金融機関の判断・・・


 

突然に、支店長の対応が変わりました。

 

刑事告訴さえ辞さないような口ぶりで、厳しい姿勢を見せていたのです。

 

しかし、目の前の支店長は、姿勢を180度転換させ、温和な笑顔と優しい口調で支援の意志を伝えてくれるのです。

 

金融機関の強硬な姿勢に、一時は破産までも覚悟したのですが、いったい何が、ここまでの変化をさせたのでしょうか・・・。

 

 

 

昨今、粉飾決算や重複融資に対して、債権者である金融機関は厳しい姿勢を見せる様になっています。

 

例の『はれのひ』の社長が、粉飾決算により刑事告訴された影響が大きいのではないでしょうか。

 

ただ、ここ数年は、以前より随分と厳しくなってきていたのも事実だと思います。

 

それでも、債務者の行為に対しての、金融機関の追及は、まだまだ緩いといえるのではないでしょうか。

 

融資を受けるための粉飾決算や重複融資は、いわば詐欺的な行為ですから、厳しい追及を受けても何ら不思議ではないのですが、現実は『我、関知せず・・・』という姿勢がほとんどではないでしょうか。

 

今さら、『詐欺だ!!』と追及しても、債権者金融機関にとっては、何の得にもならないからなのです。

 

 

しかし、冒頭でご紹介した事例は、『詐欺だ!!』,『刑事告訴だ!!』と、債権者金融機関が追及をしてきました。

 

資金繰りが厳しくなったので、リスケジュールを申し込むと、当初は前向きに検討すると言ってくれていたのです。

 

ところが、金融機関が検討をする中で詐欺的な行為が見つかってしまい、支店長から厳しい追及を受ける羽目になってしまいました。

 

そして、『リスケジュールなど、とんでもない。

 

中小企業再生支援協議会に相談しろ・・・』ということになってしまいました。

 

しかし、中小企業支援協議会に対応を依頼しても、詐欺的行為を追及されただけで、2次対応には進めません。

 

この結果に、債権者金融機関も協調すべき手段を失い、厳しい姿勢で正常弁済を強要する様になってしまいました。

 

経営者は諦めずに、支店長に何度も頭を下げてリスケジュールをお願いしましたが、聞く耳を持たないどころか、刑事告訴をしないだけ感謝しろ・・・的な対応です。

 

リスケジュールで、当座の資金繰りを確保して、その間に経営改善を実施して再生を果たすという甘い考えは吹き飛び、経営者の脳裏には倒産がチラつくようになってしまいました。

 

そんな時に相談した専門が、会社分割を提案してきました。

 

好調な事業だけを分割し、同業の知人に吸収してもらうというスキームです。

 

これだと、好調な事業部門は維持できて、従業員の雇用や取引先の業務も守れます。

 

そして、事業譲渡費用で、債権者金融機関にも、ある程度の弁済も可能になるのです。

 

専門家の勧める方向で検討をすることになり、そのチームの弁護士と具体的に相談もして、前向きに取り組むことにしました。

 

そして、チームの弁護士が、債権者金融機関に、この会社分割スキームによる事業再生計画を持ち込んでも、当初は従来と変わらぬ厳しい姿勢で、『詐欺だ!!』,『刑事告訴だ!!』と主張し、聞く耳を持ちません。

 

ところが、ある日から、突然に対応が変化したのです。

 

支店長は温和な笑顔と優しい口調で、前向きな対応を口にするどころか、驚くほど好意的な提案までしてきます。

 

この変化は、いったい何なのでしょうか・・・。

 

当初、変化の理由は判りませんでしたが、支店長の口から、譲渡費用について具体的な言及がされることで、支店長の対応の変化理由は明確になりました。

 

この会社分割スキームによる事業再生計画への取組が、金融機関にとって『得』だということが判ったのです。

 

当初は、このスキームの意味さえ支店長は理解できなかったのでしょうが、事業再生計画が金融機関の本部に持ち込まれたことで、その意義と意味を理解することができたのでしょう。

 

このままだと、近々経営破綻してしまい、債権回収はほとんどできないが、このスキームが成功すると、高額な譲渡費用の配当原資が確保できるのです。

 

そして、経営破綻を回避させることにより、金融機関が建前的に重んじる、地域への社会的貢献と、自らの信用維持までも確保できます。

 

金融機関として、この再生計画に協力しない理由など存在しません。

 

 

 

最近は、事業再生スキームが多岐にわたる様になり、専門家でさえ理解するのが難しいほどです。

 

金融機関といえども、支店レベルでは、再生スキームについてほとんど理解されていないのが実態ではないでしょうか。

 

しかし、『得』か『損』かという金融機関の判断基準は、いささかも変化はしていませんから、得だという理解さえできれば、金融機関は、どれだけ複雑な再生スキームでも受け入れることかできるのです。

 

それ以降、支店長の口から、『詐欺だ!!』,『刑事告訴だ!!』などと、発せられことはありません。

 

 

 

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