現実としての、詐害行為の取消請求・・・


 

実際に、詐害行為の取消請求をされた事例とはどの様なものなのでしょうか。

 

現実として、詐害行為は、恐れられているほど取消請求で追及をされることはないようです。

 

たしかに、債権者の金融機関などは、詐害行為の可能性を匂わせて精神的に追い詰めようとしますが、実際に行動に移すとは限らず、私のご相談者で様々な対策を実施しても、詐害行為の取消請求をされたことは、この12年間で一度もありません。

 

詐害行為と思われるような行為をしていないわけではなく、逆に、私どものアドバイスは、可能性のある限り、あらゆる手段を活用して資産を守りましょうという方針ですから、詐害行為の追及を受ける恐れは低くないはずなのにです。

 

ただ、詐害行為の取消請求をされてからご相談に来られた方も何名かおられるので、その事例についてご紹介したいと思います。

 

 

 

詐害行為の取消請求をされたら、裁判上の手続きになりますから、当然に、弁護士さんに委任して対応をしなければなりません。

 

自ら対応できるほど簡単なものではなく、弁護士さんに法的な面において代理してもらうことが必要不可欠でしょう。

 

しかし、それでも、詐害行為の取消請求をされると、裁判に勝てる可能性はそれほど高くないようです。

 

考えてみれば、金融機関という狡猾な組織が、勝てない裁判を仕掛けてくるとは思えません。

 

しっかり精査して、勝てると踏んだからこそ、得か損かの判断基準で、手間暇をかけて裁判を仕掛けてくるのだと思います。

 

 

 

そんな詐害行為の取消請求をされた事例ですが、最初の一つは静岡県の建設業者さんです。

 

地元の地方銀行から借り入れをしていましたが、資金繰りが厳しくなって返済猶予をしてもらいました。

 

2度目の返済猶予期間中に、今後の経営に不安を覚えた経営者は、会社の所有する事務所兼資材置き場に、母親の根抵当権を設定したのです。

 

借入は、地方銀行の口座へ振り込まれ、資金の動きについての根拠も確保していますが、その借入金はすぐに引き出されています。

 

しかし、その3か月ほど後には、利子の支払いも停止し、期限の利益の喪失をしました。

 

地方銀行は、この母親の根抵当権設定について、詐害行為の取消請求をしてきたのです。

 

結果は、母親が、債務者である息子の詐害の意思を知っていたとして、詐害行為と認定されてしまいました。

 

 

もう一つの事例は、北陸地方の小売業者さんです。

 

当時の国民金融公庫から借り入れをし、当初は順調に返済をしていましたが、リーマンショック以降業績は悪化し、借入金の返済ができなくなってしまいました。

 

将来に不安を感じた経営者は、自宅を守ることを考え、婚姻後20年の配偶者贈与を使って、名義を夫人に変えたのです。

 

返済猶予の知識がなかったため、そのまま支払いが出来なくなり、期限の利益の喪失をしてしまいました。

 

組織変更して日本政策金融公庫となっていた旧国民金融公庫は、この自宅の名義変更が詐害行為だと取消請求をしてきたのですが、これも詐害行為と認定されてしまったのです。

 

 

この2つの事例に共通するのは、債務超過の状況においての、債務者もしくは連帯保証人の資産についての行為であること。

 

そして、完全に金融事故となる間際において、母親や夫人という身近な存在が権利を譲り受けて行為に関与したということです。

 

経営者も、何とか貴重な資産を守ろうと必死だったのでしょうが、これでは詐害行為を否定するのも難しいでしょう。

 

   1. 無資力(債務超過状況)でなされた行為。

  2. 権利・資産の譲受人が、債務者の詐害の意思を知っていた。

 

詐害行為を根拠づける、この2つの条件から考えて、ある意味、負けて当然の事例だともいえます。

 

しかし、世の中で詐害行為と疑われる多くの場合、この二つの事例と似たり寄ったりかもしれないのです。

 

では、詐害行為として追及されるか、追及されないのかは何が違うのでしようか。

 

次回は、この問題について考えてみたいと思います。

 

 

  詳しい内容は、ホームページをご覧ください,

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