さらに、金融機関は様々な金融において様々な経験を積み高いスキルを持ったプロです。
したがって、最後には、得か損かの判断で金融機関は取り組んでくれますから、返済猶予が成功する可能性は高いのです。
しかし、仕入先等の取引先は、経験や知識が乏しいうえに、財政的な体力がありません。
支払猶予に協力したくても、財政的に資金不足になってしまうのなら協力できませんし、最悪、経営危機に陥ったり、倒産してしまう可能性もありますから、簡単に支払猶予に応じられないのです。
金融機関への返済猶予と、仕入先等の取引先業者への支払猶予についての、これらの違いをまず認識してから、支払猶予に取り組んでください。
取り組むリスクが余りにも大きすぎて、本来なら回避したいのです。
しかし、資金繰りを確保するために、他に手段がなければ取り組むしかないのですから、その場合には十分に注意して取り組みましょう。
また、仕入先等の取引先に支払猶予するというのは、資金繰りの悪化が著しく、極めて追い込まれた経営危機状況であることが多いものです。
そんな状況で、再生の見込みがないのに、今だけの資金繰りを確保するために支払猶予をするというのは問題です。
今後の展開を考えれば、その支払猶予が足を引っ張ることになりますから、冷静に状況判断をされることは絶対に必要です。
具体的な支払猶予の取り組み方法や、取引先の支払猶予の典型である手形のジャンプについては、次回のブログで、さらに深く掘り下げてみたいと思います。
この様に、支払猶予は、本来であれば考えたくもない、絶対に取り組みたくない資金繰り確保の方法だと思います。
しかし、この場面の資金繰りさえ確保できれば、将来の目途が立って展開が開けている場合などに、どうしても取り組まなければならない時もあるのです。
そういう時に、仕入先等の取引先へ支払猶予をお願いする場合において、交渉を進めるうえでの注意点を事前に十分に理解しておく必要があります。
支払猶予は、返済猶予よりも、はるかに複雑で難しいと考えて取り組むべきなのです。
支払猶予をお願いする場合の、具体的な留意点をご紹介していきます。
まず、もっとも大事なことは、支払猶予をお願いする取引先に安心を与えることです。
突然に支払猶予をお願いされた債権者は、いったい何があったのかと驚き、倒産して回収出来なくなると思って当然でしょうから、「大丈夫」だということを根拠をもって説明して安心させなくてはなりません。
現状の経営状況を説明し、今後の経営改善を中心とした再生までの流れや、資金繰り計画を提示し具体的に納得してもらうのです。
今は資金繰りが大変厳しいが、ここを乗り切れば、経営も資金繰りも改善し、猶予してもらった支払は問題ないことを理解してもらいましょう。
支払猶予をしてもらえなければ資金不足に陥り倒産してしまい、全く支払い出来なくなるかもしれませんが、支払猶予をしてもらえれば経営は正常化し、支払の不安はなくなるということなのです。
返済猶予と同じように、支払いも猶予してもらった方が、取引先も最終的には得になることを判ってもらうのです。
次には、猶予してもらった支払を、今後、どのように返済させてもらうか説明します。
当然に、その後は約束通りに返済しなければなりませんから、事前に数字を精査して可能な支払条件を策定してください。
その支払方法は、一時払いと分割払いの組み合わせになることが多いようです。
支払全額を均等に分割で返済するのも方法かもしれませんが、債権者の立場としては一時払いか無ければ資金繰りが厳しいでしょうし、誠意を見る意味でも不安になるでしょうからできるだけ避けたほうがよいでしょう。
一時払いの割合としては、20%~50%ぐらいになるでしょうが、当然に多い方が取引先は喜ぶでしょうし、少なければ支払は楽になりますので、収支計画や資金繰り表からバランスのとれた無理のない数字を計算してください。
分割については、支払額から一時払い分を引いた残額を分割することになります。
分割払いの期間は3カ月から12カ月が一般的でしょうが、半年の6回払いぐらいにするのが、取引先の同意は取り易いようです。
また、1年(12か月)を超える分割は、取引先の同意が取りにくくなりますのでの、出来る限り避けたいものです。
支払猶予において、これらの配慮は重要ですが、一時払い額も、分割期間も、資金繰りが成り立つことが前提になりますので、当然に資金繰りを優先して決定してください。
ただ、収支計画や資金繰り表により数字を精査したときに、絶対に留意していただきたいのは、支払猶予による分割でも支払うことが難しいと判れば、再度、支払猶予を依頼するかどう検討し直すということです。
支払猶予をすると、企業の信頼は損なわれますし、取引先に大きな負担を強いることになります。
それなのに、資金繰りが破綻し、会社が倒産すれば、取引先を裏切ることになります。
支払猶予によっても資金繰り確保出来ないのであれば、取引先にお願いするべきではなく、違う方向性を選択する段階にきていると認識すべきではないでしょうか。
