増殖するゾンビ企業・・・


 

バブル崩壊以降、ゾンビ企業は存在をし続けてきました。

好景気のタイミングにおいても脱却することはできず、ゾンビ企業として、荒波に揉まれながらも生きながらえてきました。

ゾンビ企業の存在が、日本経済の足枷となっていたことは間違いありませんが、政府もその存在を容認し続けてきたのが現実でしょう。

ところが、ゾンビ企業が増加するしかないコロナウイルス禍を逆手に取り、政府は具体的な対策を実施しようとしているのです。

 

コロナウイルス不況からの脱出に向けて、ここ1年ほど、政府は明確な方向性を持って、具体的に施策を実施しようとしてきました。

今までの様な、中小事業者に寄り添って事業再生を目指すというものではなく、過剰債務は減免して、譲渡によって事業の維持を図ろうという内容なのです。

さらに、経営者保証については減免を実施し、今後は、融資においても経営者保証を不要にするという方向まで示しています。

これによって、近い将来の経済の活性化を、本格的に図ろうという画期的な内容になります。

コロナウイルス禍のこれまでの施策とは、随分と方向性が異なる内容になりますので、いったい誰が、どの様な意図をもって、何を目的にしているのか不思議に思っていました。

しかし、ゾンビ企業の存在と絡めて考えてみると、1つの方向性が具体的に浮かび上がってくるのです。

それは、コロナウイルスが終息しようという絶好の機会に、政府がゾンビ企業を一掃しようと考えているということになります。


ゾンビ企業とは、国際決済銀行の定義で、3年以上にわたって営業利益+受取利息を支払利息で割った数値(ICR)が1未満で、設立10年以上の企業のことになります。

要は、年間の営業利益額などよりも借入利払い額の方が多いために、金融機関支援等によって資金繰りを確保できている企業のことをゾンビ企業と呼びます。

昨今、特にゾンビ企業が話題になってきていますが、コロナウイルス禍によって初めて発生したものではありません。

実質的には大昔から存在していますが、バブル崩壊以降においては、ゾンビ企業は珍しいものではなくなりました。

リーマンショック時には、中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)の影響もあり、国内ゾンビ企業は20万社ほどに増加し、その後も当たり前の様に存在をし続けたのです。

そして、コロナウイルス禍では、業績悪化と過剰債務というゾンビ企業発生の2大要因が常態化して大増殖を始めました。

その結果、リサーチ会社の調査において、2020年度では16.5万社,2021年度では18.8万社まで増加し、実働している会社147万社において12.7%を占めるまでになりました。

そして、2022年度においては更に増加し、リーマンショック時の20万社という数値に並ぶのではと予想されています。

事業規模においてのゾンビ企業率でみると・・・

   従業員1000人以上     1.9%
         5人以下    18.4%

となり、事業規模が小さくなるほど、ゾンビ企業率は増えるということになります。

30年以上にわたり、ゾンビ企業を政策的に放任してきたために、中小企業金融に悪影響を与え続け、日本経済復興の足を引っ張ってきたといえるのかもしれません。

ところが、政府は、この現実を改善しようとしているようで、最近の施策において一定の方向性が読み取れるようになりました。

というよりも、政府が、ゾンビ企業の一掃を図ろうとしていると捉えると、最近の政府の施策に整合性が取れるのです。


いつまでも経営改善できずに、日本経済の復興の足を引っ張ってきたゾンビ企業については、再生を目指すのを諦めて、そろそろ市場から退場をしてもらおう・・・。

しかし、有益な事業については、譲渡により維持を図れるようにしよう・・・。

そのためには、債務の減免なども活用できるようにする・・・。

そして、この手続きがスムーズ執り行えるように『中小企業の事業再生等に関するガイドライン』と『私的整理円滑化法』を用意した・・・。

さらに、経営者には、経営者責任は追及をするものの、個人保証については『経営者保証に関するガイドライン』や『経営者保証改革プログラム』などを活用して、最終的には減免を図る・・・。

そのうえで、『経営者保証改革プログラム』により、今後は借入するにおいて経営者の個人保証を不要とする・・・。

その結果、経営者保証が不要になることで、創業や投資意欲が向上し,再生なども容易になって、日本経済は活性化して自然と復興するという流れになります。


この様に考えてみると、最近の政府の施策に経済的合理性と具体的な整合性を見出すことができるのではないでしょうか。

政府は、コロナウイルスが終息に向かう環境において、体力を喪失した中小事業者を救おうとするのではなく、新陳代謝を図ろうとしているのだと思います。

その流れにおいて、長年の懸案だったゾンビ企業を、大幅に減少することが可能になります。

そして、その結果として、活性化し復興することで、再び、日本は経済大国の地位を取り戻すということになるのでしょうか。 

ひょっとすると、岸田さんは、凄い首相なのかもしれません・・・・。

 

 

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