ファクタリングでの資金繰り・・・


 

経営者ならば、高金利の借入が、経営に取り返しのつかないダメージを与えることは、誰もがご存じだと思います。

ましてや、資金繰りのために高利の借入をするなど、ほぼ自殺行為だといえます。

ところが、そんなことは判っていても、何とかなると思って借りてしまうのが、資金繰りの怖さだといえるのでしょう。

今、その高利借入が、ファクタリングという呼び名になって、多くの中小事業者を侵食しようとしているのです。

 

 

新規のご相談者は、恥ずかしそうに『ファクタリングを活用して、資金繰りをしています・・・』と、説明をしてくださいます。

しかし、本来なら、ファクタリングは先進的で有効な手続きであるはずですから、恥じることなどありません。

そんなファクタリングのことなど、既に中小事業者はご存じでしょうし、活用されておられる方も少なくないと思います。

今さらになりますが、ファクタリングとは、事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、その対価を受けるというサービスのことです。

ファクタリングを活用することで、売掛債権の回収を確実にし、早めることができますので、資金繰りの確保を図ることができることになります。

中小事業者にとっては、非常に有難い制度になりますが、日本でのファクタリングの歴史は古くありません。

ファクタリングは、『支払い保証』という意味を持って、中世イギリスで誕生したシステムになります。

その後、アメリカなどでも活用されるようになり、1900年頃から、請求書の支払期日よりも早くに資金化できる手段となったそうです。

商取引間だけではなく、銀行などの金融機関においてもファクタリングの活用が始まり、現在の形態が出来上がったといいます。


日本でのファクタリングの歴史は、随分と最近になります。

なぜなら、日本には、請求書支払期日よりも早くに資金化できる手段として『手形』が存在をしていたからです。

手形が、主要な商取引の決済手段であったことはご存じの通りで、商売人は当たり前の様に活用していました。

『支払保証』と『請求書支払期日よりも早くに資金化』のための手段として、手形の活用が効果的であったからであり、ファクタリングと同じ効果を有していたといえます。

したがって、同じ意味や効果を持つファクタリングが、容易に普及をしなかったといえるのでしょう。

ところが、バブル経済崩壊を経て以降、中小事業者の金融環境は一変し、リーマンショック不況が中小事業者の金融システムの見直しを不可欠とした頃から、ファクタリングが日本でも台頭を始めました。

大不況期において、手形の不渡りが容易に中小事業者を倒産に至らせた現実が、手形の発行を自然と減少させ、ファクタリングの土壌を生成したといえるのかもしれません。

さらにファクタリングを拡大させたのが、高利金融業者の問題とインターネットの普及になるのだと思います。

利息制限法と出資法という重複する法律のもとで発生した、グレーゾーン金利問題が消費者の不安に火をつけました。

さらに、高金利のノンバンクや消費者金融,商工ローンなどが、社会問題となって貸金業法などが見直しをされ、高金利の借入は回避するという流れに変わりました。

それまで、中小事業者を食い物にしてきた高利金融業者は、何か他の金融関係の商品を探すしか生き残る方法はなくなったといえるでしょう。

この様なタイミングと同じくして、爆発的に普及拡大したのがインターネットということになります。

インターネットの普及で、様々な商取引や契約ができる様になり、ファクタリングもインターネット上で契約までが可能となったのです。

ここから、中小事業者のファクタリングが爆発的に増加したといえるのですが、新たな商品を模索していた高利金融業者も、当たり前の様にファクタリングに注目し参入をしました。

そして、問題になるのが、手数料になります。

この手数料は、売掛債権を売買するための手続き費用であり、金銭消費貸借の金利ではありません。

したがって、利息制限法の制約を受けないということになってしまうのです。

さらに、ファクタリング業者は貸金業者でもありませんから、貸金業登録は不要で、貸金業法の適用も受けないということになります。

その結果、金融面においては、適用すべき法律がないというのがファクタリングであり、手数料についても野放しということになってしまっているのです。

手数料が制限なく野放しだといっても、健全な金融関係業者だけであれば問題もないのかもしれません。

しかし、消費者金融業者などが形を変えただけでファクタリング業者となっており、驚くほど高額の手数料を手にしているのが現実なのです。

一般的に
 3者間ファクタリングの場合、手数料は1%~10%
   (利用者,取引先,ファクタリング業者)
 2者間ファクタリングの場合、手数料は10%~20%が標準だといわれています。
   (利用者,ファクタリング業者)

この数字が、適正な手数料だとは思いませんが、利息制限法の上限である20%を超える手数料なども珍しくはなく、出資法上限の29.2%を超える手数料も存在しています。

こんな高額(高金利)な手数料、資金繰りを考えれば、簡単な理屈として支払えるはずなどありません。

しかし、手数料として手元資金から支払うのではなく、売掛債権の譲渡代金から手数料として引かれるために、利用者は目をつぶってしまうのでしょう。


この問題は、20%を超える様な高金利(手数料)が問題なのではありません。

手数料が、法的規制のない環境で、何の制約も受けずに、高すぎるのが問題なのです。

正直言って、資金繰りの厳しい事業者が、恒常的に10%の高利を支払って、資金繰りが確保できるはずありません。

たしかに、ファクタリング業者には、債権回収の面において、貸金業者にはないリスクはありますが、それでも10%を越えれば高すぎます。

政府は、ファクタリングの活用を推奨していますが、高利金融業者の参入が続く環境において、法的制約を設けずに放置しているのはあまりにも無責任ではないでしょうか。

利用者となる中小事業者も、ファクタリングの現実をしっかりと認識する必要があります。

資金繰りの確保は大事ですが、高金利の借入は、事業だけではなく経営者の身を亡ぼすことになりかねないのです。

 

 

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