倒産パターンの優劣・・・


 

昔、突然にご連絡をいただき、その日のうちにご面談をする様な、急を要したご相談も少なくありませんでした。

手形が落とせないなどといった、資金繰りに関する内容のご相談がほとんどだったように思います。

ところが、コロナウイルスの影響を受ける環境になって、融資など資金繰り対策の制度が充実したせいか、一分一秒を争う様なご相談は随分と減りました。

収益は悪化し、経営は確実に厳しくなっており、症状も徐々に進行していますが、不安はあっても、焦る必要はないのかもしれません。

このタイミングで、手をこまねいて流されるのではなく、経営者として具体的な対応をしっかりと実施するだけの、時間的余裕のある環境だと捉えるべきなのでしょう。

 

事業再生・経営危機打開のコンサルタントをしていて、本当に悔しいことなのですが、現状の経営形態を諦めて、整理をするしかないという事例は少なくありません。

事業までも諦めるわけではありませんが、現在経営している会社や事業体を、そのまま継続するのは難しいために、整理をするしかない案件ということになります。

その多くは、対応すべき時間が残っていないというのが原因であり、それにより選択肢が極端に少なくなってしまい、整理をベースにした対応しか残っていないということなのです。

ここで思うのは、せめて1か月でも早くご相談していただければ、選択肢は様々に存在したのに・・・残念ということになります。

場合によれば、現在の会社や事業体も、そのまま残せる可能があったのにと思う案件も少なくないのですが、もはや手遅れということにしかなりません。

この様に、整理の案件に多く関わってきましたが、整理するにしてもいくつかのパターンがあります。

整理での取り組み方法や、その目的とするところなどでパターンが変わるようですが、何よりも結果が大きく変わります。

事業の継続の可否や、関係者に与える影響が変わりますので、経営者のその後の人生にも大きく影響することになるようです。

そんな、整理のパターンについてご紹介しながら、経営者の立場でどうあるべきか考えていきたいと思います。

 

経営危機に陥った時、取組むべき理想は、再生を目指した経営改善への取組みにになります。

しかし、経営改善が失敗した場合、方向性を転換させる必要があり、それが、現在の経営形態(会社や事業体)を整理することということになります。

ただ、経営の継続は諦めて整理することになりますが、事業の維持まで諦めるわけではありません。

したがって、整理を選択する場合の、最善のパターンは、何らかの形で事業の維持を実施したうえで整理をするということになります。

最低限の経営危機対応の知識を身に着け、具体的な準備をして事業を維持したうえで、現経営形態を整理するのです。

この手続きを踏むことで、従業員や取引先などの社会的弱者を守れることになります。

当然、関係者に与える悪影響も最低限に抑えられることになりますから、整理をする場合、このパターンが最優先の選択肢となるでしょう。

しかし、現実は時間をかけて、しっかりと準備する時間のない事例が大半なのですが、それでも、経営者がその責任において最善を尽くすことで、事業を維持したうえでの整理を実現できる可能性があります。

結果として、何らかの形ででも、事業を維持することができれば、たとえ現在の経営形態を整理しても、ダメージは最小限に抑えられるでしょう。

そうなれば、経営者の今後の生活も、それほど大きな影響を受けずに、変わらずに継続することが可能になるのかもしれません。

 

経営者として、何も対応ができずに倒産に至るパターンも珍しくありません。

具体的な資金繰り対策などできず、事業を維持する対応などもせずに倒産というのが、現実的には一番多いパターンになるのかもしれません。

そういう場合の整理は、法的整理である『破産』という選択が、当然に最も多くなります。

費用は掛かりますが、裁判所にお任せすることにより、無責任な経営者にとっては、もっとも楽な整理手法となるでしょう。

ただ、経営者としての意向は全く忖度されず、社会的弱者への配慮もなく、資産なども残りませんから、責任ある経営者の選択としては如何なものなのでしょうか。

 

また、作為的に、任意での放置という整理も珍しくはありません。

優先的に弁済したい取引先などがある場合や、どうしても残したい資産などがある場合には、破産という選択は出来ません。

したがって、任意での放置を選択して、自らが主体的に目的を達成するという選択肢になります。

 

他に、最終的に放置するしかないという事例も見受けられます。

これを整理といえるかどうか判りませんが、経営者が経営を放置して夜逃げをするなどのパターンになります。

こうなると、関係者には大きな負担を掛けることになりますし、経営者も今まで通りの生活をおくることなどは不可能でしょう。

これは、整理をするにおいて、絶対に避けたい最悪のパターンだといえます。

 

経営を整理する最終処理方法としては、法的な整理と任意の整理があります。

法的な整理とは、破産や特別清算などといった、裁判所の力を借りて事業体を整理する方法です。

当然に、法律に則って整理するわけですので、債務者である経営者の意向などは一切反映されません。

任意整理は、経営者自らの力で、事業体を整理させる方法になります。

経営者の意図を反映させることが可能になりますから、様々な関係者への配慮が可能になります。

整理のための手続きとしては、現在の事業体を、税務上において休眠扱いし、商法上において清算の着手・解散登記まで実施するなどして、最終的には、その状況で放置ということになります。

 

事業を維持する手段としては、民事再生やM&Aなどがあります。

民事再生は、法的な再生手続きだから、経営破綻の再生ではないと思われるかもしれませんが、立派に倒産として扱われる手続きになります。

倒産しても、合法的に事業を維持できる手段ですから、整理を選択するにおいては選択肢に入ってくると思われます。

また、M&A活用したのちに経営破綻するというスキームもあります。

維持したい事業などを譲渡し、その後に残った現在の事業体を整理する手法になります。

この場合は、破産も整理手続きとなりますので、事業を維持できたうえで、従業員や取引先の業務は確保できるわけですから、大きな意味のある整理手法だといえます。

たとえ経営破綻が目の前に迫っていても、事業を維持できる可能性があるのなら、経営者としては最後まで最善尽くすことが大事だということでしょう。

 

整理をするにおいて、経営者が留意すべきことは、

・ 最低限の経営危機知識をもって、展開を予測する

・ 会社の継続は諦めても、事業の維持を目指す

・ 社会的弱者を守れる選択を優先する

・ 経営者自らの生活の糧を確保する

できれば、破産などの法的整理ではなく、任意の整理を選択し、社会的弱者に配慮した整理を実現したいものです。

最後に、:夜逃げなどは、整理手続きにおいて、絶対に選択すべきではないことを忘れないでください。

 

 

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