この段階での無茶な資金繰りは、間違いなく今後の展開を悪くさせます。
昨今は、支払猶予慣れした取引先も増えてきたようです。
支払猶予を突然に依頼されても、別に強い抵抗も無く受け入れ、今まで通りのお付き合いを続けてくれる取引先も少なくありません。
逆に、今までの経験から、支払猶予を受け入れる代わりに、売掛債権の回収について粛々と保全を図る取引先もあります。
仕入先等の取引先にとって、支払猶予を依頼されることは、売掛債権の回収に不安を持つことになりますが、同時に、売掛債権回収を保全するチャンスでもあります。
今までは、仕入先と得意先の関係で、不安があってもなかなか強いお願いも出来ませんでしたが、支払猶予を依頼されたことにより立場的にも強くなりましたから、この機会に売掛債権の回収を保全するために様々な条件設定を要求するのです。
そんな時に求める保全方法は、支払猶予をする売掛金について新たな担保や保証をとることであり、具体的には以下の様な内容になります。
・会社所有の不動産や、経営者の自宅を担保として提供させる。
最近でこそ問屋を中心に増えてきたようですが、金融機関からの借入と違い、売掛金について担保をとることはまだまだ珍しいようです。
この機会に、想定される売掛金について見合う担保をとることは、債権回収を図るにおいて安全な方法です。
・代表者をはじめとする経営者に個人保証をさせる。
これも金融機関と違い、取引先の立場からはなかなかお願いできない内容です。
しかし、会社と代表者の人格の違いを考えれば、いざという時に経営者の保証は極めて有効な方法だと思います。
・先付小切手・支払手形を発行させる。
経営者は、不渡りを出すことを極端に恐れるものです。
たしかに、不渡りを二回出せば無条件で当座取引が停止になり倒産扱いをされますが、現金決済は決済できなくても債権者が法的手続きを取らない限りは倒産扱いなどされません。
したがって、現金決済を小切手もしくは支払手形に変更することにより、支払について大きなプレッシャーを与えることができるのです。
・支払条件を公正証書により契約とする。
支払が約束通りに実行されないからといって、法的手続きを使っても簡単に回収できるものではありません。
しかし、支払契約を公証人役場で公正証書にして強制執行文言を入れておけば、法的手続きが容易になり、現実的に強制執行により売掛債権を回収できる可能性が高くなりますので、究極の債権回収の保全方法だともいえます。
支払猶予を受け入れる取引先にとって、予定していた売掛金が回収できず、将来的に回収の不安を抱えることになれば大変ですから、これらの方法は欠かすことのできない有効な手段でしょう。
しかし、立場を入れ替え、支払猶予をお願いする立場からすれば、これらの方法を受け入れることは将来的なリスクを抱えることになるので、出来れば避けたいというのが本音です。
回避しようと、信用を前面に出して交渉しても、なかには強硬に担保や保証を求める取引先もいるものです。
支払猶予をお願いする立場では、最終的には担保や保証を提供するしかないのが現実なのかもしれません。
そう考えると、支払猶予は極めて効果的だか危険な劇薬になるということで、本当に一時的な資金繰りの悪化であり、将来的な再生の目途があるという状況以外では、手を付けない方が良い方法だと思います。
次に、手形のジャンプについて考えてみたいと思います。
手形のジャンプとは、手形の書換えともいい、振出した手形について支払期日を延期してくれるように要請し、振り出し先同意のもとで手形の支払いを延期することです。
一般的に、振り出し先から手形を返却してもらい、新たな手形を振出すか、手形の支払期日を訂正変更して対応します。
こう書けば、さほど難しい交渉ではないようですが、現実的には様々な配慮が必要ですし、何よりも経営者としては絶対に避けたい行為なのです。
手形や小切手について、経営者は普段から異常に神経を配ります。
不渡りを出せば大変なことになりますから、経営者として当然なことなのかもしれません。
しかし、現金決済による支払の予定を待ってもらうのは何とかお願いできても、手形のジャンプをお願いできない経営者が多いのには納得できません。
現金決済の支払猶予も支払手形のジャンプも、理屈は同じことなのです。
手形には様々な使い方があります。
裏書きして、支払の手段として活用できることなどは、手形の一番の特徴かもしれません。
大手企業の受取手形を裏書きして貰うのは、資金繰りが悪化して与信が下がった得意先の手形を貰うよりも、はるかに安全で活用方法も広がるでしょう。
また、金融機関等に依頼し、割引をしてもらって資金化して活用できるのも、手形活用の方法でしょう。
割引料が取られますので、本来なら期日まで抱いて満額を回収したいところですが、こんな環境ですから、昨今は、割引をされる企業も急増をしているようです。
