詐害行為に間違われないため・・・


 

詐害行為を理解するのは難しいものです。

 

同じような行為で、詐害行為としての追及を受ける可能性がありながら、実際に詐害行為の取消請求をされる場合と、何の追求も受けない場合があり、一体、何が違うというのでしょうか。

 

結果として、大きな差が出る、この違いについて考えてみたいと思います。

 

 

詐害行為を根拠づける、以下の2つの状況をキーワードとして再確認してください。


  1. 無資力(債務超過状況)でなされた行為。

  2. 権利・資産の譲受人(受益者)が、債務者の詐害の意思を知っていた。

この2点が、詐害行為を証明することになりますから、行為を実施した『時』と『タイミング』,権利・資産の譲受人(受益者)についての『立場』と『譲受方法』の2つについて、具体的に検討することで判り易くなると思います。

 

 

 

まず、詐害行為として疑われる可能性のある行為を実施した『時』と『タイミング』についてです。

 

考え方として、債権・債務が発生した以降の行為は、全て詐害行為として取消請求を受ける可能性があるという捉え方もあるようです。

 

しかし、この様な捉え方が罷り通るようでしたら、ほとんど全ての商行為について詐害行為の取消請求をうける可能性があることになり、極めて現実的ではありませんので、債務超過状況でなされた行為であることを前提にします。

 

したがって、債務超過ではない、資産超過の状況でなされた行為は、詐害行為として扱われる可能性は無いという事になります。

 

しかし、実際に詐害行為として疑われるかもしれない行為は、債務超過状況でなされることが多いというのが現実でしょう。

 

そんな時に、詐害行為の可能性があるからと、何の手段も実施しなければ、守れるはずの資産も失うことになってしまいますので、時効の理屈を理解して出来るだけ早い段階で取り組むことを考えてみてください。

 

詐害行為の取消請求にも時効があり、その行為をしてから20年で、詐害行為の取消請求権は時効により消滅します。

 

また、債権者が、その行為の事実を知ってから2年で、取消請求権の消滅時効の期間は完成することになりますので、債務超過状況でなされた行為でも、2年以上の期間が経過していれば、詐害行為の取消請求の可能性は低下するということになります。

 

逆に、その行為をして3か月も経過していない、直近で金融事故になるなどの状況であれば、詐害行為として追及される可能性は高くなるのが現実ですので、出来るだけ早い段階で実施することが有効だということになるのです。

 

 

 

次に、権利・資産の譲受人である受益者の『立場』と『譲受方法』についてです。

 

受益者については、当然に身内は避けるべきです。

 

特に、配偶者や両親などは、債務者の詐害の意思を本当に知らなかったとしても、その立場から、裁判で知っていたと判断される可能性がありますから、よほどの状況でない限り避けてください。

 

身内でも、名義の違う親戚などならば、取消請求の裁判をされる以前の段階で、債務者の詐害の意思を受益者が知っていたと証明することが難しいと債権者が判断し、追及を受ける可能性は低下するように思います。

 

しかし、対策として、安全を優先するのなら、善意の第3者を受益者にすべきということになります。

 

 

権利・資産の譲受方法については、様々な捉え方があります。

 

資産を守ろうという状況においては、手元の資金が十分ではありませんから、出来るだけ費用をかけずに権利・資産の譲渡をしようします。

 

特に、税金の負担が大きいので、控除について特例のある配偶者贈与や相続時精算課税を活用しようという事が多いのですが、これは自ら詐害行為ですと言っている様なもので、極めて追及を受けやすくなります。

 

また、譲渡担保や相殺を使って名義の変更を図る事例等がありますが、あまり回りくどい方法は活用せずに、素直に、善意の第3者に、契約書や資金の動き等のエビデンスを明確にしたうえで譲渡するというのが、対策としては安全だと思います。

 

他に、担保の設定によって無剰余とし、価値をなくして他の債権者からの差押えを予防する方法もありますが、これも譲渡と同じ考えで、エビデンスを明確にして、出来るだけ善意の第3者の担保設定とすべきでしょう。

 

 

 

第2会社について、詐害行為の取消請求の可能性を心配されることが多いようですが、現実として追及は多くないといえます。

 

『名称』,『所在地』,『資本』,『役員』などが、現会社と重複していなければ人格が違うことになり追及が難しくなるようですし、追及しても結果的に得られるものが少ないので、意味がないということになるのでしょう。

 

他にも、離婚により、資産を慰謝料として渡すのは、経済的合理性さえ確保できていれば、詐害行為として取消請求するのは極めて難しくなるようです。

 

 

 

債権者の多くは、『得』か『損』かにより判断する人種です。

 

『得』になるという判断をして、詐害行為の取消請求をしてくるのです。

 

したがって、債権者の人間としての感情を逆なでしないように対応しながら、行為の根拠を明確にしたストーリーをもって整合性を確保し、得にはならないという判断に導く流れが重要なのだと思います。

 

 

 

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