借りた金を返さない理由・・・


 

金融機関から借り入れをすると、誰もが、当たり前のように返済を続けて完済をされると思います。

資金繰りが厳しい状況であろうとも、金融機関には優先して返済しようとされるでしょう。

返済資金が不足する場合は、ノンバンクや知人から借り入れをしてでも、約束通りに返済を続けようとされるのです。

立派な姿勢だとは思えますが、こんな、返済もできない状況なのに、また借金をして返済額を増やしてでも返済を続けるのは、果たして、健全な経済行為と言えるのでしょうか。

 

借りたお金は、必ず返さなければなりません。

今さら言うまでもなく、人として、当たり前のことなのです。

ただ、それは、前提として、返済できる状況にあればということになります。

返済できるだけの資力がないのに、無理して返済を続ければ、いずれは資金破綻を起こして大変ことになるでしょう。

そして、破産や夜逃げといった、人としての悲しい末路につながる結果となってしまいます。

返済できる資力がないような状況であれば、返済を待ってもらうしかないのです

ところが、こんな考えに、根本から反対される方も少なくありません。

『そんな、人としての道に外れることなど出来ない・・・。』と言われるのです。

しかし、そんなことを言われる方は、2つの点で勘違いをされているのではないでしょうか。

1つは、返済を持ってもらうことは、政府も認めた正当な経済行為であるということです。

リーマンショックにより始まり、平成25年3月末で終了をしましたが、民間の金融機関からの借入金の返済を待ってもらおうという法律さえ存在していました。

結果、多くの中小企業が、未曾有の不景気において資金破綻から救われ、社会的認知も十分に得ることになりました。

もう1つは、無理して返済すれば、被害はもっと大きくなるということです。

返済できる資力がないのに、無理して資金を工面して返済をすれば、新たな債権者を作ったり、債務額が増加したりと、債権者も含めた全ての関係者に更に大きな負担を掛けることになります。

だからこそ、返済できる状況でなければ、債権者に頭を下げて待ってもらうしかありません。

返済を待っていただくことにより、時間的猶予を確保することで、その間に全力で踏ん張って、経営改善に取組んで再生を目指すのです。

その結果、再生を果たすことができれば、迷惑を掛けた方にお返しをすることも出来るでしょう。

この考え方が、関係者に対して、結果的に最も迷惑を掛けない方法になるのです。

 

借入金を返済しない場合、注意していただきたいのは、元金と利息の違いについてです。

元金は、金融機関の商品であり、この元金という商品を借りて、分割もしくは一括で返済をする資金です。

利息は、元金という商品を借りるための費用であり、金融機関の儲けとして支払う資金になります。

そして、利息は、元金残額により増減をしますから、元金残額が多い方が儲けとしての利息が増えて、金融機関は得をするということになるのです。

したがって、商品である元金についての返済を止めるだけであれば、利息という儲けを長期に亘り多く得ることになりますから、債権者である金融機関に損はありません。

債権者である金融機関は、返済を猶予することについて、モラルハザードなどと批判的な立場をとりますが、本音で言えば得をする事ですから有難い話なのです。

 

ところが、元金返済にとどまらず、利息の支払いまでも止めてしまえば、状況は大きく変わってしまいます。

金融機関は、儲けである利息の支払いを得られなくなるのですから、黙っているはずがありません。

当然に厳しい姿勢を見せ、利息の支払いどころか、元金の返済までも強く求めるようになります。

それでも、利息の支払いが3回滞る様になれば、期限の利益の喪失をさせて不良債権としてしまうでしょう。

我々債務者は、金融機関から借り入れをするときに、長期に亘って分割で弁済してもよいという期限の利益を与えられますが、債権回収が出来なくなる恐れが発生すると、その期限の利益を喪失させて、今すぐ一括で弁済しろということになるのです。

その、債権回収が出来なくなる恐れに該当する事由の一つが、利息の支払いが3回滞ることなのです。

それほど、利息の支払いというのは債権者である金融機関にとっては重要なキーワードであり、利息の支払いが停止して期限の利益の喪失をさせると、法的手続きなども含めて様々な方法で債権を回収するようになります。

そうなると、資金繰りが厳しいから、返済を待ってもらうとしても、事前の準備が必要になります。

万が一の場面でも事業を維持し継続するための準備であったり、どんな状況になろうとも生活を確保するための準備であったりです。

無理して返済を続ければ、全てを失ってしまうかもしれない環境なのですから、そんな準備に手間暇がかかろうとも、それは、価値があるということになります。

 

返済できる資力がなければ、無理して資金を工面して返済を続けるのではなく、債権者も含めた全ての関係者に更に大きな負担を掛けないために、返済を待ってもらうべきなのです。

元金の返済を待ってもらうだけで資金繰りが確保できるのなら、大きな問題は何もありません。

もしも、利息の支払いさえも停止しなければならない様な状況ならば、しっかりと事前に環境を整備してから取り組むべきでしょう。

そして、何故、返済を待ってもらうのかという根拠をしっかりと理解し、関係者のために勇気を持って実行をすべきではないでしょうか。

 

 

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