こんな使われ方をする手形ですから、手形をジャンプするのは極めて難しいように思えますが、基本は普通の支払猶予と同じだと考えるべきなのです。
たしかに、裏書きして回しているときや割引等されているときは、買戻しが必要ですから対応は難しいでしょう。
しかし、手元に保管されている手形であれば、発行している手形を回収し、新たな手形を発行するだけであり、普通に支払猶予をお願いするのと大差ないのです。
手形という担保を持たれて交渉するわけですから、若干は難しくなるのかもしれません。
しかし、手形のジャンプが有効であるという根拠を明確にすれば、理解を得ることも不可能ではなくなるでしょう。
手形をジャンプした方が『得』であり、倒産されるよりも良いということを理解してもらうのです。
当然に、それ以外の要素として、今まで培った信用や信頼関係も大きく影響してくることは間違いありませんから、誠意をもって交渉することが大事にもなります。
また、金融機関の返済猶予とは違い、財政的な理由で応じられないことも十分に考えられますが、何もせずに諦めれば何の答も出ないのですから、ここはチャレンジでしょう。
支払猶予は、何度も繰り返して依頼するものではありませんが、特に手形のジャンプは繰り返し実行するものではありません。
その場限りの資金繰りと捉えて、経営を確保するために、断固実行する資金繰り方法なのです。
資金繰りを確保する手段として、支出を減らす方法を用いる場合、絶対に配慮するべきことがあります。
それは、債権者に優先すべき順位つけて対応するということです。
この優先順位を間違うと、将来的な展開の中で、取り返しのつかない状況に陥る可能性が高いのです。
債権者といっても、多種多様です。
債権者とは、支払うべき債権を持つ相手ですから、金融機関や取引先、税金関係や社会保険関係等々から従業員さんも債権者になります。
そして、債権者にはそれぞれに性格や特徴があり、対応するにおいて留意すべき内容があります。
したがって、そのような特徴を十分に理解して対応しなければなりませんし、支払を猶予してもらうにしても、その特徴等により取り組むべき順位をつける必要があるのです。
今から、その性格や特徴をとらえて順位をつけるのは大変でしょうから、一般的な順位をご紹介します
最優先すべき債権者が、従業員であることは間違いありません。
法的整理をした場合でも、労働債権の扱いで優先債権として処理されますし、何よりも会社と一体となって頑張ってきてくれたのです。
また、給与の遅配などすれば、信用不安が流出する可能性が高くなりますし、従業員の生活自体が困窮してしまうでしょうから、従業員への給与の遅配は考えるべきもないのです。
次に優先すべきは、仕入れ先等の取引先の債権になります。
今後の経営を考えると、従業員と並んで、取引先の協力は必要不可欠ですから、最大限の配慮をする必要があります。
いい加減な対応をすると、信用不安を流される可能性がありますし、連鎖倒産されるかもしれないのですから、あまり無理をお願いできない債権者でもあります。
それ以降については、どういう優先順位でも大差がないように思えますが、今後を考えれば間違いなく税金関係に配慮する必要があります。
国民として、納税は当然の義務ですから、優先すべきであろうと思います。
さらに、税金には、他の債権には見られない特殊で強い権利を持っており、実行されれば極めて厳しい対応が要求されますから、優先すべき債権だと考えて、払えるなら払うべきだろうと思います。
これ以降の優先順位については、今後の展開に大きな影響はないでしょうから、状況に合わせて決めてください。
ただし、もっとも劣後する債権があることを認識してください。
それは、銀行等の金融機関の債権で、もっとも優先する必要のない債権になります。
金融機関は、担保や連帯保証人をとっており、事前に債権回収を保全していますから、他の債権者とは根本的に違い、同列に扱うべき債権ではないと思います。
しかも、金融機関には、厳密な守秘義務が課せられていますから、信用情報の流出の可能性も低いのです。
また、他の債権者と比較して金融機関は体力があり、少々の貸倒れぐらいで経営に影響を及ぼすことなどなく、倒産する心配はありません。
さらに、金融機関については、返済猶予をした後の動きがほぼ読めるのです。
そして、一般的には、金融機関の返済猶予を実行することが、支出の減少による資金繰り確保にとっては最も効果的なのです。
債権者の特徴に配慮した優先順位は以上の通りです。
支出の圧縮によって資金繰りを確保する場合、このような特徴を認識し、優先すべき順位を守って対応することが肝要だと思います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください, ↓ トップ経営研究所 ホームページ
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