日本政策金融公庫や信用保証協会等の公的機関は、債権放棄や債権譲渡は、基本的にはしないとのことです。
国民の税金を原資として使っているわけですから、簡単に債権放棄や債権譲渡をさせる訳にはいかないのでしょう。
しかし、例外がないというわけではなく、一定の条件に適合すれば、以前より債権放棄などをした事例はあります。
ところが、ここにきて姿勢を大きく変化させ、公的な金融関係機関も、前向きに債権放棄に取り組む事例が増えてきたようなのです。
中小零細事業者にとっての公的な金融関係機関といえば、一昔前であれば、中小企業金融公庫,国民生活金融公庫,商工中金,信用保証協会など複数の機関が存在しました。
しかし、中小企業金融公庫と国民生活金融公庫と農林漁業金融公庫が、平成20年に合併して日本政策金融公庫になりました。
当然、国民の利便性と合理化を目指して合併をしたのですが、今でも中身は昔のままで窓口も違いますから、何のために合併したのか不思議な経営者も多いと思います。
昔ならば、7,000万円までの融資は国民生活金融公庫で、7,000万円超えて7億円迄の融資は中小企業金融公庫と、重複して借りることも可能でしたから、中小零細事業者にとっては合併により不便になったといえるのかもしれません。
そして、今、不正融資で話題の商工中金ですが、平成20年に株式会社となりました。
しかし、政府が今でも過半の出資をしており、政府系金融機関として位置づけられることが多い様ですが、債権放棄や債権譲渡への対応は民間の金融機関と全く同じです。
特に、債権譲渡などは平気の平左で、他の金融機関よりも早く動く傾向が見受けられます。
債権放棄へのスタンスも、民間の金融機関と同じと考えて間違いないのではないでしょうか。
その結果、現在において、中小零細事業者が活用できる公的な金融関係機関といえば、日本政策金融公庫と信用保証協会の2機関だけになったということです。
ただ、同じ公的な金融関係機関といっても、日本政策金融公庫は融資を実行する機関であり、信用保証協会は民間金融機関の融資についての保証を実行する機関であり、その位置づけは異なります。
ジャンルが全く違うといえるのかもしれませんが、この2つの公的な金融関係機関がなければ、多くの中小零細事業者の資金繰りは成り立たたないと断言できるほど、緊密に関与し、日本経済を支える土台となっているのです。
公的な金融関係機関として、債権放棄と債権譲渡については、どのような姿勢をとっているのでしょうか。
まず債権譲渡についてですが、日本政策金融公庫と資金用保証協会共に、今でも債権譲渡はしません。
よく、信用保証協会の債権が保証協会サービサーに譲渡されたと言われる方がおられますが、これは債権回収を委託をしただけのことになります。
信用保証協会の子会社である保証協会債権回収株式会社(保証協会サービサー)が、信用保証協会の委託を受けて、代わりに債権回収の窓口になるということであり、債権が譲渡されたというものではありません。
昔と変わらず、両機関とも、ずっと不良債権は抱えたままで譲渡はしないということなのです。
ところが、債権放棄については、両機関共に、昔とは大きくスタンスを変更してきています。
保証人については、経営者保証に関するガイドラインの運用開始により、3年ほど前から厳しい追及は少なくなったということを、本ブログでも何度かご報告をいたしました。
弁済などできる環境にないのに、無茶な追及をして、保証人でもある経営者の人生そのものまで、破綻に追い込むことはしないという方向になってきたのです。
基本的人権や、最低限の生活を保障された日本において、本来は当たり前のことなのですが、今まででは考えられない嬉しい変化を遂げたといえます。
そして、この傾向が、主債務者である事業者に対しても、様々な環境で見られるようになってきました。
代表的な事例を、簡単にご紹介しますと、
返済できる状況にないと、そのまま放置・・・
ご高齢の債務者に対して、僅かな一括払いで債権放棄・・・
事業継続中の事業者と、裁判で揉めたすえに、債権の80%を放棄・・・
事業継続中の事業者に、今後は保証人名での弁済を要求・・・
事業継続中の事業者が、担保を守れたうえで、債権の40%を免除・・・
事業継続中の事業者に、廃業したら請求は止めると担当者が・・・
事業継続中の事業者に、休眠したら、僅かな一括支払いで保証人を外す・・・
債務者の状況や債権放棄の内容は違いますが、公的な金融関係機関が債権放棄に取り組んだ代表的な事例になります。
もはや、公的な関係機関も、前向きに債権放棄に取り組む時代になったといえるのかもしれません。
次回のブログでは、公的関係機関の債権放棄に関するこれらの事例について、内容を具体的にご紹介をしていきたいと思います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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