不況に弱い業界とは・・・


節操のない表現ですが、経営危機にも、流行があるのかもしれません。

その時折の経済環境に、業界によって適性があるように思います。

それは、好景気か不景気なのかに関わらず、業界ごとで業績に如実に傾向が表れてくることがあるからです。

もちろん、企業の努力や資質により、同じ業界とはいえ業績に差は出ますが、ご相談いただく件数を調べると明らかな傾向として見えてきます。

 

この仕事を始めて13年が経ちましたが、その間、ご相談いただく職種や業界は千差万別でした。

様々な職種の方がご相談してくださるのですが、その時折、業種により増減が傾向として表れます。

それは、経済の環境により、業種の業績に影響を与えるということなのでしょうが、そういう前提においても特に顕著な傾向が表れることがあります。

たとえば、あの未曽有の世界不況といわれたリーマンショック直後で、ほとんど全ての業種が業績を悪化させるという環境においてです。

平成21年のリーマンショック直後の1年間で、高級外車専門の中古車販売業の新規ご相談が6件に上ったのです。

私の、1年間の新規ご相談件数は、平均すると80件ほどですが、この年は120件を超える件数で過去最高となったのですが、その1/20が高級外車専門の中古車販売業だったということになります。

それまでの6年間で、高級外車専門の中古車販売業のご相談はわずか1件だけでしたし、業者数の比較から考えると、異常な件数だといえるのではないでしょうか。

しかし、一気に経済が収縮し、全てにおいて余剰が消失したリーマンショックという環境を考えると、高級中古外車という贅沢品を扱う業種の経営が厳しくなるという傾向は、当然だといえるのかもしれません。

それから3年後の平成24年も、興味深い傾向が表れます。

この年の新規ご相談の総数は80件を少し超えるほどでしたが、お弁当屋さんのご相談が極端に増えました。

仕出しやホカ弁を専門に扱う弁当屋さんだけで、新規ご相談が、1年間で5件もあったのです。

ほとんどが小規模な事業者で、簡単に経営危機に陥るような経営ではなかったのですが、時間を掛けて業績を悪化させた理由は同じところにありました。

全てが、外因による業績悪化です。

需要は旺盛なのですが、供給が過剰になり、小資本で競争についていけなかったということになります。

簡単にいえば、コンビニエンスストアという強力なライバルの出現で、最善の経営をさえていたにも関わらず、耐え切れなくなった結果だといえるでしょう。

そして本年、2つの傾向が見えています。

アベノミクスの好景気が言われていますが、日本経済の実体はそんな簡単な状況ではないようです。

私どもの経営危機コンサルタントという仕事は、経済状況が悪化すると忙しくなり、好景気になると暇になるという仕事なのですが、本年は経営危機の新規ご相談が減っていないのです。

その様な環境の中で、新年早々よりご相談が増えたご業界は、衣料関係です。

ここ数年、衣料業界は低迷を続けていますが、特に、中国に発注して製造した商品を、日本に輸入して販売するという仕組みの会社のご相談が多いのです。

その会社の社長曰く、『どうやって経営改善をするかという次元ではなく、整理が出来れば幸せだ・・・』という状況なのです。

たしかに、中国での製造原価は高騰し、円安で輸入負担は増加し、日本での消費は低迷したままという3重苦ですから、この様な状況に追い込まれても仕方がないのかもしれません。

そして、もう一つの傾向が、この半年ほどで顕著になってきました。

信じられないかもしれませんが、自動車などのグローバルなメーカーの下請け企業です。

大手メーカーの、2次下請けや3次下請けをされている会社のご相談が増えているのです。

好業績を誇る業界のはずなのですが、それはメーカーや1次下請けなどに限られ、2次下請け以下には恩恵がないどころか、悲惨な状況に追いやられているのが実態の様なのです。

たしかに、仕事はあるのですが、粗利益率が1ケタの受注は珍しくない状況で、中には4%を切るような低粗利益率の受注さえもあるのです。

断れば、次の仕事がなくなりますから、受けざるを得ないのでしょうが、とても営業利益を確保できるような状況ではなく、完全な自転車操業に追いやられているのが実情なのでしょう。

これは、経営者や会社が努力しても改善できるものではなく、もっとも経営改善の難しい状況でもあるといえるでしょう。

本年の傾向は、これから更に顕著になってくるだろうと思います。

好景気だと思われていた業界が、実は、極めて厳しい状況に追い込まれていたということが、我々一般庶民にも見えてくるでしょう。

企業業績は、政治や経済の動向に大きく左右されるものですが、ようやく、アベノミクスの実態が露呈するという事なのかもしれません。

そして、心して経営に取り組むべき環境だということを、肝に銘じる必要があるでしょう。

 

 

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