もう少し、大人にならなければなりません。
私の欠点でもあるのですが、どうしても白黒をつけようとしてしまいます。
それが良い結果を生む場合も多いのですが、難しい局面に追い込まれてしまう事もあります。
『四面楚歌』や『窮鼠猫をかむ』などの諺があるように、答えを求めて追い込むのではなく、相手が金融機関等の債権者の場合には、グレーな落とし処を見つけることも大事なのかもしれません。
お金を借りる時には、金融機関には最大限の配慮をして、敵にする様な態度・対応をとられる方などおられません。
金融機関の支援が必要だから、大人としての礼儀をしっかりと守られるのです。
しかし、経営の状況が変化し、金融機関から追加担保の提供要請などの厳しい条件を突きつけられても、満面の笑みで対応出来るでしょうか。
関係が、正常ではなくなると、対応もギクシャクして、感情が前に出た対応をとられる方も少なくないのではないと思います。
本当は、こんな状況でこそ、大人としての紳士で真摯な対応が求められるのです。
返済猶予をお願いする時などは、債権者である金融機関に対して、『安心』を与えることが重要になります。
たとえ、倒産するかもしれないと思える厳しい経営状況でも、そんなことを金融機関の前で正直に口にすることなどはできません。
こちらの腹を探られないようにと考えながら、金融機関を安心させるために『大丈夫』という心と裏腹な言葉も必要なのでしょう。
金融機関に支援を仰ぎ、ある意味において『生かされている』状況なのですから、この程度の配慮をするのは当たり前なのです。
これが、大人の対応であり、多くの中小零細企業の経営者も、ここまでのことは理解されているように思います。
ところが、利息さえも支払えないようになると、状況は一変します。
債務者である経営者は、債権者である金融機関への、態度と対応内容について両極化をしていくようになります。
今までと、同じ様に、金融機関に対して最大の配慮を示し、紳士の態度をとられる方は少なくありません。
人としては、当然にこの様な態度を基本とすべきなのですが、中には、今までの関係を全否定する様に開き直り、態度を一変させる方もおられるのです。
また、対応内容については、より厳しくなった環境においても、今まで通り出来る限りの弁済を続けようとされる方がおられます。
逆に、無い袖は振れないとばかりに、ほとんど支払を停止される方も少なくありません。
利息さえも支払えなくなり、債務者としては選択肢が広がったともいえるのですが、金融機関への態度や対応内容はこの様に両極化をしていきます。
金融機関にとっては、最大限に配慮をした態度で、精一杯の弁済を続けようしてもらうのがベストであるのは間違いありません。
しかし、現実として多いのは、配慮した態度をとりながら、ほとんど弁済しない、もしくは弁済できない方だろうと思います。
したがって、債権者である金融機関も、ここまでの方を対象に債権回収のシステムを組んでいる様なのですが、その枠を超える債務者も少なくありません。
無い袖は振れないと開き直った態度で、全く弁済をしないという、金融機関にとっては一番困る、極端なタイプの方が少なくないのです。
ここまで開き直られると、現実的に金融機関が債権回収をするのは難しくなりますが、態度として最低限の配慮さえ示しておれば、まだ、金融機関も紳士の対応をしてくれるかもしれません。
しかし、喧嘩を売るような対応をすれば、さすがの金融機関も感情のある人間の部分が前に出て、売られたケンカは買うという対応がとられるようになるでしょう。
そうなると、困るのは債務者の方なのです。
せっかく、債権者金融機関の動きを読んで、出来る限りの対応をしているのに、様々な嫌がらせをされるかもしれません。
担保不動産を任意売却しようとしても、様々な厳しい条件付けをしたり、任意売却自体を拒否されるかもしれません。
不動産や預金口座,生命保険,給与などの資産に対して、仮差押や差押等をしてくるかもしれないのです。
維持出来るはずの資産について因縁をつけ、詐害行為の取消請求等をされる可能性もあります。
普通であれば、考えられる筈のない対応をとられ、窮地に陥って困るのは我々債務者なのです。
債権債務処理の色々な事例を見ていると、債権者である金融機関の予想外の強硬な対応というのは、債務者側に問題があることが多いようです。
金融機関が何らかの支援をしようとしているのに、債務者がその好意に反して、非道義的で惨い対応をとっている時に、金融機関の厳しい債権回収姿勢が多々見られる様に思います。
そんな状況で、わざわざ、喧嘩を売ることはありません。
債権回収のプロである金融機関を、敵にする必要などないでしょう。
腹の中はどうであろうと、金融機関には満面の笑みをみせ、どんな状況であろうとも、最大限の配慮を示し続けるべきなのです。
慇懃無礼とは良く言ったものですが、それが、損をしない大人の対応なのだと思います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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