粉飾決算は追及されるのか・・・


 

東芝の粉飾・不正会計の問題が、ようやく落ち着きを見せてきました。

こんな大手企業でも粉飾決算をするのかと、驚かれた方も多いのではないかもしれませんが、粉飾決算をしたことによって、追及されている大企業は少なくないのです。

2014年7月から1年強の間で東京証券取引所は、不適切な会計処理《粉飾決算》をしたとして、東芝を始め伊藤忠商事,KDDI,日本道路,タカラトミーなど11社も追及したのです。

 

粉飾決算といえば、中小零細企業というイメージが強いのですが、実際はどうなのでしょうか。

私の仕事上から得る情報としては、ありのままの正確な決算をされている方は、そんなに多くないといえます。

多くの中小零細企業が、悪意か善意かを問わず、何らかの理由で、何らかの手段を用いて、実体ではない決算をされているのが現実だろうと思います。

資金繰り的にプラスになるためや、仕事上の目的を達成するため等の理由で、ポジティブに粉飾決算をされているのではないでしょうか。

  業績を良く見せるために、売上を増やしたい・・・

  銀行向けに、見栄えの良い決算書にしたい・・・

  税金を抑えるために、利益を減らしたい・・・

  建設業の、公共事業の受注資格のために財務内容をよくしたい・・・

この様な理由で粉飾をされるのでしょうが、この中では節税対策の粉飾はほとんどなく、悪意で粉飾をするのではなく、商売上の目的のために粉飾をする事例が多いようです。

 

粉飾決算は、詐欺的行為だとして批判を受けるのですが、厳密にいえば、粉飾をされていない中小零細企業はほとんどないといえます。

作為的な粉飾はしなくても、時価と簿価の違いによって、知らぬ間に粉飾になっていることが多いのです。

簿価は購入した時の原価と費用の合計であり、時価は現在の評価額であり、対象となる有価証券(非公開)や土地の評価において、大きな差が出ることは少なくありません。

特に、土地については簿価と時価が大きく乖離することが多く、その計上により財務内容を一変させてしまいます。

たとえば、貸借対照表において、土地評価4億円を含む資産の合計が5億円で、資本金が1000万円で、純資産の部の合計は5000万円とします。

資産のほとんどが土地ということですが、貸借対照表上では優秀な内容という事になり、金融機関はプロパーでも融資をしたいと思うでしょう。

ところが、この土地はバブル期に4億円で購入したもので、そのまま簿価として計上しているのですが、現在の時価に直すと2億円にしかなりません。

そうすると、資産の合計は3億円になり、純資産の部の合計はマイナス1億5000万円という大幅な債務超過となってしまい、信用保証協会付き融資を受けるのも難しいのではないでしょうか。

株式公開していない有価証券や土地については、企業会計ルールで簿価でも問題はありませんから、バブル期に購入した土地等がある場合、こんな事例は珍しくありません。

しかし、これでは、何のための決算書かということになります。

実際の財務内容と、決算書で表された財務内容が食い違う事を粉飾決算というのですから、有価証券や土地などの簿価での計上は、厳密にいえば、粉飾決算という事になるのです。

ここまで厳密に考えれば、粉飾決算をしていない中小零細企業は珍しいという事になるでしょう。

企業会計ルールで許容されている範囲であれば、粉飾決算をしていない企業は沢山ありますが、その範囲においても粉飾決算をしている企業も少なくありません。

昔と違い、今は少なくなりましたが、税理士さんが関与している粉飾決算もあります。

債権者である金融機関が、一応は知らない振りをしているもの、その事実を具体的に把握している粉飾決算も珍しくありません。

経営者が、何とか粉飾を解消しようとしても、長年に亘る積み重ねにより、解消できない粉飾もあります。

中小零細企業には、様々な理由や根拠により、色々な形態で粉飾決算は存在していおり、仕方なく粉飾をしているというのが現実なのです。

 

そんな粉飾決算をしている企業が、事業整理をしたらどうなるのでしょうか。

破産をすれば、弁護士である管財人が処理することになりますが、中小零細企業の破産で、粉飾を追及されることは、よほど悪質でない限り考えにくいでしょう。

任意整理においても、整理間際に粉飾によって融資を受けるなどの悪質な行為が無い限り、粉飾を厳しく追及されることは現実的に見聞きしたことがありません。

大企業と違い、粉飾決算が刑事事件に発展することは、悪質でない限り、ほとんど無いと思います。

事業整理の段階で、粉飾決算を追及しても、その後の債権回収には意味をなさないということなのでしょう。

粉飾は、中小零細企業が事業を維持するために、仕方のない必要悪な行為なのかもしれません。

 

 

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