資産の保全と民法改正・・・


中小企業の経営者は、今回の民法改正について、最低限の理解が必要だと思います。

日常の業務に絡む、法定利息や保証人,時効,定型約款などが、時代に合わせて改正をされており、その影響は微小ではありません。

民法改正に関する専門書を読んだり、弁護士さんなど専門家のセミナーに参加したりして、企業経営者として大まかな改正内容の把握しておく必要があります。

そして、ただ概要を把握するだけではなく、今回の民法の改正に対して、どの様に対応すべきかについても、事前に検討をしておくべきではないでしょうか。

 

この民法改正に、どの様に対応すればいいのでしょうか・・・

厳しい経営状況に晒されている経営者にとって、民法がどの様に改正されたかなど興味は薄いでしょう。

経営者が知りたいのは、どの様に経営危機を打開し、債権債務の処理を図れるのかという、具体的な方法論だと思います。

今回の民法改正が、どの様に経営危機の打開に影響し、どの様に対応すればいいのかという経営者が要望される点について、経営危機打開コンサルタントの立場から考察をしてみたいと思います。

 

最近の2回のブログでは、不動産や預金口座,給料などの資産の存在が、財産開示手続などにより、債権者に掴まれやすくなったとご紹介をしました。

掴まれやすくなったのなら、仕方がないからこれらの資産を守るのは諦めるしかないというのではなく、じゃあ、どの様に対応すれば守れるのかについて考えていきたいと思います。

資産を予防的に保全するには、以下の3原則が存在します。

  1. 『 資産を知られない・・・』
  2. 『 資産の所有が違う・・・』
  3. 『 資産に価値がない・・・』

この3原則のうち、3に関しては、今回の民法改正の影響は受けません。

2に関しては、民法改正の詐害行為取消請求に関して、影響を受ける可能性がありますので、後日に詐害行為に関する民法改正についてご説明するときに触れたいと思います。

今回は、民法改正により資産の存在が掴まれやすくなるということですから、1の
『資産の存在を知られない・・・』を対象に考えてみます。

財産開示手続が、より有効的に活用されるための改正であり、その結果として、資産の所在の開示を求めることが出来るという改正になりますから、当然に直接的な影響が考えられます。

罰則を強化したことにより、財産開示手続は、今までより活用されると想定できますから、この段階で、債務者の様々な資産の所在が知られる可能性が高くなります。

裁判を欠席したり、虚偽を述べると、6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金なのですから、今までの30万円以下の罰金とは意味が違います。

この財産開示手続の段階で、多くの資産の所在が債権者に掴まれて、差押されてしまうと思われます。

さらに、この段階までで、債権者に存在を知られなかったとしても、不動産や預金口座などの資産は、今回の民事執行法の改正により、裁判所の手続きにより開示されて、債権者に知られてしまうようになりました。

不動産ならば法務局、預金口座ならば銀行などの金融機関といった、債務者の資産を管理もしくは把握している機関に対して、裁判所がその債務者の情報を提供する様に命じるのです。

裁判所の命令ですから、命じられた法務局などの機関が、情報の提供に躊躇することは考えられません。

したがって、対象となる資産は、容易に露見して差押えされるということになるのです。

この『資産の存在を知られない・・・』については、今までとは根本的に考え方を変える必要があるのかもしれません。

資産の所在を、債権者に簡単に知られることなどないという今までの常識は、もはや通じなくなったといえるのでしょう。

6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金といった罰則は重すぎます。

 

不動産などの資産は、法務局に情報の提示を命じますから、不動産資産は容易に知られてしまうと考えられます。

預金口座などは、銀行などの金融機関に情報の提供を命じるのですが、当然に全ての金融機関に同時に情報提供を命じるわけではないでしょう。

債権者の申し立てた金融機関を対象に、預金口座などの情報の提示を求めることになるのであり、全ての金融機関が対象になるわけではありません。

申し立て外の金融機関は、情報の提示の対象とはなりませんから、今までと、基本的には同じ考え方での対応が可能ということになります。

しかも、預金口座の情報の提示については、財産開示手続を前提としていませんから、保全対策は有効に活用できる可能性があるのです。

 

この4月1日以降、しばらくは債権者の対応を注視する必要があります。

この民法改正を、債権者がどの様に活用してくるのかという事例を積み重ねたうえで、新たな資産の予防的な保全方法を構築していかなければならないでしょう。

ただ、全てを『得』か『損』かの基準で判断する金融機関が、果たして、どれだけの手間暇を掛けて情報の提示を求めてくるのかは、非常に興味深いところです。

結果として、この民法改正を有効に活用して債権回収に取り組むのは、金融機関ではなく、サービサーだけということになるのではないでしょうか。

 

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