何故、破産を勧めたか・・・①


 

初めて、ご相談者に破産を勧めました。

コンサルタントとして、経営危機に陥った中小零細企業の経営者のご相談に対応してから14年になりますが、今まで、私の方から破産をお勧めしたことはありませんでした。

破産以外に、検討すべき選択肢は多々あり、もっと効率的な結果を求めることが出来たからです。

しかし、今回は、ご相談者の事を考えれば、破産という選択しか残らなかったのです。

『破産を考えるのは、まだ早い!・・・』

『破産は、必要ない!・・・』

などを基本のコンセプトに、経営危機に陥った中小零細企業の経営者のご相談にのってきました。

実際、この14年間で、1000件弱の経営危機打開に関するご相談をさせていただきましたが、私から破産を勧めたことはありませんでした。

結果として、破産をされた事例は数件ありますが、それぞれ選択するに足りる事情があってのことです。

 

たとえば、個人事業主のご主人を持つ奥様の場合です。

ご主人は、建設業の専門業種を個人事業で展開をされていたのですが、得意先の経営悪化で資金繰りが厳しくなり、金融機関から借入をしたのですが、その保証を奥様がされました。

もともと、利益率の低い商売だったのに、借入をしたために資金繰りは常に厳しい状況になり、頻繁に様々なところから資金調達をされるようになり、奥様がその保証人になるしかありませんでした。

結果、借入の返済が出来なくなって金融事故になると、保証人であった奥様にも厳しい督促が来るようになり、神経の細い奥様は耐えられなくなってしまいました。

幸い、奥様には目ぼしい資産は何もなく、子供さんも既に成人をされていましたので、奥様だけが破産を選択され、厳しい督促から逃れられたのです。

しかし、債務者本人のご主人は、破産もされずに、今も事業を継続されています。

 

本当に特殊な、破産を選択された事例もご紹介したいと思います。

その経営者は、破産をしないという方向で、事業の維持に取組まれました。

ラーメンのチェーン店を経営されていたのですが、借入の返済負担が膨れ上がり、資金繰りを圧迫するようになって、現形態での事業継続を諦めるしかなくなりました。

丁度その時に、丁稚で修行していた長男が独立し、同じラーメン店を展開する予定で別会社を設立したのです。

経営者は、迷わずに事業譲渡を選択されました。

チェーン店の中から、収益の確保出来る優良店舗だけを、長男の別会社に正式な手続きを経て譲渡し、残った店舗は閉店し、会社も廃業状況となったのです。

それから2年が過ぎ、長男の店舗は順調に業績を拡大させ、経営者も従業員として働き、最低限の安定的な生活を確保できるまでになりました。

しかし、経営者は連帯保証人としての、個人の保証債務について厳しい追及をされ続けています。

銀行などの金融機関に始まり、代位弁済をした信用保証協会,債権譲渡を受けたサービサーなどから、ひっきりなしに督促が入り、いつまでも債権回収の手続きが緩むことはありません。

業を煮やした経営者は、破産を思いついたのです。

事業は、既に事業譲渡により守られていますし、個人資産はありませんが生活も確保されています。

残債務を、破産により消滅させることが出来れば、もう何も憂いはなくなります。

自分なりに色々と検討をされ、問題はないと判断をされた経営者は、自己破産を申し立てられました。

破産をしないという前提で取り組んできましたので、様々に問題も発生し、随分と手間取りましたが、自己破産により免責されることになりました。

 

これなどは、極めて特殊な事例であり、結果論ではありますが、巧妙に事業を維持したうえで債務を消滅させたということになります。

この様に、何らかの理由により、イレギュラーな選択になるのが破産なのです。

本来は、破産など回避したいのですが、今回は、どうしても破産しか選択肢が無かったのです。

 

 

  詳しい内容は、ホームページをご覧ください,

          ↓

    トップ経営研究所 ホームページ

 

 

↓ランキングです クリックして応援してください
ランキング人気ブログランキングへ

 

ランキングです クリックして応援してください

          ↓

      にほんブログ村 経営ブログへ

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>