債務超過での会社分割・・・


 

会社分割を効果的に活用して、債務超過の中小企業を事業再生させようという手法が、十数年前にブームになりました。

 

驚くような結果が得られた手法でしたが、債権者を棚上げした手法であったため、詐害行為の取消請求の問題が発生し、会社分割の活用は一気に下火になってしまいました。

 

中小企業再生支援協議会などにより、現在も僅かに活用されているようですが、あれだけ効果的な手法なのですら、事業再生のために、もっとポジティブに活用できないのでしょうか。

 

問題は、債権者への対応になりますから、この点を少し変えるだけで、まだまだ有効活用の道は残されているのではないでしょうか。

 

 

平成12年に商法が改正され、中小企業の会社分割が導入をされました。

 

そして、平成17年の会社法改正により、一定の条件の下で債権者保護手続きを取らずに会社分割が可能になり、一気に中小企業において活用をされるようになったのです。

 

法律家を中心に、会社分割を専門とする事業者が増加し、強制的債務免除の意味合いを持った事業再生手続きとして、会社分割が多用されるようになりました。

 

しかし、債権者の保護手続きを棚上げし、事実上は債権者への弁済を放棄する濫用的な活用に、会社分割が問題なることが少なくありませんでした。

 

その結果、平成24年に最高裁により、『新設分割設立株式会社にその債権にかかる債務が承認されず、新設分割について異議を述べることもできない新設分割会社の債権者は、民法第242条の規定により詐害行為取消権を行使して新設分割を取り消すことができる。』との判断が示されました。

 

この会社分割手続きにおいて、作為的に棚上げされた債権者は、詐害行為取り消し請求の行使により、会社分割手続き自身を取り消せるという意味で、会社分割による事業再生自体を否定するような最高裁の判断になります。

 

この最高裁の判断により、それまで多用されていた会社分割の目的・手法は詐害行為取消請求のリスクを背負うことになり、一気に下火となってしまったのです。

 

現在において、中小企業の会社分割は、債権者の同意を前提とした中小企業庁推薦の第2会社方式の活用において、事業再生士などが取り組む事例が見られる程度になっており、本来の会社分割の効果は全く発揮されていない状況になっています。

 

 

 

平成17年の会社法改正により、積極的に活用されるようになった会社分割は、倒産も視野に入るほどの厳しい財務状況であろうとも、黒字化が確保できる分野や事業があれば、会社分割を活用することにより、財務内容の健全な事業体としての再生が容易であるという手続きでした。

 

この会社法の改正は、金融機関等債権者の異議手続きを経ることなく、会社分割の手続きを進めることを可能にしたのです。

 

それにより、新設会社に分割移動する資産や負債についても、債権者に相談することなく分割会社の経営陣で決めることができる様になったのです。

 

有為な資産と負債だけを新設会社に移し、不要な資産と負債は分割会社に残すことにより、財務的で健全で収益の確保できる新設会社の設立が可能になりました。

 

また、分割会社は、法的整理を前提とすることにより、実質的に一方的な債務免除を合法的に実施できることになり、財務の悪化した中小企業でも、会社分割を活用すれば、効果的な事業再生が可能となったのです。

 

 

 

実質的債務免除を得られる事業再生手法として、会社分割は一気に拡散をしました。

 

しかし、その多くは、倒産寸前の企業が、債権者の異議手続きを経ることなく、優良分野・事業だけを新設会社に移し、問題のある不良負債・資産は分割会社に残して支払いを逃れようという、濫用的に会社分割を活用するケースがほとんどでした

 

その結果、分割会社に債務を残され、実質的に弁済を受けられなくなった債権者を中心に大きな問題となり、平成24年に最高裁による詐害行為の判断が示されることになったのです。

 

その最高裁の判断は、それまでに会社分割の専門家が取り組んだ手法やスキームを対象とし、ほとんど全ての事例が詐害行為取消請求の追及を受ける可能性のある内容となっていました。

 

その結果、債務免除を視野に入れた会社分割は、一気に下火となり現在に至っています。

 

 

 

会社法改正によるところの会社分割は、債権者の保護手続きが不要だから、債権者の同意を得ずに実施をされたのですが、それが問題となったのです。

 

本来の会社分割は、債権者保護が前提であったので、ある意味、当然の結果なのかもしれません。

 

しかし、会社分割は、様々な効能を持ち、事業再生の大きな障害となる債務超過さえも合法的に処理し、事業再生を目指すことも不可能ではないのです。

 

債権者への対応を少し変化させれば、会社分割活用の可能性はまだまだ広がるのではないでしょうか。

 

 

 

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