まぁ、色んな事を心配されます。
重箱の隅を楊枝でほじくるようなことまで心配し、それが大きな不安となって経営者の神経を弱らせてしまいます。
真顔でご相談される姿を見て、真剣な眼差しを返してはいるのですが、実は心の中では苦笑をしています。
「そんなこと心配する余裕があるのなら、もっと経営改善を頑張ってほしいなぁ・・・」と。
でも、知識もそれ程なく、初めての経験だから仕方がないのかもしれません。
厳しい経営危機状況になると、従業員の生活や仕入れ業者などの社会的弱者を守り、事業を維持するためには様々な対策が必要になります。
金融機関などの債権者と、健全な関係が維持できている状況なら問題ありませんが、借入金の元本返済どころか利息さえ支払えなくなれば、その対策の重要性は飛躍的にアップします。
事業の継続が前提になりますから、それを阻害する要因を阻止するために対策が必要になるのです。
たとえば、期限の利益の喪失(正式に不良債権として扱われること)をして、金融機関などの債権者が資産に対して強制執行をしてきたらどうなるでしょうか。
事業に必要な資産を強制執行されてしまえば、事業の継続は不可能になってしまいます。
それを防ぐために、事業維持に必要な最低限の資産を予防的に保全する必要がでてくるのです。
この行為自体、詐害行為などと指摘される可能性がり、色々と問題もあり注意する必要がありますが、経営危機という有事の状況において、社会的弱者を守るためには仕方がない行為だいえます。
事業が破綻してしまえば、従業員は職を失い生活できなくなりますし、子供の教育費にも支障をきたすかもしれません。
仕入先などは、これからの仕事を失うだけではなく、売掛金さえも回収できなくなって、連鎖倒産をする可能性さえあるのです。
社会的弱者だけではなく、金融機関などの債権者も、貸付債権を全額回収できる可能性は低くいでしょうから、事業の破綻は関係者すべて大きな負担を発生させることになるのです。
経営危機で、中小零細企業の経営者が自らの命を絶たれることは珍しくもないほどなのですから、この状況は有事だと捉え、超法規的な対応も仕方がないと考えるべきなのではないでしょうか。
ここは、全てに事業の維持を優先し、そのために最大限の対策を講じるべきなのです。
全力で事業の維持と、そのための経営改善に取り組み、その結果、再生を果たすことによって、今まで迷惑をかけた債権者等にお返しをすることが、最も効果的な対応方法だと思います。
そういう経緯において、事業維持に必要な最低限の資産を予防的に保全することになるのです。
事業用不動産や商品,機材器具,更には現金や預金,売掛金や保証金などの資産を、強制執行されないように保全します。
様々なパターンによって対策を講じることになりますが、債権者がその事実を知れば対策は失敗になります。
知られることにより、債権者は強制執行を有効に実施することが出来るようになるのです。
しかし、実は、それは簡単なことではありません。
債権者が知っている、債務者の所有する資産というのは限定的であり、調べて新たに知るというのも難しいことなのです。
決算書に載っている預金口座や売掛金,不動産などの資産は簡単に知ることが出来ますが、極めて限定的な対象ですし、何よりも保全対策の中で、『知られない』ようにする訳ですからなおさら難しくなるのです。
中には、債権者は何でも知っているように勘違いされている経営者もおられますが、税務関係等以外では、預金口座さえも簡単に調べられるものでないのが現実です。
資産の予防的な保全対策は、当然にそんな理屈や状況も理解して実施しますから、強制執行されるリスクは低くなるのですが、それでも経営者にすれば不安です。
貴重な資産の存在を知られてしまえば、強制執行されて事業は破綻し、全てを失うことになってしまうと考え、資産の安全に不安を感じることになるのです。
そして、その不安は徐々に増幅し、絶対に安全な資産さえも強制執行されるのではないかと焦ることになります。
これは、この環境にある経営者に共通する特徴だともいえます。
しかし、そんなに心配することはありません。
誰が、そんなことを知っているのでしょうか。
移動や契約変更をした、預金口座や生命保険,保証金や売掛金などを、どうやって知ることが出来るのでしょうか。
知られはずのない不安におびえる暇があるなら、本筋の経営改善に真摯に取り組むべきなのです。
そのために、この有事に、超法規的な措置として、資産の予防的な保全を実施したのですから。
平成16年1月から運用開始されるマイナンバー制度は、知ることのできる制度です。
税や社会保障という、限られた対象において、預金口座などの資産について簡単に全てを知ることが出来るようになります。
ただ、これは、金融機関などの民間の債権者を対象とはできませんので、不安になる必要はないと思います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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