昔、定価というものがありました。
多くの商品が、この金額で売るように販売価格として決められていたのです。
定価として決められた金額よりも、低い金額で売れば値引きということになり、買った方は得をした気分になれたものです。
ところが、最近は、希望小売価格やオープン価格といったものが氾濫し、掲示されている金額が高いのか安いのか判らなくなってしまいました。
定価という表示を、街中で見かけなくなって25年ほどが経つのでしょうか。
昔は、工場などで製造された商品には、製造者が決めた定価というものがありました。
問屋さんや小売業者さんなどの経費・利益も勘案したうえで、エンドユーザーに買っていただく金額を定価として決めていたのです。
商品棚には、定価としての金額が表示され、その金額で購入することに、消費者として何ら疑問を持つこともありませんでした。
その商品を作り上げた、製造者やメーカーが価格決定権を持っていたのです。
その定価が表示されなくなったのは、平成3年7月に公正取引委員会の『流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針』の中で、独占禁止法上、『定価』あるいはこれに類似する拘束的な表現を行わないことが望ましいと表現したことに始まると言われています。
定価が、独占禁止法に触れるというのは、ちょっと理解に苦しみますが、この指針により定価表示がされなくなった様です。
これが、製造者やメーカーが、価格決定権を喪失する始まりだったのでしょうが、定価の表示か無くなった理由はこれだけでは無い様思います。
既に、消費者や購入者が、価格の決定権を意識する時代になっていたのではないでしょうか。
昭和40年頃から、消費の意識が大きく変化しだしました。
スーパーマーケットを中心とした流通破壊に始まり、競争激化による価格崩壊に流れる時代になり、消費者や購入者が購入動機として価格を意識するようになりました。
売る側が取引価格を決めるのではなく、買う側が取引価格を決める時代になってきたのです。
購入者は、納得出来る内容の商品を、納得出来る価格でなければ購入しないという時代になっており、その結果が定価表示の消滅であり、希望小売価格やオープン価格という中途半端な表現方法を活用することにより価格の優柔性を持たせることになったのだと思います。
製造者やメーカーは、価格決定権を喪失してしまったのです。
ところが、違う面において、価格決定権を確保するようになりました。
それが、仕入先や下請けへの発注単価です。
自動車などの大手メーカーは、高度なスキルにより製造原価を精査し、それに合わせて発注価格を決定します。
形だけの見積もりや交渉はあっても、現実的には強制です。
『この価格で受注出来なければ、他社に依頼しますよ』等の脅し文句も活用しながら、発注価格を押し通すのですから、完全に価格決定権を確保しているといえます。
逆に、仕入業者や下請業者は、何ら価格決定権を持たないという状況になってしまったのです。
結果として、メーカーは好業績でも、仕入業者や下請業者は業績を悪化させるようになってしまいました。
価格決定権を持たないと、これからの時代は生き残るのが厳しいのではないでしょうか。
全てにおいてロスをそぎ落とした環境ですから、余禄や逃げ場なども残っておらず、他で補填することも不可能でしょう。
商品においてでしか利益を確保することはできませんから、適正な利益を含んだ価格でなければならないのです。
しかし、環境は、更に厳しい価格を、一方的に要求するようになりましたから大変です。
既にリストラは徹底し、経営改善にも徹底的に取組んでおり、これ以上の経費削減や原価圧縮は不可能だといえます。
こんな環境で、経営者が考えるべきことは、価格決定権をいかに取り戻すかということでしょう。
そして、こちらで価格決定権を持つためには、特異な商品を持つことです。
購入者が頭を下げて買いにくるような、他には無い商品を考えてみてください。
他にはマネのできない高度なスキルや、他では手に入らない商品を持てば、価格決定権を維持出来るのです。
『欲しければ、売ってあげてもいいけど・・・』、こんな商品があれば、資金繰りに悩む必要は無くなるでしょう。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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