景気に騙されない・・・


このアベノミクス経済は、自らの環境と得られる情報に、大きな違和感を覚えてしまいます。

新聞記事やテレビ報道では、『いざなぎ景気を超えた・・・』、『上場企業の業績が過去最高を更新・・・』、『不動産市況リーマン前回復・・・』などといった、すごい好景気を連想させる言葉が飛び交っています。

ところが、自分の収入や生活において、そんな好景気の実感はありません。

中小零細事業者では、好景気どころか、業績は悪化の一途をたどっているほどなのです。

このギャップを、我々は、どのように捉えればいいのでしょうか。

 

不動産の競売が、ここ数年、減少を続けています。

リーマンショック直後、年間で9万件を超えていた不動産の競売件数が、今は3万件を切るほどまで減少しているそうです。

不動産の競売とは、借入金が約束通りに弁済できなくなって金融事故になると、債権者である金融機関などが担保として提供していた不動産を、裁判所の所管の元により入札で換金し、債権回収に充当をする手続きのことです。

若干のタイムラグはありますが、一般的に、景気が良ければ競売は減少し、景気が悪化すれば増加するという傾向があります。

不動産の事故に絡むデーターであり、この数値は景気と連動をしているということになります。

そうすると、約10年前の3分の1にまで減少しているとは、このアベノミクス景気は、凄い好景気だということになるのかもしれません

 

しかし、全く逆の傾向を示すデーターも存在します。

同じように、不動産の事故絡みで、景気の動向を示すデーターとして、住宅ローンのリスケジュール件数があります。

住宅ローンのリスケジュールとは、住宅の新築などをするときに、金融機関がら住宅ローンの融資を受けますが、何らかの理由により約束通りに返済することが難しくなった場合に、返済条件の変更をして緩和してもらうことです。

当然に、景気が良ければ対象件数は減少し、景気が悪化すれば増加するということになります。

中小企業金融円滑化法が終了した平成25年ころに26万件であったものが、昨年の3月時点で41万件となり、僅かな期間で15万件も増加しているのです。

このリスケジュール件数は、景気の動向と直結する結果になりますから、景気は極端に悪化しているということになります。

 

この2つの、相反するデーターから、何が判るのでしょうか。

住宅ローンのリスケジュールは、消費者の収支や経済状況と直結したデーターだといえます。

住宅ローンを組むときには、様々なことに配慮して、間違いなく弁済できるだろうという安全な計画にするものですから、約束通りに住宅ローンを返済することが出来なくなってリスケジュールをするというのは、何らかの理由で、収入や収益が計画より減少をしているということになります。

普通に考えれば、雇用環境が悪化しているということになるでしょう。

競売は、借入の弁済ができなくなって、期限の利益の喪失をして金融事故になった結果、債権者が債権を回収するために実施されます。

したがって、その競売件数の増減が景気と連動をしていることは間違いありませんが、他の要素の影響も大きく受けることになります。

まず、競売は、債権者である金融機関が申し立てることにより実施されるものですから、債権者の考え方に影響を受けます。

たとえ、借入の弁済が滞っていても、債権者の何らかの理由により、競売の申し立てがなされなければ、競売は実施されないということになるのです。

ここ数年、不動産は久々の好市況といえる状況ですから、本来であれば、金融事故案件の担保不動産はドンドンと競売にして、より多くの債権回収を図りたいところだと思います。

しかし、制度的にも、まず金融事故にはしたくないという傾向があり、リスケジュールの基準も甘くなっているのが現実だといえます。

そして、金融事故になっても、債務者の状況により、簡単に競売にはしなくもなっているようです。

ということは、景気が良いから、競売が減少しているということにはならないのです。

 

この、競売は減少しているが、リスケジュールは増加しているというのは、破産は減少しているのに、倒産は増加しているという現実と同じだと思います。

実際は厳しくなっているが、制度的に悪い結果を出さないようにしているのが現実であり、アベノミクスの実体だといえるでしょう。

少しでも、景気の歯車が狂えば、収拾がつかなくなり、競売件数は一気に増加するのではないでしょうか。

 

 

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